Scene.07 さよならの言葉が残らない虚しさ

第59話 その言葉が何度も心のなかでループする

 ソラの言葉が、ドゲのように刺さる。


「だって、私の命はもうすぐ消えてしまうから」


 その言葉が、何度も心の中でループする。

 あれから数日が過ぎた。

 ソラは、いつもと変わらない笑顔で喫茶店を手伝っている。

 俺は、いつものように子守りの仕事。

 気合が入らない。

 するとかみさまが、俺の前に立つ。


「心ここにあらずって感じだな」


「かみさま……?

 どうしてここに?」


「なんとなくだ。

 余は、街の護衛が仕事だからな。

 遠征もするが、基本はこの辺をブラブラしている」


「そうか……」


「何があった?

 余に話してみるがいい」


 俺は、かみさまに話すか迷ったが話すことにした。


「実は、ソラの様子が少しおかしいんだ」


「おかしいのか?先ほど喫茶店に行ったが普通に笑っていたぞ?」


「なんて言ったらいいのかわからないんだが……

 なんかおかしいんだ」


「……うむ」


 するとかみさまと俺の携帯がなる。


「あれ?バルドさん?」


 バルドさんからのメールだった。

 かみさまもバルドさんからっぽかった。


「うむ。

 仕事のようだな」


「うん」


「テオスが、西の村を襲っているらしい」


「うん」


「今回は、その村の救出だとさ……」


「みたいだな」


「行くか?」


「うん」


 かみさまと簡単なやりとりをしたあと、俺たちは兵長室に向かった。


「……来たようだな」


 バルドさんが呼んだその部屋には、ソラや万桜さんがいた。


「今回は、この4人でテオスと戦ってもらう」


「4人でか?」


 かみさまが、バルドさんに質問を問いかける。


「ああ。

 他にも人員を振り分けたいんだが……

 亜金や玉藻たちは他のテオスから襲撃を受けている村に向かって貰っている。

 俺や、ミズキも出向いて戦いたいがここを叩かれると不味いんでな」


「うむ……で、相手は誰だ?」


「ジルとリクだ。

 あと数十匹のモンスターが村を破壊しているらしい」


「わかった。

 ジルの相手は、昴に任せよう」


「俺にか?」


「ああ。

 因縁の戦いってやつだろう?」


「そうだな……」


「ソラもリクをどうにかして取り戻せ」


「はい」


 ソラも小さくうなずく。

 やっぱり俺の不安は気のせいなのだろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る