第85話 穴掘り
砦に戻ると、設計図片手にじいちゃんが唸っていた。
「じいちゃーん、大丈夫ー?」
「何も問題ないわい」
本当かな……。まあ、設計図通りに作れば、大丈夫のはずなんだけど。
私の魔法って、じいちゃんに教えられたものが基礎になっているから、こういう物作りに関する魔法はじいちゃんの方が上なんだよね。
ただ、私はそれに日本の知識とかが混ざるんで、じいちゃんが予測もしない作り方をしたりするってだけ。
飛行船の方はじいちゃん任せで問題なし、と。じゃあ、塔の修繕をやりますか。
買い足した石材も全部亜空間収納から出して、塔の下に積み上げる。元からある石材は風化が激しいから、まずはそれを取り除いて、と。
前に砦の中は魔法で綺麗にしておいたから、余計なゴミなんかは撤去済み。
さて、更地になった場所に魔法で穴を掘る。塔の地下と、砦の別の建物の地下を繋げておこうと思って。
あと、土台の強化もしておきたいなーと。その為に亜空間収納の中では、既に解体した下位種ドラゴンの骨を焼成中。
さすがに何にもないところで一千度の炎を出すのは大変だから、亜空間収納の環境をいじって、熱を逃がさないようにしてから、大量の酸素を送り込んで焼いてる最中です。この辺り、全部検索先生が教えてくれた。
また、この焼成時間が長いんだ。三十二時間は焼かないといけないらしい。普通にやろうとしたら、重労働だよねえ。
同時に以前狩っておいたスライムを、こちらも亜空間収納の中で乾燥、粉砕しておく。なるべく細かくした方がいいらしいよ。
亜空間収納、マジ便利。内部を区切って今回みたいに環境を変える事も出来るしね。ある区域は一千度、ある区域は湿度二十%なんて、普通は無理。
海水は焼成終了頃にでも北で汲んでくるとして、同時進行させられそうなのは、鱗の処理かな。
下位種ドラゴンの鱗は結構堅い。これを割ってかけら状にしてから、骨やスライム粉末と海水を注いで混ぜるらしい。
んじゃあ、砦の地下部分から手を入れますか。
「うーんと、ここを掘っていけばいいのか」
透視と検索先生作成の作成図を元に、地下を掘り進める。塔の床材は剥がして亜空間収納の中。あとで使うかもしれないし。
掘るのと同時に周囲を魔法で固めておいて、崩れるのを防いでおかないと。いきなり上から土が降ってきたとかになったら、シャレにならない。
風をドリル状にして土を掘るので、早い早い。掘って出た土も、今は亜空間収納へ。上で使うかもしれないから、まだ捨てない。
順調に掘り進めていくと、検索先生からアラート音が出た。あ、周囲の強化、足りてなかったわ……
このままだと、天井が落ちてくるので危険だって。本当なら、柱でもいれるところだけど、魔法があるから!
周囲にもう少し強めに強化魔法をかけておく。ついでに、周囲の土を綺麗にならしておく。壁や天井も忘れずに。
これ、あとでドラゴンコンクリートで綺麗に固めるから、強化はそれまでのつなぎ。こういう臨機応変にも対応出来るから、魔法って大好き。
さて、そろそろ既存の地下室に辿り着くかな。
繋げる先の地下室の壁を壊したくないので、手前あたりからドリルをやめて土そのものを移動させるように掘っていく。
ドリルに比べると、ガクッと進みが遅くなるなー。
「お? 到達したかな?」
検索先生の言う通りに掘り進めていくと、石材が見えてきた。この石壁の向こうが、繋げる地下室だ。
よしよし、壁を崩さないように向こうの天井とか色々強化しつつ、石壁を取り払っていく。
「やったー! 無事貫通ー」
よし、成功。あとはざっと周囲や足下をならして強化。ついでに光もつけておく事にする。
ここまでは、検索先生からの情報を元にして表示した画面を見ながら掘ったからね。
VRゴーグルみたいな感じで、目の前に掘る方向が明るく示される感じ。結構便利だな、これ。
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