番外第五話:ひとりの少年との思い出

 早朝。

 大宮紫子おおみやゆかりこは、小雨が降る道を足早に駆けていた。


 朝の天気予報では、雨は降らないとニュースキャスターは話していたのに。

 いきなり降ってきたせいで、傘も持っていなかった。


「もう、参っちゃうわ……」


 彼女は、犬の散歩の途中だった。


 大宮は、当時十二匹の犬飼っていた。

 今連れてきたのはそのうちの一匹で、名前を『モモタロ』と言う。数か月前に飼い始めた、ポメラニアンの雑種。二歳のオスだ。

 つい最近まで風邪をひいており、しばらく散歩に連れて行ってやれなかったため、この一匹だけ今日は連れて行ったのだった。


「ごめんねモモちゃん、病み上がりなのに。すぐ帰って、身体を拭いてあげますからね」


 大宮がリードに繋がれたその子犬に声をかけると、モモタロは応えるように一声鳴いた。

 まだ飼ったばかりだというのに、既に大宮にはとてもよく懐いていた。もともと人懐っこい性格だったのだろう。出逢ったばかりの、びくびく震えていた時とは雲泥の差だ。


「わんっ」

「あ、あら?」


 すると、モモタロは突然家に向かっていた方向を変え、何を思ったかとある家の門の下を潜り抜けようとし始めた。


「だ、駄目よモモちゃん、人の家に入っちゃ駄目!」


 大宮が慌てて怒っても、モモタロは意に介さず、小さい身体を敷地の中に滑り込ませていく。


「こら、もうっ……!」


 しかし、リードはどんどん引き込まれていく。

 そしてこの家の中から、モモタロが吠えている。

 まるで、主人を呼んでいるかのように。

 今は朝の五時だ。このままでは住民の迷惑になってしまう。


「モモちゃん、どうしたの……」


 今も、鳴き声を上げ続けている。こうして聞き分けなくひっきりなしに鳴くことなんて滅多にしないのに。


 仕方なしに、大宮も門を開けて続く。

 こんな早朝で他人の家の敷地に入るのも、空き巣と勘違いされても困るため、すぐに引き返すつもりだった。


 しかし、モモタロは、探すまでもなくすぐ近くにいた。

 

「え……?」


 けっして広くはない庭の、その玄関前。

 モモタロは尻尾を振り、大宮を促していた。


 家のドアの手前に、『なにか』がいる。

 その『なにか』を視認するのに、そこまでの時間はいらなかった。


 曇りがかった薄暗い朝に溶け込むように、人影が倒れていたのだ。

 より具体的に言えば。

〝それは、ランドセルを枕に、家の前に身体を縮めさせ寝転んでいる一人の少年だった〟。

 

 まだ小学生高学年程度だろうか。

 屋根をよけるように、やや横倒しで降り注ぐ雨は、容赦なくその全身を濡らしていた。


「え……!?」


 大宮は驚いた。

 どうしてこの少年は、家の外で眠っているのか。

 、と。


「ね、ねえ貴方どうしたの、こんなところで!?」

「……う、うぅ、ん」


 モモタロがその頬を嘗めると、少年が身動ぎして呻いた。

 瞼をこすり、身体を重たそうに起き上がらせる。


「え、何で犬……?」


 その子供は、ほんの少しだけ驚いたように声をあげた。

 モモタロをしばらくぼうっと見たあと、次に大宮の存在に気付いた。

 

「……あの、ウチのお客さんですか?」

「えっ……?」


 じっと視線を注ぐこの子供に、大宮は戸惑う。

 勝手に敷地内に入ったのは間違いない。

 けっして自分が空き巣や泥棒でもないことを、この小さな少年に何と説明したものかと、言葉を選ぼうとした。


「えっ、ええと……」

「今……両親は留守なんですけど」


 ――――こんな時間まで、ずっと?

 ――――たった一人、しかも家の中にも入れずにこんなところで?


 色々な疑問が頭の中を過り、その衝動が衝いて出たように問いかける。


「じゃあ、君は……?」

「……昨日から鍵無くしちゃって、留守番を――――くしゅっ」


 くしゃみをし、よく見ると寒そうに震えている彼を見て、大宮はすぐに我に返った。

 今も雨は降っている。服もびしょぬれで、このままでは風邪をひいてしまうだろう。

 

 とにかく、放ってはおけなかった。


 モモタロが彼を見つけたのは、何かの縁だと思った。


「大変、おばさんのとこにいらっしゃいな! 身体、暖めてあげましょうね」

「……でも」


 そう提案したものの、少年の反応は鈍い。

 少なくとも嬉しそうではなく、どこか困惑しているようだった。


「でも、知らない人の言うことは聞いちゃいけないって」


 彼自身、大宮を警戒しているようで、うつむきながら答える。

 そう教えられたからというよりは、見知らぬ大宮を怖がっているかのような、そんな口振りだった。


「……大宮紫子よ」

「……?」


 そんな彼に、大宮はにこりと笑いかける。


「私の名前です。この近くに住んでるの。きっと君のお母さんより年上だろうけど、よろしくね」

「…………」

「ね、これなら知らない人じゃないわ。私達はお友達。ほら、どう?」

「友達……」


 対する少年は、どこかぽかんとした表情のまま、大宮を見やる。まだ寝ぼけたまま意識が虚ろなのだろうか。


「貴方のお名前は?」


 膝をつき視線を合わせ、優しい声音で話しかける。

 それが功を奏したのか、この少年は、しばらく無言のまま黙りこくっていたが、そのうち、耐えきれなくなったかのように口を開いた。


「相川……拓二、です」

「拓二くん、ね……」


 詳しい話を聞くのは取り敢えず後回しにして、ひとまずは風呂と着替えの用意をと考えていた。


「――――ねえ」


 そんな時、ふと相川と名乗った少年は尋ねる。


「その、犬の名前は……?」

「え? ああ……」


 指差した犬、モモタロは今も拓二に擦り寄っていた。

 彼が寒そうにしていることが分かってのことか、まるで彼に献身しているかのようだった。


「モモタロよ。この子が貴方を見つけてくれたの」

「モモタロ……」


 大宮の言葉を、大事なことのように反芻する拓二。

 ペロペロと自分の手を舐める子犬にその視線は向いていた。


 そして、それまで何の色の無い、能面のようだった無表情が、ほろりと崩れ、


「……変な名前」


 小さく、口元を綻ばせた。

 


◆◆◆



「ごめんなさいね、着替えは親戚の子のおさがりしかなくて……」

「……別にいいよ」


 拓二を風呂に通し、冷えた身体を温めてあげた後、そっとココアを差し出した。


「……ん。あったかい」


 舌を火傷しない程度の、温いココアだった。

 それを大事そうに手で包み、大げさと言えるくらいに息を吹きかけて冷ましている。

 

「今日は土曜ね。学校は……午前中だけかしら?」

「土曜は休みだよ? 確か、一年生の時は土曜も授業あったけど」

「あらら、そうだった?」


 若干のジェネレーションギャップを挟みつつ、受話器に向かいかけた足を止める。

 もし学校があったら、風邪ということで欠席を連絡しようとしていた。

 お節介だろうとなんだろうと、大宮は拓二の状況がただ事ではないことを感じ取っていた。


「拓二くん、とりあえず貴方を預かってるってお電話するわね。お母さんかお父さんは……」


 そのカップに口をつけ、ココアを啜る拓二が、ふるふると首を振った。


「多分、電話出ない」

「え……あ、お仕事かしら?」

「うん。あの人達、いつも忙しいから」

「そう……なの」


『あの人達』とは、彼の両親のことだろうか。

 まるで他人事のような口振りに、大宮は悲しくなった。


「あんまり、その……世間話とか、あまりご家族とはしないの?」


 不仲なのかどうかをやんわりとした調子で訊く。

 すると、大宮にとっては驚愕すべき一言が、拓二の口から飛び出した。


「ええと、ポ〇モンのアニメやってた日だから……水曜に会ったっきりかな」

「それって……今日から数えて三日経ってるの!?」

「ううん、再放送だったから。〝先週の水曜日〟」


 つまり、数えて『十日』。

 もはや、それは一般的な親子の間柄として会う頻度ではない。ネグレクトと言ってもまるで過言ではない。

 まだこんなに幼い子供を、一人にする時間が、独りにする時間が、あまりにも長すぎる。


「ど、どうしてそんな……」

「母さんは、小さな製紙業の社長さん。父さんは今マイアミだったかなあ……二人とも、凄く大変なんだ」


 大宮は、何も言わずに頷いた。

 しかし本当は、何も言えなかったが正しい。胸の内の動揺を、目の前の少年に見せたくなかったから。


 が、どうやら大宮が、自分に出来るだけ気を遣って振る舞っていることに、彼は気付いている様子だった。


「大丈夫だよおばさん。僕、慣れてるから」


 とだけ言って、またココアを口に含んでいた。

 本当に何てことないと言わんばかりの口調で。

 むしろ、こちらが慰められているかのような心地になりながら、気丈に振る舞う拓二に感嘆の念さえ覚えていた。


「母さんは一時間も寝てないって言ってた。父さんは病気になったり治ったりを繰り返してるって言ってた。だから、僕に構ってる時間は無いんだってさ」

「でも、それでも……!」

「――――ねえ? 僕は可哀想かな?」


 拓二は、遮るように訊いた。


「担任の先生なんかも、僕のことを知ると結構そういう目をするんだ」


 拓二は、静かな物言いで話し続ける。


「――――可哀想な子を見る目。別に、僕は僕のことを可哀想とか思ってないんだけど」

 

 強がりにしては、その語気にはそれ相応の感情の起伏はなく、一抹の諦観の意だけが残っていた。


「わ、私は……」

「いいよ。慣れてるって言ったでしょ」


 助けを求めるでもなく、泣き言を上げるでもなく、ただただ受け入れている。

 これが自分の置かれた世界だと、納得しているのだ。


 その様に、大宮はもう何も言えなくなって。


 これが例えば、拓二が大宮に何かを求めるような素振りを見せていれば、何かしらのアクションを起こしていただろう。

 彼の母親の元へ抗議し、事情を説明して味方を募り、その環境改善を会社そのものへと訴えようともしていたかもしれない。

 彼女は、極度にお節介焼きで、そして情深かった。



「……ありがとね、おばさん」



 ――――しかし、察してしまった。


 彼のこの一言で、大宮が考えていたことが全て霧散した。


 それらは、意味の無いことだ、と。

 当の拓二本人が、それを望んでいない、と。

 

「なんだか凄く……寂しい、わね。君って」

「……そう、かな?」


 小首を傾げる彼は、ふと外を見た。


「あ。雨、止んでる」

「あら、ほんと……」


 ゆっくりと立ち上がる拓二を、大宮は止めようとしなかった。


「僕、そろそろ戻ります。色々ありがとう。着替えとかはどうしたら――――」


 このまま誰もいない家に帰ろうとする彼に、何と声をかけていいか分からなかった。

 

「わふっ」


 そんな彼女の代わりというかのように、一匹の犬が拓二に向けて鳴く。

 尻尾を振り回し、構ってくれと言っているかのように上目で拓二を捉える子犬、モモタロだった。


「……犬、かあ。いいなあ」 


 その頭を、そっと柔らかく撫でる拓二。

 年相応の、物欲しげな彼のその一言を聞いた時、大宮は強い安堵感を抱いていた。

 初めて、彼の口から子供らしい声音を聞いたような気がして。


「そうねえ……拓二くんが大きくなって、一人暮らしし始めたらプレゼントしてもいいわね」

「え、本当?」

「ええ。約束するわ」

「やった、絶対だよ?」


 その子供特有の無邪気さに、大宮はそっと微笑んだ。


「その子はね、道に捨てられてたのを拾った子なの。ちょうど、今日みたいな雨の降ってる日にね……」

「こいつ、捨て犬だったの?」

「ええ、そうね……」


 思い出すのは、お話のように段ボールの中に捨てられ、雨に打たれて鳴いていたモモタロと会った時のこと。


「なかなか、私に懐かなくてね。苦労したんだけど……」


 ――――ああ、そうだ。ずっと、どうしてこんなにこの少年のことを気にかけているのか、考えていた。


 あの時と、拓二を見つけた今日が、被って見えたからだ。


「……拓二くん、着替えは持って帰っていいからね。返したくなったらまたいらっしゃい。いつでも歓迎しますから」

「あ、ありがとう……ございます」


 舌足らずにもお礼を言い頭を下げる拓二に、強い情愛を覚えた。


 そして、思う。


 ゆっくりゆっくりと、彼自身を閉じる殻を破ってやろう。

 どれだけ時間が掛かっても、彼の境遇に気付けたのは自分なのだ、と。



◆◆◆



「――――……いるんよなー、時々。寂しさを知らない寂しい子供ってのは」


 その日の夜、拓二が帰った後の大宮家。


 少し遅めの夕飯をとる、大宮紫子と、もう一人の男。

 前髪を掻き上げ、オールバックにして固めた髪型の、三十代半ば程のこの中年男性は、頬杖を突いて言った。


「どういうこと、清道(せいどう)?」


 紫子は、今日あったことを対面に腰掛ける自分の息子に話していた。

 幅広い分野で幅を利かせている日本有数の大企業、大宮コンツェルン社長、大宮清道。紫子は、その母親であった。

 清道の父親、つまり紫子の夫は既に他界しており、現在は二人で共に暮らしている。

『ボケてからじゃ遅い、介護してやる』と、独り身になってしまった紫子に、そのような同居話を持ちかけたのは清道だった。

 多忙故にあまり帰ってこない息子だが、時にはこうして自分の手料理を振る舞い、会話に花を咲かせたりしている。齢六十過ぎにして満ち足りた生活を送っていた。


 今日も、彼女の話す拓二を一通り聞き続けた彼は、結論付けるように告げた。


「そりゃ簡単なこったぜ母さん。そいつにとっちゃ、『そういう』生き方が当たり前ってだけの話よ」


 大きな欠伸を一つ吐き、


「元が寂しい生き方してる奴は、自分が寂しいなんて思わない。一人が普通なのさ、そのガキにとってはな。まあ滅多にいるもんじゃないが……俺や母さんとはもはや文化が違う外人さんくらいに思った方がいいぜ」


 清道と呼ばれた男は、もそもそと夕食を口に運ぶ。

 とても行儀が良いとは言えない格好で、物申したげに紫子がじとっと睨むが、まるで気にしない。


「でも、とても辛そうだったのよ。いえ、貴方の言う通り、辛いとさえ本人は気付いてないかもしれないわね。寂しさに鈍くなってるんだわ。今時、あんな子がいるなんて……とてもいい子なのよ、なんとかしてあげたいわ」

「……ふぅーん」


 その眼鏡の奥の瞳が、一瞬だけ僅かに細まった。

 そして、思い出したかのように突然、彼はこう告げた。

 


「――――でもよ、お人好しな母さんに一つ言っとくけどな。もうそいつとはあんま関わらない方がいいぞ」

「えっ……?」


 

 ま、実際に見てないからよく知らんが、と言って、サラダをもしゃもしゃと食べる。


 それは、清道にとっては何の気なしに言った一言だった。

 しかし紫子には頭を殴られたかの衝撃を孕んでいた。清道は、そんな母の様子に何かを察した様子で、大きなため息を溢した。


「あーあー止めとけ止めとけ、俺ァこん年になって詐欺に掛かる母親なんて見たかないぜ」

「なっ、なんてこと言うの清道!」


 温厚な紫子も、これには声を荒げた。

 信じられない言葉だった。


 あんな子供を詐欺のような悪質行為と同列に扱うことに無性に腹が立った。

 あんなにも……不憫な子供を、紫子は知らなかった。知らなかったからこそ、変えてやりたい。

 人並みの感情を、取り戻してあげたい。


 そう思うことを、まるごと否定されたかのように感じて。


「なんてこともなにも。こないだ拾ってきたあの犬と一緒よ。寂しそうに見える奴は、無条件で同情を買える。気に入る人間は気に入っちまう。出来ることなら何とかしてやりたい……そう思っちまうもんさ」


 しかし、清道はあっさりとそう答えた。

 重ねて、こうも語る。


「でもよー、ただ鳴くだけの犬とは違うとこが、人間っつうのにはある。……それを利用できるだけのオツムがあんのよなあ」


 その表情は、何時しか真剣な色合いを帯びていた。


「無意識だからこそ、言葉巧みになる。無作為だからこそ、人の意識に容易く潜り込むこともある。……悪いことは言わん、もう会うのは止めときなって。立ち入って良いことは何もねえよ」

「そんな……!」

「何もしてやれねえって。別に今すぐ死ぬってんじゃあねえんだろ? じゃあアンタがそいつに関わるような理由もねえじゃねえか」

「でも……出来るだけ、助けてあげたいじゃない。それも、ほんの小さい子供なのよ? そう思うことはいけないこと?」

「……所詮赤の他人だ、現実問題、俺らがどうこうしてやれることはねえさ」


 でも、と言いかけて、紫子は口をつぐんだ。

 何かしてやりたいと一口に言っても、その具体的なところは何一つ考えられなかったのは間違いなかったから。


「ごっそさん」


 サラダのスライストマトだけを嫌みなくらいに綺麗に残し、立ち上がる。


「『寂しがりやの奴』と、『寂しそうに見える奴』はまた違う。見てないが分かるよ――――そいつは後者さ。末には自分(テメエ)の都合に、他人を巻き込むことになるぜ」


 最後にそう予言めいた一言を言い残して、清道はその場を後にした。



◆◆◆



 それから十年。清道が言った忠告に反して、今も二人の交流は続いている。

 頻度はそこまで多くはないが、顔を会わせればその場で話し込む程度の、緩やかな関係。

 彼は、一旦心を開くととても雄弁に物事を語り、まるで自分と同い年くらいの友人と話しているかのような錯覚を時折抱いた。

 しばらくすれば、もはや拓二への同情心だけでなく、単純にこの小さな友人との会話を楽しんでいた。

 


「あらあら、もしかして拓二くんかしら?」

「ああ、どもっす。いやあ、偶然ですね」



 拓二が一人の時、紫子はよく声を掛けた。



「犬いいなあ……一匹くれたりしません?」

「そうねえ。拓二くんが大きくなって、一人暮らしし始めたらプレゼントしてもいいわね」

「……本当に? ありがとう」



 拓二が困っているように見えた時、紫子は優しくなだめた。


 懸命に懸命に、彼女の出来る限りのことを、拓二にしてきた。 

 遠巻きながら見守るように、長年ずっと気にかけてきた。

 仲のいい『近所の人』として、しかし年の離れた息子が出来たようにさえ感じていた。

 

 ――――紫子『は』。


「――――そうだわ、今度うちに遊びにいらっしゃい。この子達とも遊べるし、お夕食だってご馳走するわよ?」

「マジで? 行きます行きます。焼肉とかでもいいすか?」

「ええ、もちろん」

「よっしゃ、やりぃ!」

「うふふ、今から私も楽しみだわ――――」



 ――――果たして、清道の言葉が正しく、現実となるのはいつの日か。

 あるいは、予言は予言として、外れるものなのかもしれない。


 しかしそれは意外と、もう始まろうとしているのかもしれない。


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