第168話 ストーブ

 わたしがベッドで昼寝をしていた時、猫が枕元にやって来た。猫はたまにわたしに甘えるため、呼びに来ることがある。わたしは、可愛いヤツめ、と思いつつ、ホットマットへと座る。するといつもなら尻尾を立てて駆け寄って来るのにそれがない。わたしが猫の名前を呼ぶと、ほてほてと歩いてやって来た。しかし尻尾は立っていない。わたしはどうしたのかと思ったが、ストーブが止まっていることに気づいた。ウチにあるストーブは数時間すると止まるようになっている。

 まさかストーブを点けて欲しくて猫はわたしのところへやって来た……?わたしが猫の様子を窺うと、猫はストーブの前に座り、眠そうにわたしを見た。わたしは試しにストーブを点けてその場を離れてみた。すると猫はわたしがいた所で寛ぎだした。

 あぁ、勘違い。わたしに甘えたかった訳ではないのか……。なんだか寂しいよ。


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