2-5 白い羽と黒い靴
朝。霧に包まれた新宿区三番街を歩く人影が一つ。その影は時折ふらふらと足元がおぼつかない様子で歩いている。遺伝美容整形外科、ベイビーリザード院長の山賀椎香だ。顔色がひどく悪い。青ざめており、頭痛がするのか時折頭を手で押さえている。
「あぁクソ……前の日休みだからって調子こいて飲み過ぎた……」
重い足取りながらも着実に先へと進み、病院の入り口までようやくたどり着いた山賀。左腕にはめた腕時計を眺めると診察開始時間の一時間前だ。大体この時間に来て準備をすればちょうど十分前くらいには診察を始める手筈が整う。とはいえ、患者は中々来ないのだが。
病院の鍵を取り出そうとポケットに手を突っ込んでいると、入口の横になにやらしゃがんでうずくまっている人影があることに今更気づき、驚いてのけぞる。
「な、なんだぁ?誰だお前?」
「山賀先生。待ちくたびれましたよ」
制服姿でうずくまっていたのは白鳥悠だった。右手に手持ちカバンを下げているが、薄っぺらくて中身が詰まってるようには見えない。それに今日は月曜日だ。学生ならば普通は今の時間通学のはずなのだが。
「あのさ、何時からここで待ってたの?それに学校は?」
「二時間くらい前からですね。学校は、サボります。私の未来を左右する重大な出来事ですから」
まるで悪い事ではないと言わんばかりに、こないだは見せる事のなかった晴れやかな笑顔を山賀に向けてくる悠。二日酔いの頭痛が増幅するのを感じて、両手でこめかみを抑える山賀。悠には変な行動力と決断力が備わってるようで、この先結構振り回される未来を幻視した。
「君、こないだウチに来たからてっきり診療時間も知ってると思ってたんだけど、もしかして違う?」
「こないだは昼ならやってるだろうと思って来たので……。午前中は何時から診療が始まるかは知らなかったから、とにかく朝早く来てずっと待ってましたよ」
「あー……、とりあえずさ、待合室でTVでも見ながら待っててくれるかな?」
「はい」
病院の入り口扉の鍵を開け、二人で一緒にエレベーターを降りて待合室の鍵を開けて電気をつける。病院の待合室はあまり広くなく、焦げ茶色のソファが数台設置されているがそれだけで空間を圧迫している。ソファに座って向かい側の壁には、デジタル時計とフィルムシート状のTVが張り付けられている。診察室に通じるドアもこのTVの隣にある。狭いので診察室から待合室に直接声が届くので、患者を呼ぶとき山賀は声を張り上げて患者名を呼ぶ事にしている。まだ一度もやったことはないが。
悠はソファに座るや否やリモコンを操作してTVの電源を着けてチャンネルを回していたが、結局見るべきものが無い事に気づき、適当に朝の情報番組を眺めている。山賀はいそいそと白衣に着替え、診察室で先日作成した電子カルテを改めて見直して確認事項をチェックしていく。
「先生、まだ?」
退屈なTV番組を見続けて待ちくたびれたのか、悠が声を上げる。デジタル時計を見れば診察開始時間の五分前と言った所だ。
「もうちょい待って……、よし、入っていいよ」
山賀は大きな声を張り上げて、悠を診察室に招き入れる。先日とは違い、悠はにこにこと笑いながら丸椅子に座った。身を乗り出して、そわそわして山賀の言葉を待っている。山賀は電子カルテを開いて今日の日付を打ち込み、椅子を回転させて悠の方へと向く。
「で、今日はどうされました?」
「先生、そういうのはいいですからさっさと本題に入りましょう」
「少しくらいいいじゃないか、固い事言うなよ。まあいい。先日はどこをどうしたいかのおおざっぱな話を聞いたけどさ、悠はどこから施術を開始したい?」
山賀の言葉に、顎を手で押さえて少し考える悠。やがて両手を膝に置いて前に体を乗り出し、こう言った。
「羽からやりたいです。家に戻ってから考えたんだけど、羽ならカモとかハクチョウとかの羽なんて家人にはわからないでしょうから。顔や体は、ある程度時期を見てからお願いしたいと思います」
「時期を見てから?そりゃまたなんでさ」
「……」
疑問を呈しても、こういう風に都合の悪い質問に対しては固く口を閉ざしてしまう。何かを言った所で決して喋らないだろう。首を振ってあきらめ、山賀は今日の施術の内容を話す。
「喋りづらいか。まあ、OK。丁度こないだ預かったハクチョウの羽の細胞を採取したから、君の遺伝子との適合具合がどの程度か確認しようと思う」
山賀は手袋を装着してあらかじめ診察室のテーブルの上に用意しておいた、専用のブラシが入っているビニールの口を開いた。
「遺伝子を調べるのに口を擦るだけでいいんですか?」
「細胞が採れればどこの細胞でもいいのよ。口からが一番手軽だし。はい、口開けて、あーん」
「あ、あーん」
悠が恥ずかし気に口を開く。山賀は頬のあたりの粘膜に優しくブラシを押し当てて回転させる。回転させて細胞を採取するのだが、くすぐったいのか悠は時折身をよじっている。その姿が何だか色気を感じさせ、不意に山賀は自分の心臓が速く脈打ち、体温が上がっていくのを感じた。
歯茎をなぞり、上あごをなぞり、下あごをさする。頬の肉をゆっくりと少しずつくすぐるように撫で、舌の裏側をブラシで軽くこすってやると、少しばかり悠の瞳が虚ろに焦点が合わなくなり、顔がほのかに紅潮しているような様子を見せる。その姿に更にブラシをまるで愛撫するかのように悠の口内を這わせる山賀。
ぐるぐるぐるといつまでもブラシを口内で弄りまわす女性医師に不安を覚え、悠が不意に声を掛ける。
「あ、あの先生、まだですか?」
「あ、ああ、ごめんね。もう終わりだから」
山賀は慌ててブラシを悠の口から外し、液体で満たされた容器にブラシ先端を入れて、患者の名前を記入した。
「はい、あとはこれを検査に回して一週間したら結果が出るから、その時にまた来てね。来週は検査結果と、羽の除去についての話をするから」
「わかりました。ありがとうございます!」
悠は今回の施術代という事で、懐から例のブランドものの長財布を取り出して、現金を診察室テーブルの上に置いた。今回は口の細胞採取と検査代程度なのでそこまでの金額ではないが、それでも数枚くらいは万札があるだろうか。山賀はそれをいそいそと待合室横の受付の中にあるレジを開けて勢いよく現金を放り込む。レジとは言うもののPOSネットワークにはつながっていないので実質金庫代わりのようなものだが。
ふと診察室に立て掛けてある時計から、十一時を告げる鐘が鳴り響く。
「あ、もうこんな時間だ。じゃあ、また来週来ます。」
「はい、また来週よろしく。今からでもちゃんと学校行くんだよ」
「はぁーい」
気の抜けた返事で応える悠。一応そんな風には言ってみたが、たぶんあの様子だと学校には行かないだろうと山賀は思っていた。行っているとしても保健室直行コースかもしれない。どうも勉強にはあまり興味が向いていないようだ。まあ学校なんて行きたい奴が行けばいい。それ以外に目的があるなら早いうちに違う道へと行くべきなのだ……が、それでも最低限の義務教育くらいは修了しておいた方がいい。来るたびに言うだけは言ってみるかとぼんやりと考えながら、山賀はカルテに今日の内容を書き込んだ。
スリッパから自分の下足に履き替えた悠は足早に病院から去っていった。まるで他にも用事があるかのように忙しげな様子で。
山賀は唯一の患者を地上まで見送った後、今日採取した細胞の検査依頼メールを知り合いの機関宛てに書いたら暇になってしまった。他に仕事もないし、どうせ他に患者も来ないだろうと高をくくって、待合室のソファにでんと座り込んで、今日の悠の様子について少し考え込んでしまった。
なぜか、悠にはひどく誘い込まれるような色気があるのを山賀が感じていた。見た目はただの地味目な中学生だというのに、ひとたび少し雰囲気が変わると途端にフェロモンを放つ一つの綺麗な花に変貌するような錯覚を覚えていた。恐らく、先日見かけた体中を這いまわる赤い痕も何かしらの関連性があるのかもしれない。
そんなことをおぼろげに思っていたものの、今のところはただの妄想に過ぎないとと考えを振り払い、リモコンを手に取ってTVの電源を入れる山賀。ニュースをぼんやりと見て正午になるのを待とうとしていたら、不意に待合室の自動ドアが開いた。
「……もしかして患者かな?」
山賀が期待を込めた瞳でドアの先を見つめていると、入ってきた人影は大きな足音を立てながら受付に向かった。大柄な男性で黒い髪をオールバックにしており、所々に白髪が目立っている。それに、春先で最近は暖かい日々が続いているというのに、カーキ色のコートを羽織ってグレーのスーツを着用し、紺色のネクタイを締めている。まだそこまで老けているわけではなさそうなのに、顔には深い皺が至る所に刻まれており、特に額に刻まれた皺が何よりも深いもので、今までの人生にどんな苦労を重ねればそのような顔になるのだろう、と想像をさせるものがあった。
「おーい、誰かいないのか?」
大柄な体に似合いの大きな声を立てて、中にいる人を呼ぶ。受付と待合室は隣接しているから山賀にも大きな声が耳障りなほどに聞こえる。山賀はじんじんとなる耳を抑えながらしかめっ面で応答した。
「…たくうるさいんだよ。どなたですか」
「俺はこういうもんだがな」
男が懐から一つの手帳を取り出すと、山賀の表情が一瞬こわばった。彼が見せたものは、黒い立派な革製のケースに入れられた警察手帳。そこには彼の証明写真と階級、氏名が記されていた。
『新宿署刑事課警部 戌井佳彦』
……警察が嗅ぎ付けてくるには早すぎる。その前に、病院が警察の間に噂になるほどの評判だって立てられてもいないのに何故、と山賀の思考がぐるぐると高速回転しているが、とにかく今すべき事はこの場を何とかしてやり過ごす、その一点に尽きる。
「……なるほど。で、お忙しい新宿署刑事課の刑事さんがこんな寂れた入れ墨店にご入店とは一体どのような気まぐれですか?」
きわめて平静を保ってシャツを捲って両腕の入れ墨を見せて、精一杯彫師を装う山賀だが、戌井は口の端をわざとらしく釣り上げて笑いながら彼女を見ている。
「いやなに、ちょいと聞き込みで近くを通りがかったらずっと空きテナントだった場所に入居があったから見に来ただけだよ。君がここの店主か?こう言っちゃ何だが……随分と寂れてるな」
「見ればわかるでしょ。もうすぐ昼休憩に入るから客じゃないのなら出てってくれないかな」
診察室ぐらいならまだ見られても何とか誤魔化せるが、診察室の奥に隠している手術室まで見られるとアウトだ。招かれざる客であるこの刑事を、早いところ地上に帰さなければと山賀が意思を固めていると、意外なほどに拍子抜けした返答がかえってきた。
「昼か……それもそうだな。俺もめしを食いたい所だ。お邪魔虫はさっさと出ていくことにしようかな」
ここで刑事の勘とやらで何かを察知されて色々あら探しをされるかと思っていただけに、ほっと息を吐く山賀。
「そうしてくれると有難いね」
「客が来ないなら紹介してもいいがな。ただ俺が知ってる連中だとガラの悪い連中ばかりになるが」
「大きなお世話だよ。とっとと帰って」
言われて、戌井は肩をすくめて待合室から出て下駄箱でスリッパから黒い革靴に履き替える。立ち上がり、そのまま帰るかと思いきや、おもむろに顔を上げて中空を見はじめた。
「……何してるんだ?」
よく戌井を観察してみれば、鼻が微妙に動いているように見える。……匂いを、嗅いでいる?
一通り嗅ぎ終えたのか、うなずく様な仕草ののちに戌井は、余計な事をせずにちゃんと彼が帰るかどうかを監視していた山賀を見据えて言った。
「俺の前に誰か来たようだな……年齢的には中学生くらい、か。残り香が薄くてどっちかまではちょっと判別がつかんが……どうだ、当たりだろ」
「……」
山賀は口を固く閉ざして答えない。しかし、背中にはじっとりとした嫌な汗をかき始めていた。視線も気づかないうちに戌井からそらして床を見ている。戌井は先ほどのように口の端を釣り上げるように笑う。
「ま、俺は普通の人間より鼻が利くんだよ。特に生物の匂いを良く嗅ぎ付ける事が出来る。モノホンの犬よりも役に立つかもな」
「……っていう事は、あなた犬のキメラ人ね。人なのに警察の犬、とはこれいかに、ってか?」
皮肉交じりに山賀は言うが、言われ慣れているのか戌井は意に介さずに続ける。
「まさか中学生に入れ墨なんか入れてないだろうな」
「そんな事あるわけないでしょ。説教して帰したさ」
「それならいいがね。……にしても、君、二日酔いか?アルコール臭すぎる。飲み過ぎだな。それと君の体に染みついている消毒液の匂い、大分鼻につくな。あんまり安物を使ってたらダメだぜ」
「な……!」
「まあついでに、何かあったらここにでも連絡するこったな。個人的な事で済むなら協力してやるよ」
大柄な男は声を上げて笑いながら、懐から名刺らしき紙を山賀に投げてエレベーターに乗り込んで地上に上がり、病院を去っていった。
「あの刑事……全部わかってた上で私の芝居に付き合ってたってのかよ!」
声を荒げ、山賀は履いていたパンプスの片方を壁にぶん投げる。すると靴の先端がちょうど壁に突き刺さる形となり、半分ほど靴が壁に埋まってしまった。
「ああっ、修理代が……」
それもこれも全部あのクソ刑事のせいだと叫んだが、すべては自業自得であり後の祭りである。パンプスを回収して壁の穴の深さと広さを確かめると、少なくとも彼女の握りこぶしがすっぽり入る程度には大きい穴だった。穴を埋めて直すのにどれくらいお金がかかるだろうと考える気も起らないほど、憂鬱な気持ちでソファに寝転がっている。昼食を食べる気にもならず、ぼんやりと天井を眺めている。そのうち眠気がやってきて、山賀はゆっくりと目を瞑った。
* * * * *
「……ちゃん、しいちゃん、そろそろ起きてくれないと困るんだけど」
「……んあ?のわっ!」
目覚めると、山賀の眼前には筋骨隆々の良く整えられた顎髭をたくわえた男性の顔が間近まで迫っていた。あまりの迫力と距離の近さに思わず山賀はのけぞって背もたれのない丸椅子から転落しそうになるもなんとかこらえ、喉の渇きを潤すために氷も解けて大分薄くなったウイスキーを流し込む。
「目覚ましにはちょっとキツ過ぎる絵面なんだけど勘弁してくれない?」
「何がキツ過ぎるよこの私のチャーミングな顔を見て目覚められるんだから感謝しなさいよ。それよりも、そろそろ閉店の時間なのよね」
「え?」
腕時計を確認すれば既に午前三時前である。いつの間にこんなに眠り込んでしまったのだろう。バーの中には客はもうほとんどおらず、マスターと山賀の二人きりだ。そのマスターももう後片付けの準備に入っていて、何時までも居座っている山賀に少しばかり冷たい視線を向けている。
「全く、TV番組見ながら眠っちゃうなんてあんたも年食ったわねぇ。十年前のここに来たばかりの頃ならうちが閉店時間になったら次の店に行くくらいの気概があったってのに」
「……寄る年波には勝てないのかもね」
ぼそりと、頬杖を突きながら独り言のようにつぶやく山賀。
「あら。随分と今日は素直じゃない。何かあったの?」
「懐かしい思い出かしら。あと少しむかつく思い出も」
「なんだかわかんないけど、荷物まとめておうちに帰りなさい。あったかい布団が貴方を待ってるわよ」
「はいはい」
壁に掛けてあるコートを羽織り、ブランド物のバッグを持って肩にかけて代金決済の為にレジへと向かう。マスターがいそいそとレジに立ち、金額を言うと山賀はクレジットカードを財布から取り出して、読み取り装置に通した。
「来店ありがとうございました。また来てね」
代金の入金が確認されると、マスターは人懐っこい笑顔を向け、ドアを開けて店を出ようとする山賀を見送った。外へ出ると、肌を刺すような冷たい風が通りぬける。思わず首をすくめてしまうほどの寒さ。路地裏を抜けて大通りに出ても、もう丑三つ時を回っているせいか、千鳥足で歩く人々や電柱に背もたれている人、道路に寝そべってしまっている人たちくらいしか通りには居ない。この時間帯ともなると営業を続けている店も少なく、灯りが消えている店の方が多かった。
少し散歩をするつもりだったが、予想以上の寒さで歩くのも億劫に感じた山賀は、近くに止めてあったタクシーに乗り込んで早々と家路に着く。マンションは四番街にあるが、三番街に近い場所にあるのでここから歩いても帰れる距離ではある。車なら五分もすれば四番街に入るだろう。
四番街は三番街の騒がしさとはうってかわって、閑静な住宅街となっている。マンションや一軒家が多く立ち並び、高所得の人々が主に住んでいる。三番街のスラムとは対照的だ。治安が良く、また周辺のアクセスも抜群に良いので、ベッドタウンとして有名であり、どこかの物件に空きが出ると希望者が殺到するという。
タクシーはすぐに山賀の住むマンションにたどり着いた。タクシーを降り、山賀はマンションのオートロックドアをカードキーを通して通り抜けて、エントランスに入る。エントランスの天井は高く、深夜でもきらびやかな照明が照らされてマンションの治安維持に一役買っている。エントランスから更にまっすぐ歩けばエレベーターがある。上に向かうボタンを押し、少しの間待てばエレベーターの扉が合成音声とともに開いた。
エレベーターに乗り込む。十数人は乗り込めるくらいに広い空間。山賀は酔いから来る眠気をこらえながら四十階のボタンを押す。扉が閉じて、ゆっくりと上へと移動するエレベーター。エレベーターは一部外を望む事が出来る窓がついている。山賀は上から下へと滑りゆく外の風景をぼんやりと眺めながらバーでうたた寝をしていた時の夢の内容を反芻していた。
そういえばあの時、悠の後に来た刑事、戌井が訪れてからというもの、徐々にベイビーリザードには患者がやってくるようになった。もちろん山賀も宣伝や売り込みを精力的にやっていたが、やはり戌井がある程度患者となりえそうな人々にそれとなく病院の事を伝えたのだろうかと思う。前に戌井にその事を聞いた時、やはり彼は口の端を釣り上げて笑うだけだったけれども。そのおかげで来る患者というのは、大抵物騒な人々だったので対応に当たるのが大変だった。けれどもそのおかげで大抵の事には動じないようにもなったから良いのか悪いのかわからない部分はある。
やがてエレベーターが四十階にたどり着いて扉を開く。山賀はふらふらとおぼつかない足取りで自分の部屋に向かい、カードキーをスリットに通して鍵を開けると、早々とベッドに倒れこんだ。
「うーん……酒に弱くなったかなぁ」
ぼやきながらまた目を瞑り、彼女は夢の中にまどろんでいくのだった。
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2-5 白い羽と黒い靴 END
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