第28話 ピピー村での1日
ついていった先はジーゼフさんの家。
テーブルには料理が並べられていた。
ポトフのような物やパン、肉など様々な料理が数皿。
「おぉう! うまそうじゃねぇかっ!」
そう言いながらオリゴさんは席に着いた。
「うふふふふ。これは村長さんの奥さんとミュリと私で腕をふるって作ったんだから、アリムちゃんも席に着いて、さぁ、食べて食べて!」
「ご、ご馳走になります!」
リロさんの言うとうりに、勧められるまま席に着いた。変に謙遜すると逆に失礼だもんね。
俺の隣にミュリさん、リロさんが座る。向かいはオルゴさんだ。
俺が『いただきます』と言うと、村長の奥さん、ガーベラさんは『召し上がれ』とニッコリして答えた。
とりあえず、目の前の料理を皿に取ってみる。その料理はどう見てもサラダなのだが、そのサラダには、黄色い皮のカブのような物がふんだんに使われていた。
ここ二週間近く、俺は肉と木の実数個しか口にしていない。ちゃんとした食事は久しぶり。
一口、そのカブを食べてみるた。甘い、カブなのにトウモロコシのように甘い。とても変わった味だ。
「おいしい……」
久々のまともな食事につい、そう声が漏れてしまう。
皆の顔、全員が嬉しそうにニッコリしていた。
特に、ジーゼフさんは満面の笑みで、
「そうじゃろう、そうじゃろう。その野菜はな、この村の名産、"カバ"と言うんじゃ。美味しいじゃろう? ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっ!」
と言った。カバ? これ、カバっていうんだ…。
俺はそんなカバのサラダを食べ終わると、次は鶏肉料理っぽいものを取る。チキン南蛮のような感じ。
「それは、オドド鳥っていうEランクの魔物の肉のソース和えよ。私達が黒兵犬を討伐している最中に見つけたから、狩っておいたの。」
あぁ、あのドラゴンの肉の次に美味かった肉か。オドド鳥って、変な名前。
リロさんに
「美味しい?」
と聞かれたので、
「おいしーですっ!」
と答えた。
リロさんはその可愛い顔に満面の笑みを浮かべ、
「そうか、そうか~!」
と嬉しそうにしている。
あとは、パンの他にポトフのようなものがある。それをよそっていると、ミュリさんも嬉しそうに
「それ、私が作ったんですよ!アリムちゃん!」
と言った。
どれどれ、ハムハムハム。うん、美味しい。本当にポトフまんまだ。
「この、お料理も美味しいですっ!」
そう、ミュリさんに言うと、
「えへ、そうですか? エヘヘヘヘェ……」
と照れていた。可愛い。あ、あとお礼も言っとかないと。
「あのミュリさん、ヒールとか沢山かけてもらったり、看病してもらったり……、ありがとうございました」
「良いんですよ、それが、私の取り柄の1つですからね」
と、返された。できた人だ。その他にパンも美味、俺は満足なのだ。ご馳走さまでした。
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この日は昼御飯を食べたあとも引き続き村中を見て回った。そうそう、1つ報告。
「伐採」というスキルを覚えたよ。
木を切ってるおじさんが居たから、お願いして習ったの。すんなりOKしてくれた。
これが、他人から教えてもらうっていうことなんだね。ありがとう、おじさん。
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その日の夜御飯は、オドド鳥のカバ入り具沢山のシチューだった。勿論、美味しかった。
この世界で人にあって、こんな暖かいものまで食べさせて貰えるなんて、森の中にいた時は思わなかった。
晩御飯を食べ終わったセインフォースの皆さんは宿屋へと帰って行き、俺はガーベラさんにお風呂に入れてもらった。
しかも寝巻きまでくれた。本当にありがたい。今着てる服も、寝巻きも、この二人の娘さんのお古なのだそうだ。
今は王都に居るらしい。いつか会うかも。
ひっさしぶりのお風呂……。本来、俺は風呂好きなんだ。
だから、森の中にいた時は調味料がないことのほかに、風呂がないこともきつかったんだよね。
~~あぁ~~生き返るぅ~~~
風呂だし、自分の顔や姿を水で確認できるかも。この風呂場に鏡はない。
俺は波が消えた風呂を覗き込んでみた。
___________だれ? この美少女。
自分である。しかし写っている顔は今、女である俺ですら、惚れそうになる、愛くるしい顔だ。
自分に惚れるってなんだろう?
一回、男に戻ってみるか。
__________まさかの、顔が変わらない。
えぇえええ……。
身体は男の子だ。だが、顔が女の子だ。いわゆる、美少年。
俺は顔と不釣り合いの身体がなんだか違和感を感じてしまった。身長も10センチ近く変わるし。自分の身体なのにね。
……仕方ない、人前では女の子このままでいるかな。
こどうせ今は周りから女の子だって勘違いされてるんだから、このままのほうがこの世界で暮らしていくのには良いはずだし。
あぁ、半分ヤケね? これ。
俺にカマっけが前からあったとかそういうのじゃ…ないはず。
いろいろと考察しつつも、風呂から上がったら寝た。
おやすみなさい。今日は…まぁ、いい日だったかな。
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