例えばの甘え方 (美花)

「ね、ね、美花ちゃん」

「なぁにさなちゃん」



 普通に学校がある日、休み時間にさなちゃんが私のもとにやってきた。また何か聞きたそうな顔をしている。



「あゆちゃんと美花ちゃんって、普段二人でなにしてるの?」

「ん? そりゃあもう、ディープキスから始まって……」

「ち、違うよ! そっちの話じゃない!」



 んー、でも有夢とは暇さえあれば身体を重ねてるし、普段といったらやっぱりコレなのよね。高校生としてあるまじき行為だとは思うけど。



「ほら、このクラスで幼馴染み同士で付き合ってるのって私と美花ちゃんだけじゃない?」

「むしろ二組も居る方が珍しいよね」

「でね? 普段美花ちゃんはあゆちゃんにプライベートでどう甘えてるのかなって思ったの。今後の参考にしようと思って」

「ほほう、つまりさなちゃんは山上君に甘えたいわけですな?」

「ち、ちがっ……! くない……」



 さなちゃんは頬周りをほんのり紅く染めた。すごく可愛いと思う。なんやかんや言って、山上君のこと好きなんだよね。

 それじゃあエッチぃの抜きで私と有夢が普段どんなイチャラブしてるか教えてあげちゃおうかな。



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「やっほー、有夢! 来たよ!」

「ん、いらっしゃい」



 有夢は大抵、私がいない時はゲームしてるか動画の編集をしてる。この日はじっくりゲームを嗜んでいたみたい。

 見たことないデザインのキャラばかりだから、たぶんドラグナーストーリーでもスタートクエストでもないのかな。まあ、有夢はその2シリーズしかやらないってわけじゃないしね。



「今回はどんなのやってるの?」

「大手会社の新作だよ。シロノマグナムっていうんだ。まだ発売前なんだけどプレイして感想聞かせて欲しいって動画投稿者として昨晩、依頼が来たんだ」

「企業案件ってやつね? やるぅ!」



 声をかけながら胡座をかいている有夢の斜め後ろに私は座る。

 そして男の子にあるまじき綺麗すぎる太ももをじっくり見て堪能してから、胸を押し当てることを意識して抱きつく。

 この時、有夢が私の頭を撫でやすいように鎖骨あたりに顎を乗せるのもポイント。



「むふー」

「よしよし」



 そうすると有夢は少し広角を上げて嬉しそうにしながら私の頭を撫でてくれる。私はこの一瞬にちょっと彼氏感というか、男の子っぽさを感じてキュンとする。

 そして私は抱きついたまま1時間くらい離れない。



「よし、こんなものでいいかな。さ、美花、なんかしよっか?」



 ほぼぴったり一時間後、有夢はゲームをやめて私にそう声をかけてくれる。この日は偶然、エッチなことするよりたっぷり純情に甘えたい気分だったので、ためらうことなくそのまま、私の思ってることを話した。



「甘えたいの?」

「甘えたいのっ」

「いいよ、好きなだけ」

「えへへへー」



 もう有夢はゲームをやめたので、今度は前から抱きつく。

 正直、エッチぃことしてる時以外の身体的なスキンシップは抱きつくか、キスするか、頭を撫で合うか、どっちかが膝枕するか、好きな部位に触れ合うかぐらいのレパートリーしかない。

 それらをお互いの気分と共に組み合わせて有夢大好き成分を取り込む。



「しあわせっ…….」

「そだね!」

「んふー」



 これぞ堪能。めいいっぱい全身を擦り付け、有夢がここにいるという現実と喜びを我が身に叩き込む。今日もちゃんとここに居るから。私の有夢はちゃんと。体も冷たくないし、体を動かすこともできるし、喋るし、幻覚じゃない。



「じゃ、そろそろ……」



 頃合いだと思って、私は服に手をかけてまくり上げる。

 ここから先はいつも通り。



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「ってな感じ」

「唐突に脱ぎだすんだ」

「私たちの中じゃ唐突じゃないよ?」



 私が体を密着させ始めた時点で有夢も大体察している。

 いや、それよりも脱いだ先は今回さなちゃんへのアドバイスに関係ないから敢えてボカしたんだけど、それ以前の行為は参考になったのかな?



「それでどう、私の有夢へのベタ甘えは! 参考になった?」

「一緒にゲームしたり、映画みたり、ただだべったり、本や漫画を一緒に読んだりとか、そういうのはしないんだ?」

「する時はするけど、私たちの場合はエッチなのを除いても身体を密着させあって戯れてることの方が多いかな。家が真隣だから毎日がお家デートみたいなものだもん、毎日映画見たり、毎日一緒にゲームしたりは飽きが来ちゃうし。でも死ぬほど愛し合ってるから毎日甘えるのは大丈夫!」

「あーそっか、なるほどねー」



 まあ、ただ私が甘えたくて甘えてるだけだけど。私からだけじゃなくて、有夢から甘えてくることも同じぐらいの頻度である。そうなったらもう一週間のうちほとんどが甘えあってるだけになってしまうのも当然。



「それにしても一瞬、闇が垣間見えたような……」

「え? どこどこ?」

「いや、気がついてないならいいよ。でもこれはあゆちゃんと美花ちゃんだからできることね。私にはまだ早いかな……。美花ちゃんみたいにアイツに甘えたら、押し倒されちゃいそう」

「有夢も普通に押し倒してくるよ? いいんだよ、そのまま身を委ねちゃえば」

「まだ、まだ私達には早いのっ……!」

「ふふ、そうかな?」



 私にアドバイスを求めてる時点でさなちゃんも山上君に甘えてみたいってことだよね。私やリルちゃんみたいになれる素質はある。

 徐々に甘えたいという意識をすり込み、増幅させていってあげるのも面白いかもね……。ふふふ。





#####

(あとがき)



まずはお知らせです!

明日、またまた新作を投稿します!


【最弱のもとに互角であれ! ~呪われてレベル1のまま成長できなくなった俺の、最高のダンジョン巡り生活~】


 というタイトルの作品です。

 以下、軽いあらすじです。


 ダンジョンが自然に生成される世界。

 成り上がることを夢見て田舎から上京した主人公の少年は、ダンジョンから持ち出された禁忌の宝箱、『パンドラの箱』を意図せず開けてしまい呪われます。その呪いによってレベルは永遠に1のまま、ステータスも成長することがない上、魔法と攻撃系の技を一切覚えることができなくなってしまいます。


 その呪われた当日、少年が今後どうしようか路頭に迷っていたところ、偶然、似たような境遇に立たされていた少女を救うことになります。


 少年と少女は今後のことについて相談していく中、『パンドラの箱』の中に入っていた『能力の札』というアイテムに注目します。このアイテムは使うことで自分に能力を付与できる宝具で、彼らが手に入れた札の中には『強制互角』という能力が入っていました。


 『強制互角』の能力は、当人のステータスと敵のステータスを全く同じにするというもの。呪われて最弱になってしまった少年はこれを習得し___。


 といった内容です。



 投稿時間は明日の午後6時に1~2話、午後11時に3話、午後12時に4話目を投稿します。

 この投稿スパンは私の実験を兼ねたものとなっております。

 

 それ以降は1日2話投稿(午後6、11時)を3日間続け、その3日間が過ぎたら1日1~2話投稿にするつもりです。

 また、本作は今までと違って私が登録している小説投稿サイト全てに同時進行で投稿していこうと思います。


 それでは私の最新作を、今までの作品共々よろしくお願いします。









(以下、ぐちぐちこーなー)



 これもう5作品目ですか! 挑戦してみれば意外と、新しいものを生み出せ続けられるものなのですね。


 前回の作品に関連することで、応援コメントやメッセージを下さった方々、本当にありがとうございました。

 各サイトに2~3人ずつほどずっと応援して下さった方がおりまして、もう感謝の言葉しかありません。

 おかげで少し、しかし決して小さくないほどの気の持ち直しができました。本当にありがとうございます。


 今作も、どこかのサイト一つでもランキング入りして万単位の閲覧やお気に入りされるというノルマが達成できなければ10万~15万文字で話を終わらせるというスタンスに変わりはありません。


 これ、前作までは自暴自棄かつ軽鬱になるほど苦渋の選択だったのですが、むしろ今回からなんだか楽しくなってきまして(開き直ったと言った方が正しいかもしれない)、今じゃ1年間に何作品作れるか考え始めています。


 というのもこうして10~15万文字で終わらせるという技術をこのまま磨いていって、かつ、この文字数を書き切るスピードも上げていって、電子書籍の出版をしたり、投稿サイト以外から応募できる小説賞への応募作品を書くための特訓にするのも悪くないなと思っているのです。

 Levelmakerや元小石のように、延々と書き続けるという所業を二度こなしているので、この鍛錬方は私のネクストステージといったところでしょうか。


 なおかつこう言った作品数自体も増やしていき、毎回一つのネット小説賞に大量に集中応募、「この応募件数の1%近く拙者の作品なんだぜ!」的なムーブをするのも面白いかなと思いました。


 とはいえ、やはりランキング入りしたりして二度目の書籍化をするのがやっぱり今の私の目標です。それにダメだったら少なからず落ち込むでしょう。


 そのため何卒、引き続き応援の方、よろしくお願いします。

 みなさまの応援があってこその私なので。

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