第110話 好きな布団

 ウチの子(猫)には、好きな掛け布団がある。それは、夏用の羽毛布団だ。冬用の羽毛布団と違って、夏用のものはシャカシャカと音がするのだ。猫はおそらくその音が好きなのだろう。

 夏用の羽毛布団を出した時には、感触を試すように歩き回る。そしてベッドの真ん中で横たわる。至福の時らしい。目が半分閉じている。

 夜寝る時暑くてわたしが掛け布団を脇に退けても、猫は掛け布団の上で寝ている。遊ぶ時にも夏用の掛け布団の上だと、いつもより張り切っているように見える。そこまで好きならずっと出したままにしてあげたいが、そうもいかない。冬用の掛け布団を出すと、夏用のものは邪魔なので片付ける。

 そして冬用の羽毛布団の上には、少し不貞腐れたような猫がいる。

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