第47話 商人組会メディアル本部
俺は今、ギルドから徒歩数分のでっかいお屋敷前にいる。
ここがアーキンさんが所属している商人組会、[メディアル]の本部か。
門の前にいる人に声をかけてみる。
「あのぉ……すみませ~~ん!」
「なんだ ガ k………ゴホンッ! ……どうしたんだい? お嬢さん?」
可愛いは正義。こっちの世界でも有効なんだね。「なんだガキ」って言おうとしたろ? な?
「アーキンさんって人に、来てみてって言われて来たんですが…」
そう、あの人から渡された名刺を見せながら言う。
「アーキンさんにかいっ? あ、あぁ、少し待ってなよ。」
門番さんは門の中に入り、数秒後戻ってきた。
「いいよお嬢さん、お通り?」
そう言って門を開けてくれた。
「ありがとうございますっ!お兄さん!」
(エンジェルスマイル)
見た目おっさんだけどな。こう言っとく。
「ふふふふふ。どういたしまして。」
(アーキンさん、こんないい娘とどこで知り合ったんだよ)
建物のなかに入ると、玄関ではアーキンさんが既に待っていた。
「おぉ、よく来たね。アリムちゃん。さ、こっちの部屋に。」
中々立派な部屋に通された。アーキンさんと話し出す。
「冒険者になったんだね?」
「はいっ!」
「そうか、そうか。ギルドカード、見せてくれるかね?」
「はい、どーぞ!」
「どうも。ふむ……アリムちゃんまだ12だったのか……って、え? もうEランクだと? アリムちゃん、一体何したんだい?」
「あ、なんか試験受かって、で、あのEランクの魔核4個だしたらそうなりました。
」
「はぁ……たった一日で。よくもまぁEランクになれたもんだな。才能があるのか? ならそれで良い。」
「なぜですか?」
「ん? あぁ、君が冒険者になるって聞いたんで、その売りたい物があったら買い取ろうかと思ってな。ほら、既に君とはグレートポーションという取引してるわけだから。もうアリムちゃんは取引相手として十分ってわけだ。まぁ、だから本部に直接呼んだ。ふむ、私の目に狂いはないようだな。」
「そうだっんですね!」
「あぁ。ところで、何か既に売れるものはないかね?ほら、その倒したEランクの魔物とか。」
「あ、ありますよ! ほら。」
俺は解体しておいたカスネークを出す。
「ほう、これは! かなり見事に解体されてるではないか。アリムちゃんは解体スキル持ってたのだな。いいぞ、これ1匹分150ベルで買い取ろう。4匹だからな…600ベルだ。」
アーキンさんはカスネークをマジックバックに収納し、懐から銀貨1枚と大銅貨4枚を出して俺に渡した。
「ふふ。まぁ、こんな感じで頼むよ。………他にも売れるものないかね?」
あ、そうだ。あの青タン売っちまおう。
あの毛玉……チャゲマロの青舌。
珍味らしいけど400個以上も、いらない。100個ぐらい売るよ。
「はい、ありますよ! これなんですが………」
俺はマジックバックからチャゲマロの青舌を取り出す。
「チ……チャゲマロの青舌っ! これは珍味として取引されている肉だ。解体がかなり難しいハズなのだが……しかもDランクの魔物。コイツそのものが危険な土地に生息する。いいだろう。買い取ろう。それ、一枚を5000ベルでどうかな?」
5000ベル……日本円にして5万円!
「売る.売る、売ります!でも一個じゃないんですよ……」
「ほう、売りたいだけ売ればいい。品物はこのシートの上に置きなさい。」
俺は出されたシートの上にチャゲマロの青舌を並べいく。だんだんとアーキンさんの顔が白くなっていく。
俺は合計104個……。合計5万2千ベル、日本円にして520万分の青舌を出した。
「あ……あ………あ?」
「ふぅ。これで全部ですよっ。アーキンさん………アーキンさん?」
「ちょ…アリムちゃん……。 一体これをどこでこんなに?」
「いえ、普通に狩ってただけですよ?」
「はぁ……いいの? こんなに売るってもらっても…」
「いいですよ、もちろん。逆に私の方のこそ。大丈夫なんですか? この量。」
心配になる。だがその必要はないみたいだ。
「はっはっはっ。いやぁ、こんなに質のいい青舌をこんなにたくさん………んと、104枚か。そんなに売ってくれるなんて。嬉しい限りさ。本当はアリムちゃん、Eランクなんかじゃなくて、Sランクぐらいはあるんじゃないのか? そうでもないと、この量は説明つかんからな。」
あ、やっぱり?
「いいんですか。あ、すいません、大金貨一枚を金貨5枚と大銀貨45枚と銀貨45枚と大銅貨50枚にしてくれませんか?」
「はっはっはっはっはっはっ!すっかり商売人みたいになったな!たった1日で!はっはっはっはっはっはっ!いいぞ、いいぞ!はっはっはっはっはっはっ!」
笑いすぎだろ。
つまり、こんなに売っても利益出るくらいの代物なのね。
「はぁ……笑すぎた。ほら、520万ベルだ。足し確かめてくれ」
「ありがとうございます!」
「いや、こちらこそお礼を言うべきだ。本当にありがとう。青舌は需要があるからね。売れるんだよ、これが」
やっぱりか。あ、そうだ。あと何個か頼まないと。
「すいません、あと、3つ程お願いがあるんですが……」
「ん? なんだね。いま私は君のおかげで気分がいいぞ。聞けることは聞こうじゃないか」
「はい、1つ聞きたいのですが、マジックカードを作るスキルってありますか?」
「あるよ。エンチャントってスキルだな。ほとんどの武器屋や鍛冶屋、魔法具屋が習得してるとおもうが……」
「ボク、鍛冶スキルとその、エンチャントってスキルが欲しいんです」
「それは……なぜ?」
「作ることが好きですから」
ほんとは違う。どん考えてもこの2つ、あの★★★★★のスキルの材料となりえるからだ。
「ふむ、それならば、あそこがいい。[クニック&ホナードの店]、あそこは私の伝が効くからな。アリムって女の子が来たら、スキルを教えてあげてくれと、伝えておこう。いつ行くの?」
「あ、明日です。あと、注文で、ピッケル3本、スコップ2本、裁縫針2セット、裁ちばさみ2本、解体用ナイフ2本を鍛冶屋さんなら、頼みたいのですが…」
「あぁ、あそこは武器屋と鍛冶屋の兄弟の店だからな。わかった、注文もしておこう」
「で、次の頼みのごとなんですが……」
「なんだね?」
「鍛冶をするための道具一式と、エンチャントをするための道具一式がほしいのですが」
「わかった。在庫があったハズだ。今でいいかね、渡すのは」
「はい、大丈夫です」
「よし、わかった。代金は184500ベルだ。」
「はい、184500ベルです。」
「確かに受け取った。じゃ、いま取ってくるよ。」
アーキンさんが部屋を出る。わりとすぐ、15分後くらいに戻ってきた。
「じゃ、このマジックバックのなかに入っている。マジックバックからマジックバックへ物を移すアイテムがあってね、今それでここから君のバックへ移すからね……よし、移せた。毎度あり」
「それで最後の頼みなのですが。」
「なにかね?」
「鉱石沢山とれる、個人で採取していい山ってどこですか? 教えてください。」
「う~~む、それなら[トリアエリアル山]という山だろうか。でもなぁ……あそこはDランクやCランクの魔物がうじゃうじゃ……。アリムちゃんは大丈夫なのかな?心配だな……。とりあえず行くことはあまりオススメしないが、とりあえず、一番はそこかな。王都からまっすぐ西西東に馬車で4日ぐらいのところだ。」
「ありがとうございます!」
「なんでそんなとこに?」
「採掘スキルを上げるためです!」
本当は買うより自分で掘った方が安いからだが。
「そうか……あまり勧められんけどな」
「以上ですっ」
「そうか、いや、本当に君はいい客だ。嬉しい限りだよ。また、なんかあったら頼むよ?」
「はいっ、ボクの方こそお願いします!」
「じゃ、不審者に何かされないよう、気をつけてお帰り。あ、ちなみに次から門番に君は通してもいいように言っとくから。」
「わかりました!」
(とびきりスマイル)
俺は帰り際に門番さんにも挨拶しておいた。エンジェルスマイルで。
さて、もう暗いし、ウルトさんの宿屋[ヒカリ]に行って寝よう。
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