第115話 裏切りも生きるためには必要なもの
「いよいよ。
最終決戦だね……」
カイが、静かに答える。
「最終かどうかはわからないが……
追い込みだな」
俺が、そう言うとカイが不安そうに俺の方を見る。
「昴。
もう、黙ってどっかに行かない?」
そう言ったカイの目は真剣だった。
だから、俺は真剣に答える。
「大丈夫だ。
俺は、もうここを出たりはしない」
「本当か?」
「ああ……
本当だ」
俺は、そう言って小さく笑った。
「約束だぞ?」
カイがそう言って小指を立てる。
「うん?」
「指切りだ」
一瞬、ソラの顔が浮かんだ。
なんだろう……
やっぱり姉妹なのからなのか?
ソラとカイは、考えが似ているのかもしれない。
そして、俺はこの寂しそうな顔を知っている。
今のカイの顔、りっちゃんにそっくりだ。
もしかして、カイの前世って……
俺は、小さく頷くと小指を立てる。
「ゆびきりげんまんか……」
俺は小さく頷くとカイと指切りをした。
もう逃げない。
俺は小さく誓った。
――次の日
マスターの店で俺たちは集合した。
総攻撃というわけだ……
パンドラ、アンゲロス、ルシファーの面々が集う。
俺なんて場違いじゃないかと思ってしまうほど強そうな人たちが集まっている。
「さて、揃ったようだな」
バルドさんが、そう言うとかみさまが不満そうに口を開く。
「ファルシオンが、来ていないようだが……」
「ファルシオンは現地集合だそうだ。
隊長クラスは全国に分散しているらしいからな……
隊長クラスはなかなか集まるのが難しそうだ」
バルドさんが、そう答えると、かみさまが小さくうなずいた。
「そうか……
亜銀について聞けたら聞こうと思ったのだが……」
「亜銀?」
俺が首を傾げると万桜さんが答える。
「詩空 亜銀。
亜金君の弟でファルシオンのメンバーだったはずの子よ。
今は何故かテオスにいるのよ……」
「裏切ったのか?」
俺の言葉に答えれるものはいない。
「それを確かめるために聞きたかったんだ」
かみさまの吐くような言葉に俺は胸が傷んだ。
たぶん、一番つらいのは亜金くんなのだから……
裏切りも生きるためには必要なことだ。
これが裏切りなのかそうじゃないのかは、わからない。
だけど、確かめなければな……
きっと亜金君の弟だ。
理由があるのかもしれない。
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