二章 ピピーの森と四人の冒険者
第25話 血まみれの少女
「いやぁ、皆様方、本当に申し訳ないですのぅ……。ありがとうございました」
ある老人が言う。
「いえいえ、僕達は依頼として来ていますし、それに困った時はお互い様ですよ」
「そうだぜ? 村長さんよぅ。んな、#畏__かしこま__#る必要ねえっての」
「こっちとしても、おかげで3匹分の黒兵犬の皮と牙を手に入れることができたし」
「また…困ったことがあったら、お呼び下さいね」
その老人と対話するのが、4人組の若い男女。
「ふぉっふぉっふぉっ……なんとも、頼もしいことですのぅ……」
村長と呼ばれた老人は4人を尊敬の眼差しで見る。
「ところで、お怪我等はございませんのかのぅ?」
「あぁ、大丈夫だぜ! ウチの回復役は優秀だからなっ!」
「えへへ……恐縮です」
老人の問いに、屈強な見た目のガタイのいい茶髪の男 と かなり整った顔立ちをしていて、綺麗な水色の長髪を持つ少女は答える。
「おぉ! それはそれは。ならば、皆様方なら"アレ"を攻略できるやもしれませんのぅ」
「え? おじいさん、"アレ"って何?」
質問するのは、可愛らしい顔立ちでその桃色の髪を肩まで伸ばしている少女。
「実はですのぅ、この村の森の中にダンジョンがあるんですじゃ……」
「ダンジョンがっ!? その、なんという名前のなんの段階のダンジョンですか?」
そう、若干興奮気味に村長に問いかけるのは、この4人のリーダー的存在の目を奪われるような顔立ちの金髪の少年。
その問いに老人は答える。
「はて……どういう名前でしたかのう?森の名前、そう、"ピピーの森"とは入っていたハズなのじゃが……段階までは……見つけてから、まだ一度しか入ったことがないですからのぅ。無論、すぐに出ましたし……」
「ねぇ?行けるだけ行ってみない? ボスは無理だったとしても、途中の宝箱ぐらいは拾えるかもしれないし!」
「おぉ、そうだな!」
「HPポーションとMPポーション、準備しておきますね」
「でも、皆、危なくなったら逃げるんだよ?すぐに」
「「「わかってる(ます)って!」」」
三人は口を揃えて言う。その光景を微笑ましく思う少年。
「はは、村長さん、案内お願いできますか?」
「ええ、勿論ですじゃ。何時に出発いたしますかのぅ?」
「朝飯、まだ食ってねぇから、その後がいいな!」
「それもそうね。少し遅めの朝食をとりましょう」
「ほほぅ、ですならば、このピピー村自慢の野菜を食べてみてはいかがですかな?」
「え、いいんですが? ご馳走になっても」
「ほぉっほぉっほぉっ、お構いなくですじゃ。皆様方が来てくださらなかったら、あの憎っくき黒兵犬と黒歩犬らめに、食い荒らされておりましたからのぅ」
「それでは、お言葉に甘えて」
4人と老人は老人の奧さんが用意した朝食をと り、十分な準備を整え、ダンジョンに向かった。
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村から出て7時の方向に20分程、ダンジョンをどう攻略するかなどを話し合っているうちに、その例の場所に着いた。
が………。
「あ……あれ?」
「ん、どうしたんだ? 村長さんよ」
「だ…ダンジョンがあった場所が、ただの大穴となってますのじゃ………。た、確かにここにダンジョンが……」
「どなたかが、攻略してしまったのでしょうか?」
「きっとそうね。まぁ、ダンジョンの攻略は実力、あとは早い者勝ちね」
「しかし、ですのぅ……。ここ最近、ピピー村に冒険者の方は訪れて居なくて……。森の外からここに来るにしても、森は入ったら中々出れないぐらいの深い森ですじゃ、それをダンジョンを狙ってくるなど、ほぼ不可能なんですがのぅ……」
そう、老人が言うやいなや、リーダーの少年がこう叫んだ。
「おい!あそこに誰か…いるっ!」
「ん? 本当だ………って、血塗れじゃねぇかっ!?」
「えっ!? 嘘っ!」
「早く助けなきゃ!」
5人はその血塗れの人物に駆け寄る。さらに驚愕する羽目になった。
「おいおい、女の子じゃねぇかっ! なんでこんなところにっ!?」
「わからないわ……でも、まだ息はあるみたい!」
「あわわわわっ! ハイヒール、ハイヒール!」
「と、とりあえず、その娘を村に……」
「そうですじゃ、ワシの家の客間に寝かせますじゃ!」
「早く連れてこうぜ!俺がおぶってく!」
そう言い、屈強な男が、その真紅の髪の血塗れの少女をおぶさり、5人は急いで村へ引き返した。
戻ってから気づいたことだ。1つ、不思議なことがある。
それは、その少女が誰か、この村の誰も知らなかったのだ。
村長でさえ……。
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今回の正しい題名は
血塗れの少女(男)
です。
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