第21話 無傷なのは最強な証拠

「どうしたの?」


 ロングヘアーのサキュバスが、ショートカットのサキュバスに話しかける。


「どうしたの?」


「私のチャームが効かない?」


「へぇー。

 ってか、貴方のフェロモンが足りてないんじゃない?」


 ロングヘアーのサキュバスが嬉しそうに笑う。


「そうなのかなぁー?」


 ショートカットのサキュバスが、残念そうに肩を落とす。

 ロングヘアーのサキュバスが、こう言って笑う。


「私の色気でこの坊やを落としてみせるわ」


「うん」


 ショートカットのサキュバスは小さく頷く。

 そして、俺の頬に手を当てる。


「私のものになっちゃえ……」


「うん?」


 何をされたのかわからない。

 だけど、効果が無いようだ……


「私のチャームも効かない!」


 ロングヘアーのサキュバスが戸惑う。

 そして、そのサキュバスは何を思ったのか俺の手を握りしめる。

 そしてそのまま俺の手を自分の胸に当てる。

 柔らかい……

 女の子の胸ってこんなに柔らかいのか……

 なんか、ポワンしてふにゃっとして弾力があって、なんとも言えない心地だ。


「あ、じゃぁ……

 私も!」


 ショートカットのサキュバスも俺の手を胸に当てた。

 あ、こっちはそんなに大きくないけれど、なんかいいや。

 柔らかさが少し違う。


「ふふふ……顔が赤いよ?」


 ロングヘアーのサキュバスが嬉しそうに笑う。


「一応、男の子ではあるのね……

 貴方のここ大きくなっているわよ?」


 ショートカットのサキュバスも笑う。


「チャームが効かないのなら……

 直接交渉するってのもありかな?」


「いいわね」


 ロングヘアーのサキュバスがそう言うとショートカットのサキュバスが言葉を放つ。


「あの女達を殺せば私たちを好きにしてもいいわよ?」


「え?」


「私たち、こう見えて結構テクがあるのよ?」


 テクってなんだろう?


「待て!あの女どもは俺たちが犯す!

 サキュバスども!あの女どもは殺させないぞ!」


 オークたちが、そう言ってサキュバスを囲む。


「はぁ?そんなの関係ないんですけどー?」


 サキュバスが、不機嫌な顔でオークたちを睨む。


「なんなら、お前らから犯してやろうか?」


「はぁ?私たちの方が強いんですけど?」


 サキュバスが、そう言って炎の魔法をオークたちに撃ち放つ。

 仲間割れかな?

 この隙に逃げようかな。

 俺は、そう思ってその場を去ろうとするとショートカットのサキュバスが俺の腕を引っ張る。


「逃さないわよ?」


 そう言って俺の唇にキスをする。

 なんだろう?気持ちいい。

 舌の感触ってこんなのだったのか……

 俺は、うっとりとしているとサキュバスが言った。


「チャーム成功?」


「え?」


 また出た、チャーム。

 魔法だよね多分。


「あー!またチャームが効かない!

 もう!コイツ殺しちゃおう!」


 ショートカットのサキュバスが炎の魔法を俺に放つ。


「小僧の丸焼けの出来上がるだな」


 オークが笑う。


「熱い熱い熱いって!」


 僕は素手でその炎を払う。


「はぁ?コイツ!私の魔法が効いてない?」


 ショートカットのサキュバスが、目を丸くさせて驚く。


「嘘でしょ?」


「流石、精神力7770の男……」


 優心さんが、そう言ってオークに向かって魔法を放つ。


「流石は、異世界から来た男か……?」


 玉藻さんが笑う。


「うん?」


「お前が、サキュバス2匹を引き止めてくれていたおかげで手こずること無くオークたちを片付ける事ができた」


「あ……」


 ロングヘアーのサキュバスの目と玉藻さんの目が合う。


「滅びろ!

 悪魔め!」


 玉藻さんが、そう言ってロングヘアーのサキュバスに雷の魔法を唱えた。


「ぎゃーーー!」


 ロングヘアーのサキュバスは、黒焦げになり消滅した。

 ショートカットのサキュバスは、悲鳴をあげてその場から逃げようとした。

 しかし、それを優心さんが魔法で足を止めた。


「貴方もここで終わりよ」


 優心さんが、そう言ってショートカットのサキュバスに指を向けた。


「え?この人も殺すの?」


「人じゃないわ、悪魔よ。

 モンスターよりも上級な存在。

 消せるうちに消しとかないとあとで後悔するわ」


「うーん。

 それはちょっとかわいそうな」


 俺は、そう思った。

 そう思っている隙に、ショートカットのサキュバスが姿を消した。


「あ……逃げられた」


「まぁ、いいんじゃないか?

 このオークたち懲らしめてゲロさせたらこいつらのアジトがわかるだろうし。

 そしたら、私の今回の目的のひとつも達成できそうだ」


「目的?」


 俺は、玉藻さんに尋ねた。


「オークの古文書を手に入れることだ」


「そっか」


 あんまよくわからないけれど……

 ひとつわかったことがある。

 俺には魔法が効かない。

 強力な攻撃魔法も効かない。

 無傷なのは最強な証拠?俺は凄い盾男になれるんだ!

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