第85話 仲間柄のいざこざ
起床。
ちゃんとした寝床で安心して寝られるのって幸せだよね。
マーゴちゃんも私はほぼ一緒に起きた。
朝食の用意の手伝いをしたいことを言うと、了承してくれたよ。
朝食ができたよ。トーストとサラダとスープ。
私はマーゴちゃんに頼まれて、二人を起こしに行った。
うーん、すごいいびきだわ。とくにラハンドさん。
私は二人を起こした。
「おはよー、ミカちゃん」
「うぅんんぁぁぁ……っー! よく寝たゼィ」
「おはようございます! 朝ごはんできてますよ」
「おう…そうかい…じゃ、今行くぜ」
3人でテーブルへと向かう。既にマーゴちゃんは席についている。
「おはよー! ゴッグ!」
「おはよー、マーゴ」
「うぃ」
「おは……ツーン……」
思わず笑いそうになっちゃった。ツーンって、口で言うんだ、ツーンて。
天然な青髪の少女にたいして、恐らく昨日の話を聞いてたであろう二人も、必死に笑いを堪えている。
「ま…マーゴっ…あ、挨拶は…ちゃんと…プッ……しないと、だ、ダメだろう…ププっ…お兄ちゃん起こるぞ」
「むぅ~…今、私はツーンてしてるんですぅ! 求婚しても反応してくれないラハンドさんにツーンってしてるのっ!」
「そ…そうなん……ククッ…そうなんだ」
ゴッグさんもう少しで笑いそう。ちょっとからかいすぎじゃない?
そんなやり取りしながら席について、朝食を食べる。
「今日はミカちゃん、手伝ってくれたんだよ!」
「へぇ、トースト焼いたの、ミカちゃんが?」
「ううん、サラダとスープ。トースト焼いたのは私だよ」
「へぇ、偉いな。今日は楽させて貰ったんじゃないか? マーゴ」
「まあねー」
「おぅおぅマーゴ、ミカに女として負けねぇよう、がんばれよぅ?」
「うん…あ、ツーン」
ツーンって言うたびに横をむいて口を尖らせるのが可愛い。
ゴッグさん、笑いを堪えながらサラダ食べてる。
ラハンドさんもすごく楽しそう。
食事を食べ終わり、仮宅をしまって調査を開始したよ。
道中は、昨日、マーゴさんと沢山お喋りしたし、今日はゴッグ君と話してみようかな?
「ゴッグさん、朝、すごく笑いを堪えてましたよね?」
「あ、わかった?」
と、今にも笑いそうな顔で答える。
「…昨日の話、聞いてたんですねー。盗み聞きなんて趣味悪いですよー」
「聞こえてきたんだもの。しょうがないだろ?」
「そうですけどね~」
「でも驚いたな。真っ裸事件のこと、俺、完全にマーゴの趣味だと思ってたもん」
「それ、マーゴさん聞いたら悲しがりません?」
「どうだろな。でも、ラハンドさんも昨日の聞いてて、切ない顔しながら口はニヤけてたな。聞こえてよかったんじゃない?」
「ゴッグさん、乙女心ってわかります?」
「なにそれ」
「はぁ………」
ダメだ、この人。顔は良いのに…顔は良いのになぁ…。
ていうか、マーゴちゃんはまだツーンを続けてる。天然だなぁ…。
道中、現れたトレントをゴッグ君とマーゴちゃんが仕留めた。
すると、なんということでしょう、ラハンドさんがマーゴちゃんの頭をヨシヨシしたではありませんか。
そこからどうやら、二人の会話が始まる。
「ツン……ツン……ううぅ~!」
「ん? ツーンってするのかぁ? じゃあ、撫でるのよめようかね」
すっと、ラハンドさんの手がマーゴちゃんの頭を離れる。
「あ……………」
「だって、俺と話しててもツーンとしかいわねぇもん、そんな娘なでてたって、しょうがねぇだろ?」
「うぅ…ツーンやめるよ……」
マーゴちゃんちょろい! ちょろすぎる!
……あれ、もしかして私も周りからみたらあれくらいちょろかったりしてたのかな?
そういえば、有夢と話してた時、数人ニヤニヤしてたような気がするわ。
うーん、あれくらい可愛かったら良いんだろうけど、気持ち悪いとか周りに思われてたらと思うと……。でも、私は死んだのよね。じゃ、気にしてもしょーがないか。
ここでラハンドさんが、昨日の話が実は聞こえてたことをカミングアウトする。
マーゴちゃんの顔が茹でタコのように真っ赤っかになった。
「き……きかれたぁ……」
「そう、気を落とすなって。お前の気持ちはよーくわかったから」
「え、じゃあ結婚してくれる?」
「いや、それとこれとは別だな。大体、俺とお前じゃ12も離れてるじゃねーか。もっと若いのと結婚しろ、若いのと」
「歳なんて関係ないもん! 私はラハンドさんとがいいんだもん! それとも、ラハンドさん……私のこときらい? ま…まさか男の子だと思ってないよね? 魅力ない?」
「だぁ………」
ゴッグさんは大笑いしている。なんかムカつく。後ろからおもいっきり蹴飛ばしてやろうかしら?
おっと、ラハンドさんとマーゴさんの話に続きがきになる。
「なにも、お前が大切じゃないわけじゃないぜ?
すっごく大切さ。それにちゃんと女の子だろうが。な? ただ、俺にとってお前は家族なんだよ。つまり娘だわな。娘と結婚する父親なんていないだろ? 悪いが今は…お前をこ…恋人とかみてぇに見れねぇんだよ。 まぁ…好きってのは同じだ。それじゃだめか?」
マーゴさんの頭をそっと撫でながらラハンドさんはそう、中々くさいことをいう。
マーゴちゃんがやばい、溶けそう。目がとろ~んってしてる。
はっ!? まさかハタからみた私も、あんなんだったんじゃ……。
二人の会話は終止符がうたれる。
「ぅぅぅ……わかったぁ……でも、絶対、絶対そのうち、私を恋愛対象として見させてるんだからっ! それまで待っててよね」
「ぁぁ、わかったよ、がんばれがんばれ」
ゴッグさんが、申し訳なさそうに、でも顔は笑いすぎて涙目になりながら謝ってきた。
「いや、ゴメンね、ミカちゃん。身内のいざこざ見せちゃって。昨日保護したばっかりだっていうのにな、変なもん見せちゃった。」
「いえ、いいんです」
「あれね、1年半前から2ヶ月に1回ぐらいあるんだよ、アイツが拗ねるの」
「そうなんですか」
「あぁ、そうさ。その度にラハンドさんはあの対応だぜ? まぁ、俺にとっちゃあ面白いからいいんだけど。でもなぁ…ラハンドさんも断るなら完全に断ればいいのに…。娘だのなんだの言ってはぐらかしてるだけじゃん、ね?」
「そ、そうですね」
い…以外とちゃんとみてた、この人。
「あーあ、ラハンドさんも、もう28だしなぁ…あの厳つい顔じゃ女もよってこないってのに。俺の妹しか相手は居ないと思うんだけど…。しかも、いつもいつも付き合いがあるのはガバイナさんばっかりで、女の人連れてきたことなんてありゃしない」
「ガバイナさんって?」
「ラハンドさんの昔馴染みの男の人だよ。その人もAランカーなんだよ」
「へぇ、すごいんですね。ところでゴッグさんには彼女いないんですか?」
「居るぜ。可愛い娘がさ、これまた……」
「あ、それ以上はいいです」
「ん? そうか」
と、まぁ、この日はこの位しか変わったことなかったよ。
お昼、夕飯も私が手伝ったら、『料理』ってスキルを習得したの。
こうやってスキルを増やすのもいいかもね。
私は今日もマーゴさんのお部屋にお世話になった。
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