第40話 お風呂から出た後 

 わたしがお風呂から出ようと扉を開けた時、猫はバスマットの上にいなかった。いつもならバスマットの上で待っているはずなのに。

 わたしはバスマットに足を下ろし、髪の毛を拭き始めた。すると猫がやってきた。猫はわたしをじっと見ている。しかし少しすると猫はどこかへ行ってしまった。わたしは服を着て洗面室を出る。

 すると床に綿棒が落ちていた。

ん?どうして綿棒がこんなところに?


わたしは不思議に思いながらテレビを見に行く。そこにはわたしのクレンジングシートが落ちていた。


 あっ、猫か!


 わたしはようやく猫のいたずらに気付いた。わたしがお風呂に入っている間に猫は洗面室のものを持ち出していたようだ。

 だが悪いのはわたしだ。猫の手の届くところに、猫が口にくわえられるものを置いてしまっていたのだから。

 わかってはいる。わかってはいるのだが……くそぅ!

 結局わたしは猫を叱ることもできず、無言で猫が持ち出したものを片付けた。

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