ハノン

居間にいる 灯りはつけず

昇り詰めては墜ちる 

ハノン ハノン ハノン


窓の向こう 平屋の壁を 

残照が赤く染めている

昇り詰めては墜ちる 幾何学の軌跡


(あたし、あんたの機械になりたかった)


ミスタッチの濁りの小さな波紋


(いつまでも操られていたかった)


昇り詰めては墜ちる 

ハノン ハノン ハノン

最初の部品の折れる音


鍵盤の上に落ちるのは 

機械が流す冷たい涙

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