第115話 開業 5

100個のスライムの核をすべてすり潰すのに、何日もかかってしまった。


そして、全てをすり潰し、いよいよポーションに投入!というところで、僕は気づいてしまった。1本のポーションにこんな量の粉が溶けるはずがないということだ。


スライムの核1個の大きさはピンポン玉より小さいくらいの大きさだ。しかし、それが100個もとなるとかなりの量になってくる。それに対してポーション1本、約100ミリリットル。


さすがに、溶けそうになかった。しかし、やってしまったからには、とりあえずやってみることにした。そうしないと、自分は何のためにやって来たのかわからなくなるからな。


というわけで投入、といきたかったのだが、ポーションの入れ物の中に入る量ではないので、スライムの核の方にポーションをかけることにした。


まあ、失敗するだろうと思っていた。


しかし、その予想とは反して、スライムの核にポーションをかけると、かけたところからスライムの核は溶けていった。ポーションをすべてかけ終わった後、僕はその様子を観察していた。


観察していてわかったことは、なぜかスライムの核が溶けなくなることがなかったことだ。ほんと面白いくらい溶ける。


やはり限界はあるわけで、最初は液体だったはずのポーションは、いつの間にか固体のようになってきていた。


ただ、その固体は見覚えのある質感をしているのだ。


何か嫌な予感がしたため、鑑定をしてみた。



ヒールストーンスライム——

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僕はスライムと見えた瞬間、すぐに殺そうとしたが、攻撃する前に止まった。それは単純なことで、核がどこにあるのかわからなかったからだ。


だから、鑑定結果をよく読み返してから、ヤルことにした。そうすれば倒し方もわかるだろうからな。



ヒールストーンスライム Lv1 状態:友好

人の手によって作られたスライム。

その数は少なくかなり珍しいスライム。

その圧倒的回復力と防御力の高さから死ぬことがない。その全身が核のため、一撃で全身を消し飛ばさないと倒すことができない。

基本的に人間には友好的。ただし、攻撃を加えた瞬間敵対するため、注意が必要。敵対すると対象に接触して、対象が死ぬまで体力を奪い続ける。

ゴツゴツとした見た目をしているが、そんな見た目に反して柔らかい。

水に浸けておくだけでポーションができる。浄化作用もあるため汚水からでもポーションができる。



あ、うん。手を出さなくて正解だったな。いろいろとやばいものを持っている。


それと汚水を使ったポーションって、さすがにマズイ気がする。でも1度作ってみたい。


それとさっきから、このスライムが僕の周りを跳び回ったり、跳ねたりしている。友好的というか、かなり人懐っこい。


でも普通のドロドロのスライムと違って、固体のため、グロさは全然ない。それとずっと見ていたら、殺す気がなくなってしまった。別に普通のスライムと違って精神に攻撃してくることもないわけですからね。


というわけで、しばらくこのスライムは放置しておくことにする。何か害があればすぐさま消すが、問題がなければこのままでいこうと思っている。






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