成り行きの道行き
妻の父母と話し合いの上で妻を殺した。妻が亡くなってみると義父母はもはや父母ではなく一人の男であり女であった。一人の女となった元義母と肉体関係を持ち、話し合いの上で元義父を殺した。死体を捨てていたら人に見られてしまったので、女を連れて逃亡することにした。それはありがちな男女のもつれ、よくある関係のこじれ、ありふれた運命のねじれであった。
逃亡生活を続ける内に女が妊娠した。やがて子供が生まれ、生まれた子供は女と肉体関係を持った。子供が生まれてみると、私は一人の父であった。子供が生まれてみると、女は一人の母であり、それと同時に子供の女であった。子供とその女兼母が相談の上で私を殺そうとしているのが見てとれた。そこで私は自分の皮膚をクローンして自分をもう一人作り、二人がかりで二人を殺すことにした。それはありがちな偶然性のもつれ、よくある必然性のこじれ、ありふれた蓋然性のねじれであった。
揉み合いのすえ、クローンならぬオリジナルの私が刺されて死んだ。女も喉を掻き切られて死んだ。生き残ったのはクローンと子供だった。クローンと子供は肉体関係を持ち、血を分けた菊門を鶏姦の悦びで濡らした。やがて門の菊は種を孕み、その種を割って義父母が孵化した。それは成り行き任せな己(おのれ)と、道行き任せな連れと、快適な爛れの織り成す、ありふれたささやかな挿話であった。
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