第29話 お墓

ウチの子は可愛い。もちろんわたしが親バカなのは認めるが、友達が家に来たときも美人と言ってくれる。

 そんなときふと思う。これからのこと。今は幸せな毎日だ。だが、ずっとそうはいかない。猫の方が先に逝くのはわかっている。そんなことを考えていると涙が溢れる。

嫌だ!一緒に居られなくなるなんて!どうすれば良い?どうすればずっと一緒に居られる?

お墓だ!猫と一緒に入れるお墓を買おう!

わたしは早速ネットで検索する。墓参りは頻繁に行けるよう近場が良い。検索するとたくさん出てきた。わたしは資料請求をする。これで安心とパソコンを閉じる。

しかし翌週から請求したお墓の資料が次々と届く。請求していないものまで届く。家の机はお墓の資料が積み重なり、崩れそうだ。目を通しきれない!と思っていると、次は電話攻撃だ。


「××石材ですが、○○さんですか?」

「はい、そうです」

「資料を請求されたのは○○さんですか?」

「はい、そうです」

「……○○さん、まだお若いですよね?」

「猫と一緒に入れるお墓を探しています」

「……はあ、そうですか」


電話の声でお墓を買う年齢ではないと判断されたらしい。次々かかってくる電話も大体似た内容で、一度かかってきたら次の電話はない。年齢だけで判断するとはひどい。また資料請求をするべくパソコンを開く。しかしパソコンの前に猫がきた。遊んで欲しいのだろう。

そうだ!お墓の資料請求をしている場合ではない。遊ぶ時間は限られている!だから猫と遊ぶ。決して冷やかしでお墓の資料請求をした訳ではない。

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