第2話/13
/その後で。
――イギリス。
[やぁ
『うるさいわよ』
[でもまぁボクとしてはアリスが無事で何よりってところかな。暫くは大人しくしてなよ]
『言われなくてもするに決まってるじゃない! マッドハッターもホワイトラビットも満足に動けないっていうのに、誰が無茶なんてするの!』
[ボクの言った通り、君の憧れだけじゃなかっただろ? カカシは。もっと今を見ないとね……それよりもボクは、レイチェルだけじゃなくて彼にも興味が沸いちゃったよ]
『……珍しいじゃない。貴方が生身の人間に興味を持つだなんて』
[あはは。何か誤解を招きそうな言い方だねバディ。精々、惚れ込んで声を失わないように気をつけよう]
『【人魚姫】って言われていても、貴方、そんな健気なタイプじゃないでしょうに……』
などと言うチャットをしながら、アリスは物思いに耽る。
「……彼が空を飛んだ理由、か……」
――日本。
「やった……やった、やった、ついにやったぁー! カラーズのライセンスゲット! ……これで、やっとスタートラインだぁ……最初はどこにするべきかな。やっぱりイギリス? ロンドン? ミリオンダラーが出るって話だし!」
社会の表に裏に、彼らの“童話”は波紋を呼んだ。
――そして、アメリカ。
「リーダー、ここいらで一丁、名乗りを上げましょうよ!」
事件を知り、我先にと飛び出しかねない仲間を、彼は制した。
「いや、ミリオンダラーを甘く見ちゃ駄目だ」
「でもさぁ、ハクが付くってんならやっぱミリオンダラー狩りが一番じゃないっすか! 俺たちだって色付きで呼ばれたいっすもん! 大丈夫ですって、こと空に関しちゃ【赤】の連中だってリーダーに遅れを取るに決まってるし、二番と八番なんてメインがライダーでしょ? アンタの敵じゃないっすよ、ねぇリーダー。ランスロットさん!」
「……あのねぇ」
ランスロット、と呼ばれた青年は溜息を吐いた。
「いいかい、確かに花形はFPライダーだと思う。でも、レオとスズはどうする? マッドハッターも、ホワイトラビットにしてもだ。連中はプロなんだと思う。それぞれが、それぞれの。何の間違いか、プロの殺し屋や壊し屋が選んだ仕事っていうのが【強盗】だったり【怪盗】だったりするだけだ。そもそもあの、カカシの飛行機にどうやって立ち向かうんだ。ベトナムの兵士じゃあるまいし……何にせよ、僕たちにはまだまだ実力が足りない。もっと場数を踏んでからじゃないと、ボスには挑めない――僕らの出る“幕”は、もっとずっと先だよ」
第2話【ヘヴィロック・ミリオンダラーズ】完。
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