Scene.11 終焉は終わりのままの虚しさ

第126話 やっぱり俺はモテない。

 テオスの拠点に着いた俺は、周りを見渡す。

 誰かいる……?

 あそこにいるのは誰だ?

 俺は、走ってその場に向かう。

 するとそこには玉藻さんとクレイジーが戦っていた。

 クレイジーがなにか話している。


「貴方、とってもかわいそうね」


「どうしてだ?」


 クレイジーの言葉に玉藻さんが尋ねる。


「貴方、亜金のこと好きでしょ?」


「それがどうした?」


「でも、あの子はプレゲトンって子の事ばかり考えている。

 貴方は、それが気にいらなくて仕方がない。

 亜金の心の中には、貴方のことなんてひとっつもない」


「そんなこと……な……い」


「信じたくないのね?

 わかるわ!わるわよ!玉藻!

 かわいそうな玉藻。

 つらそうな玉藻。

 今すぐ楽にしてあげーない!

 手足をもいで素っ裸にしてオークの群れの中に放り込んであげる。

 貴方は、そこで永遠に子供を孕ませ続けるのよ!

 あははははは!」


 クレイジーは、高笑いを浮かべながら玉藻の方に人指し指を向けた。


「私は、私は、私は!」


 玉藻さんが、動揺しているのか剣が震えている。

 ヤバイ。

 このままでは、玉藻さんがやられる。

 俺は、玉藻さんの前に立つ。


「……昴?」


「玉藻さん大丈夫?」


「ああ……

 大丈夫だ」


 玉藻さんは、きょとんとした顔をしている。

 もしかして、亜金君から俺へ乗り換える心の準備をしているのかな?

 しかし、玉藻さんが見ている視線は俺じゃなかった。

 空を見ている。

 そらには大きな炎の剣を持った亜金君がいた。


「亜金……」


 やっぱり俺に乗り換えるとかないよね。

 はぁ……

 やっぱりいまさらだけど俺はモテないよね。


「亜金、なにその目は?」


 クレイジーが、亜金君を睨む。


「玉藻が泣いている。

 泣かしたのはお前か?クレイジー・クレイジー!」


 亜金君が、プレゲトンを構える。


「だったらどうなのかしら?」


「お前を……!」


 亜金君が、クレイジーに向かい駆ける。


「殺せるの?

 貴方に私が!

 無限の再生力を誇る私を!」


 クレイジーが、笑いながらそういった。

 亜金君が、クレイジーをプレゲ飛んで斬る。


「俺は、お前を殺さない!」


「なにこれ……?」


 クレイジーの体が少しずつ燃え上がる。


「地獄の業火に焼かれて永久(とわ)に苦しめ!」


 亜金君は、そう言ってプレゲトンを解放した。

 するとクレイジーの体が一気に燃え上がる。

 クレイジーは、大きな叫び声をあげて炎に包まれた。


「そして、地獄に落ちろ!」


 亜金君が、そう言うとクレイジーの影から無数の手が現れクレイジーを地面に引っ張る。。


「亜金!貴方のことは忘れない!

 貴方は、あたしが必ず……!」


 クレイジーは、そう言い残し地面の中へと消えた。

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