第38話 ドラゴンの血

「魔剣士?」


 亜金君が首を傾げる。


「……そう。

 アンタの魔力は、相当高いのよ。

 ジルみたいに自分の都合の良い時に召喚とか嫌なのよ。

 アンタなら永続召喚できそうだけど……」


「俺、そんなに魔力高くないよ?」


「魔力云々の問題じゃないのよ。

 MPというのかしら?」


「まじっくぽいんと?」


「そう、魔法のキャパシティってヤツね。


 アンタも転生者でしょ?」


「……うん」


 プレゲトンの言葉に亜金君がうなずく。


「ってな訳で、ジル!

 アンタとは今日でさよなら。

 契約解除ね!」


 プレゲトンがそう言ってジルに手を振る。


「貴様!

 裏切るのか?」


 ジルの顔が、怒りに満ちている。


「……裏切るも何もアンタとはきちんとした契約してないわよね?」


「プレゲトン!

 貴様もそこの女もここでぶちのめして犯してやる!」


 ジルがそう言うとプレゲトンがため息をつく。


「そういう発想が低次元なのよ。

 力でしか女を抱けない男の寂しい発想ね」


 プレゲトンがゆっくりと亜金君に近づく。

 そして、亜金君の手を握りしめる。

 するとプレゲトンの体が燃え上がり亜金君の手に炎に包まれた大剣が現れた。


「あは!

 やっぱりアンタ凄いわ!

 私の方が力が、溢れる!」


 プレゲトンが、笑い声混じりにそう言うとジルがドラゴンに指示を出す。


「おい!

 アイツを焼き殺せ!」


 ドラゴンは、うなずくと亜金君目掛けて炎を吐いた。

 しかし、炎は全て剣に吸収された。

 亜金はそのままドラゴンに斬りかかった。

 亜金君は、ドラゴンの血を浴びる。


「あ、ドラゴンの血を浴びましたね」


 ソラが呟く。


「ドラゴンの血を浴びるとどうにかなるの?」


「うん。

 一般的にだけど……

 ドラゴンの血を浴びた剣は、ドラゴンスレイヤーになるんです」


「つまり、どういうこと?」


「つまりは、ドラゴンの魔力を吸収するのです。

 剣が強くなるのです」


「そ、そうなんだ……?

 じゃ、俺も浴びたら強くなれる?」


「それは、わかんないですけど……

 こんな話をしているうちに亜金様がドラゴンを倒しちゃいましたよ」


 ソラが、そう言ったので俺は慌てて亜金君の方を見た。

 すると消滅していくドラゴンの姿があった。


「凄い……

 俺でもドラゴンを倒せた」


 亜金君が目を丸くして驚いた。

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