第94話 再会と告白
………まさか、まさか、まさか、まさか……。
俺はその問いに答えず、質問を質問で返してしまった。
「ミカ………君、いや、お前……美花なのか?」
彼女は涙溢れるその顔で、ニコッと笑ってこう言った。
「そうだよ。私は……曲木美花……。あんたの……成上有夢の幼馴染なんだから……」
俺の目からツゥーっと、一滴の水滴がしたたり落ちる。
まったく、これはなんという……。
やっぱり美花だ。俺の大好きな人。幼馴染。
このしゃべり方も、仕草も、美花だ。確かに美花なんだ。姿は違うけれど。
涙が流れるのと同時に、俺は反射的に美花であろう人物を抱きしめて、叫んでいた。
「あぁ……美花っ……ミカァァ……美花っ……」
俺から、叫ぶと共に滝のように涙が流れる。会いたかった。ずっと一緒に居たのに、いきなり引き離されて。
一時も忘れたことなんてない。死にそうな時も、ダンジョンをクリアした時も、海で魚を狩っていた時も、大会の最中も、カルアちゃんと居た時だって……。
おれの、おれの、俺の一番大切な人が今、目の前に居るんだ。触れられているんだ。
「あぁ……あゆむぅ……会いたかったよぉぉっ……」
美花も泣くに泣いている。俺を抱きしめ返し、大粒の涙を流して、俺の名を叫ぶ。
「ミカぁぁぁぁ………みかぁ…………」
「あゆむぅ…………あゆむ……」
今、俺は美花と過ごした時間全てを思い出している。
誕生日や、俺が美花を庇った時のことなど。
美花もきっとそうだろう。
絶対に会うことはできないと、お互いに思っていた。
しかし運命がひきあわせたのだろうか?
この時間、俺らは時空を超えて、再会したんだ。
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永遠とも、一瞬とも思えるような時が過ぎた。
俺は今は落ち着いてる。ただ、泣き疲れというのもあるだろうけど。
まず、美花が口を開いた。
「ねぇ、私……有夢が死んじゃった時、この世の終わりかと思ってた。……再会してすぐだし、今、言うのもおかしいかもしれないけど…また離れ離れになったりして、後悔したくないから」
彼女は頬を赤らめ、口を緩ませこう言った。
「ずぅっと、ずっと好きでした」
俺も口を開く。
「俺もこの世界に来た時、一番に考えたのは美花、お前のことだった。修学旅行中に告白しなかったことを、後悔してたんだ。俺からも言わせてよ」
改めて言うと思うと、少し恥ずかしい。
でもここで言わないのは間違っている。
「……すきです」
俺らは互いに顔を見つめあう。
美花の顔が真っ赤だ。多分俺もだ。
そして、互いに口元が緩み、笑いあった。
さて、一つやらなければいけないぞ。俺は美花を見つめたまま、こう言った。
「美花、これからどうするの? ラハンドさん達についてくの? 俺と一緒に居る? ずっと」
「当たり前じゃん! 何言ってるのよ」
「そうか、なら、ラハンドさん達に言わなくっちゃね」
「そうね。御礼言わなきゃいけないもんね」
「うん。だから、向こうに行こう」
「うんっ!」
俺たちは宿屋ヒカリのロビーへと向かう。
俺はラハンドさん達に御礼を、美花は別れを言うために。
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