第109話 赤い目の老人
パンドラの外を出て約半日。
数回モンスターに襲われた。
でも、今の俺の手にかかれば余裕で倒せた。
スライムにも勝てた。
俺は強くなれた。
この調子ならなんとか生きていけるかも?
そう思ったとき牛の姿をしたモンスターが現れた。
お腹が空いたな……
こいつ食えるかな?
俺は、そのモンスターを瞬殺した。
倒したのはいいけれどどうやって食べよう?
火の魔法とか使えないぞ?俺……
流石に生肉を食べれるほど俺はワイルドじゃない。
俺が肉の調理法を考えていると1人の老人が近づいてくる。
「ほうほう。
この牛は、角牛(つのうし)じゃな。
結構美味しいぞ」
老人がそう言うと小さく笑った。
「そうなのか?
でも、残念だが俺は炎の魔法は使えないんだ。
ってか、魔法のたぐいは一切使えないんだ」
「そうか……
火の魔法ならワシが使える。
調理してやろうか?」
「できるのか?」
俺の質問に老人が笑う。
「ああ。
任せるがいい」
老人が小さく笑うと細い目が更に細くなった。
そして、角牛のフルコースを老人に作ってもらった。
その牛をふたりで食べた。
食べきれない分は、保存魔法と言うやつで肉を長期保存してもらい更に四次元ポケット的なアイテムの中に収納してくれてそのポケットまでくれた。
気前の良い爺さんだ。
更にこの牛肉は、滅茶美味しい。
「ところで、主はひとりか?」
お腹が満たされ一息ついた所で爺さんが俺に尋ねる。
「ああ……」
「仲間はいないのかのう?」
「今は……いない」
この言葉を吐くのに胸が痛む。
仲間……
そう呼べる人がはじめて出来たはずだった。
でも、俺は逃げた。
苦しい。痛い……
「そう、それはよかった」
老人の目が開く。
赤い目をしている。
「……どういう意味だ?」
寒気がする。
なんだこれ、前にも……
俺がそう思った時、老人は左腕に光の刃を召喚した。
これは死を想像する恐怖だ。
刃が、俺を襲う。
俺は、それを避ける。
当たれば死ぬ。
一定量の巨大なダメージは今の俺では食べきれない。
「く……」
万事休しか?
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