燃費を向上させるコツ(ガソリンエンジン編)アイドリングストップの注意点

 先ほどの続きとなります。アイドリングストップについてです。


 なぜ筆者がアイドリングストップ機能の付いていない車に対して、アイドリングストップをオススメしないのかを説明していきます。


 まず1つ目に、エンジンが掛かっていなければブレーキ性能が落ちるということです。ブレーキにはブレーキブースターと呼ばれる装置が付いています。足で踏む力を何倍もの力に増幅させブレーキに伝える機能を持つ部品です。このブレーキブースターを働かせるにはエンジンからの負圧が必要になります。(一部のハイドロリックブースター、エアブレーキは除きます)


 では、エンジンが掛かっていなければどうでしょう? エンジンから負圧を作ることが出来なくなります。エンジンの負圧はブレーキブースターの中で多少は貯められていますが、すぐに無くなってしまいます。するとブレーキの効きが著しく悪くなり事故に繋がるからです。


 では、アイドリングストップ機能付きの車ではどうでしょう? 実は、ブレーキブースターの中の負圧をわざわざ測るセンサーがついているのです。アイドリングストップ中に突然エンジンがかかった経験はないでしょうか? 複数エンジンが掛かる条件はありますが、ブレーキの効きが悪くなりそうなのでエンジンが掛かった可能性があります。


 難しいお話をさせては頂きましたが、要するにブレーキが効かなくなる可能性があるということなのです。ブレーキの性能が落ちる危険な状態にしてまで燃費を稼ぐ必要は無いと筆者は考えております。

 

 2つ目のオススメしない要因としまして、アイドリングストップ機能が付いていない車に関しては、スターターモーターがアイドリングストップ用に設計がされていないと言うことがあげられます。スターターモーターとはエンジンを掛けるためのモーターです。エンジンキーを回すと、キュルキュルとモーターが回る音がするかと思います。その音の主がスターターモーターです。アイドリングストップ機能付きの車では、設計上10万回ほどのスターターモーターの起動が想定されているようですが、アイドリングストップ機能が付いていない車ではそこまで想定はされていません。一度エンジンが掛かってしまえば、目的地までスターターモーターを使うことがないと考えられていないからです。


 では、アイドリングストップ機能が付いていない車でアイドリングストップ車同等のスターターモーターの使用をすればどうなるのか? 答えは簡単です。スターターモーターが壊れるのです。修理費にはどのくらい掛かるでしょうか? 車によって違いはありますが、取り替え工賃と部品代合わせて、数万円の請求があるかと思います。せっかく燃料の消費を少なくして、節約したお金が、一瞬にしてなくなるでしょう。また、故障をすればエンジンが掛からなくなります。その場から動けなければレッカーも用意しなければいけないでしょう。費用の面もそうですが、目的地にも到着出来ず、困ることが多いのです。そのため、アイドリングストップ機能が付いていない車ではアイドリングストップを行わないことをオススメするのです。


 ちなみにアイドリングストップ機能付きの車のスターターモーターが頑丈に作られているからと言って、壊れないと言うわけではありません。定期交換が必要となります。車によってはスターター起動回数がカウントされ、ドライバーに交換時期を促す車も存在します。故障してからでは、先ほど言った目的地まで辿り着けなく困るからです。


 また、アイドリングストップ機能付きの車両ではスターターモーターを交換することが前提で設計されている車が多くあります。交換がすぐに出来るように取り付けられているのです。車の整備の工賃は基本的には交換時間から算出されます。簡単に替えられる用に設計されているのであれば工賃も安く済むのです。


 3つ目はバッテリーの問題です。アイドリングストップ機能が付いた車には専用のバッテリーが搭載されています。バッテリーが一番電気を使うのがエンジン起動時、即ちスターターモーターを回す時となります。頻度にスターターモーターを使用するアイドリングストップ車にはやはり専用のものが使われているのです。では、アイドリングストップ機能の付いていない車ではどうでしょう? こちらは始めにエンジンを掛ければ、スターターモーターを使わないという前提でバッテリーが用意されています。そのようなバッテリーではアイドリングストップを頻度に行えば、バッテリーの寿命は短くなり、最悪エンジンが掛からなくなるのです。


 では、アイドリングストップ機能が付いていない車に、アイドリングストップ用のバッテリーをつけたらどうでしょう?あまり効果がないとのことです。そもそも車の充電方式が異なるからです。でしたら、わざわざ高いアイドリングストップ専用バッテリーを購入するほどではないと言うことになります。


 また、アイドリングストップ機能付きの車ではバッテリーをセンサーで常に監視しています。バッテリーの電気が少ない時はアイドリングストップを行わないようにコンピューターが自動で判断します。エンジンが掛からなくては困るのです。コンピューターまで駆使してアイドリングストップを制御しているということを理解していただければ、手動でアイドリングストップを行うことがオススメ出来ないことが分かるかと思います。


 アイドリングストップ機能搭載車に乗られている方は、後ほどお送りするアイドリングストップ車編をご覧ください。

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