第64話 朝?

 猫にとって朝がきたらしい。わたしを起こしたのだ。

 時計を見ると、三時だ。

 もう一度言う。午前三時だ。

 わたしにとっては朝ではない。まだ夜中だ。眠い。わたしはまた寝るべくベッドに潜った。

 すると猫はわたしの枕元でわたしを見ている。そして前足を枕に乗りあげてわたしの顔の匂いを嗅ぐ。


 ふんふんふん


 鬱陶しくて眠れない。わたしは、猫がいるのとは反対方向へ寝返りをうつ。猫はわたしの顔の横に回りこみ、また匂いを嗅ぐ。


 ふんふんふん


 うぅ……眠れない……。


 猫はごはんが欲しいのだ。わかっている。しかしごはんの時間ではない。


 でも寝たい。


 猫には、わたしの葛藤など関係ないのだろう。わたしの周りから離れない。仕方なく猫にごはんをあげる。

 また猫に負けた。

 わたしは再びベッドに潜り込んだ。

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