第60話 ブラッシング

 猫には、夏毛と冬毛がある。季節に合わせて体温調節をするためだ。毛が生え変わる時には毛が抜ける。それで必要なのがブラッシングだ。

 ウチの子(猫)は、基本的に体に触られることが嫌いだ。唯一喜ぶのは頭の上だ。普通は喉だと思うが、喉を撫でようとすると噛まれる。

 そんな猫のブラッシングは大変だ。わたしに近寄ってきたところを捕まえて背中をブラッシングする。すると猫は体を低くして逃げる。それの繰り返しだ。ときにはブラッシングを二~三回しただけで噛まれる。だが毛が生え変わる時は、大量の毛が抜けるのだ。それを全てセルフ毛繕いで毛を飲み込んでいては猫の体にも悪い。

 だからわたしは噛まれてもブラッシングをする。そして、ブラッシング用の道具を常にテーブルの上に置いて、猫を待ち構えている。

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