第67話 待って

 わたしは昼寝をしていた。猫がベッドへ上がってきたことにも気がつかなかった。猫はわたしの横の掛け布団の上に伏せるようにいた。わたしが目を開けると猫と目が合う。


「起きるの待ってたの?」


 わたしが猫に聞いた時だった。

 猫は掛け布団ごとベッドから落ちそうになった。それを落ちまいと、慌てて掛け布団に爪を立てようとする。しかし猫の健闘も虚しくお尻からずり落ち、静かにフェードアウトしていった。


「あははははは!」


 わたしは思わず笑ってしまった。猫は不機嫌そうに尻尾をぶんぶん振っている。

 ごめんよ。でも面白かったんだよ。

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