第92話 悪魔の集い

 とある場所に、何者かが集まっていた。


 その中の一匹、巨大な蝿。そいつは人間の言葉を喋った。



「なに? マンティコラが死んだだと?」



 その蝿の問いに答えるのは、髭を生やした道化のような男。いや、こいつも人間ではない。



「まぁ、まぁ、いいじゃないですかぁ…あんなの。兵は十分に産んでくれたのでしょう? バルゼブブさぁん?」

「まぁ、そうなんだけどな。メフィストファレスよ。マンティコラが産んだ魔物…兵の卵は何個ある?」



 バルゼブブと呼ばれた男は、メフィストファレスという名の道化のような男に聞いた。

 メフィストファレスは別の者…身体が炎で包まれている者に、顔を向け、バルゼブブの問いに答えた。



「ざっと、5万個ですかねぇ。そのくらいあれば十分ですか? バリアルさん?」


 

 バリアルと呼ばれた男は掠れた声でこう答えた。



「あぁ、問題はない。国一つを滅ぼすのには、捨て駒としては十分な量だ。それに加え、俺、ルシフエイル、ベール、バルゼブブ、その他、中級幹部で畳み掛けるのだろう。勝てないはずはない。そんなことより……だ」



 バリアルはメフィストファレスを睨み、こう言った。



「赤髪の少女と、メフィラド王国の姫の誘拐の方はどうなっている? あのファウストとかいう男はどうした」

「そうだ、そいつらが悪魔神様の復活の要であろう」

「……………………国を滅ぼすのはついでだものな」



 メフィストファレスは、そのバリアル、ベール、ルシフエイルの攻めるような言葉にこう答えた。



「問題はごっざいませぇん! 次の手は打ってありますよぉ~」

「ふん、まぁメフィストファレスのことだから、だった一度の失敗でめげるわけねぇもんな」

「お褒め頂き、ありがとうごっざいまーす。ところで……アモンさん、俺がやろうとしていることはうまくいきますかぁ? その予知能力、生かしてくださいねぇ?」


 

 アモンと呼ばれた、頭がフクロウで、身体は人間の奇妙な生き物は答える。



「ぁぁ、誘拐はうまくいくだろうて」


 

 その言葉を聞き、その場にいた皆は安堵する。



「やはり、アモンの未来予知は当たるからな。して、何故、赤髪の少女を誘拐するのだったか? 姫は、生贄にするのだろう」



 アモンにベールは聞いた。

 フクロウ男は答える。



「彼女は悪魔神様復活のために必要な道具を作れる力があるゆえ。姫は、悪魔神様を封印した一族の血が入ってるからゆえじゃ」



 アモンがそういい終わりところで、メフィストファレスは声をあげていう。その声はどこか、覚悟を決めたような声だった。



「いいですかぁ? 俺達の最大の目標は悪魔神……サマエイル様の封印を解くこと! それ以外はすべて"ついで"…。くれぐれも皆様、そのことをお忘れなきよう! 俺たちはそれを目標にこの300年間、頑張ってきたのですからね!」


 

 その場にいる者たち……いや、悪魔達が次々と了解の意を述べた。



「それでは……解散!」



 彼らはそれぞれその場から去っていく。

 

 これから起こる、いや起こす、大規模の計画を進めるために。



 全ては、悪魔神、サマエイルを復活させるため…………………。

 

 

 

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