閑話 クリスマス 〜The fourth〜

<Levelmakerはクリスマスを4回迎えました。おそらく、本編に割り込むクリスマス回はこれで最後となります>



 トリプルデート……そう、今年、俺たちは六人でぞろぞろとクリスマスデートをしたんだ。イルミネーションがかかっている街並みを、いつものメンバーで歩く。二人カップルで出歩くものいいんだけどこういうことするのも悪く無いよね。そして俺たちは解散する前にレストランに入って駄弁ってるの。

 ……俺がサンタさん、ショーがトナカイの格好をしてプレゼントを配る? 一体なんのことやら。アイテムマスターとダークマタークリエイトを使って日本中にプレゼントを配ったりなんかしたら、経済のバランスが崩れちゃうよ。



「わーふー、今日は楽しかったねぇ……」

「ねー!」

「いつも通り、翔はハーレムだって勘違いされてたわね」



 そうなの、カナタがわざわざ男の子っぽい格好してたのに、翔は結局女の子五人を侍らせてるヤバイ人だって思われたんだよね。行く先々で。まあいつも通りだし、凹んだのはカナタだけだから大した問題じゃないんだけどね。



「わふわふ、そういえばさ、私、みんながクリスマスプレゼントに両親から何もらってたか知りたいな。どんなプレゼントもらってたの?」

「たしかに、俺たちはお家ごとに特徴がありそうだもんね!」



 クリスマスプレゼントなんて地球に来るまでもらったことなかったリルちゃんがそこら辺気になるのもわかるね。先ずは分かりやすいというか、みんなのイメージ通りであろう俺が答えてあげようね。



「じゃあ俺から。俺はもちろんゲームだよ! ゲーム機とか、カセットとか」

「にいちゃんのは分かりやすいし手に入りやすいってお父さん言ってたよ」

「でしょ? その点、叶はねぇ……」

「ソロモン七十二柱の悪魔辞典、儀式セット、銀のナイフ、上に乗ったら魔法陣が光って浮き出る絨毯。ふふふ、ほんとにいいものたくさんもらったよ」

「聖なる日に貰うようなもんじゃないよね」

「わーふ。二人とも、ぽいね! 美花ちゃんと桜ちゃんはどうなの?」



 桜ちゃんは好きなものを知っていればすぐわかるけど、美花は案外分かりにくいんだよね。というか答えにくくもあるかな。なんて教えてあげるんだろ、美花は。



「桜はお菓子だよね」

「うん、私はずっとお菓子の詰め合わせもらってる」

「これでもかってくらい大量に貰うんだけど、結局一人で全部食べちゃうのよね、この子」

「えっ、虫歯にはならないのかい?」

「なったことないよね、お姉ちゃん」

「ないねー、ほんと不思議ねー。ちなみに私は有夢と一緒のゲームとか、海外のコーヒーセットとか……年々によって違うわね」

「わふー、そうなんだ。コーヒーセットを頼むのは変わってるね」

「そうかな?」



 美花も桜ちゃんももらってるプレゼントのことを何気なく言ったけど、忘れちゃいけないのが、二人とも社長令嬢ってこと。俺たちが八歳ぐらいのときにおじさんのお店はチェーン店として軌道に乗って、十歳頃には今ぐらいの知名度になってたからね。その頃からの誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントにもらってたものの金額がすごいんだ。

 例えば桜ちゃんのお菓子の詰め合わせでも、高級チョコレートブランドのものだったり、お菓子が詰められた箱が十五万円くらいするものだったり。美花がもらったコーヒーメーカーもそんな感じ。おじさんは美花と桜ちゃんを溺愛してるからね、ぶっちゃけ特別な日じゃなくても2人が欲しいって言ったものはすぐ買ってきたりしてるんだよ。



「ショーは……」

「俺は筋トレグッズだな。ダンベルとか、プロテイン一年分とか、腹筋用マットとか」

「あれ、まさか小学生の頃から筋トレしてたのかい?」

「まあな」



 正確にいえば、親父さんが筋トレ・柔道のグッズを、おばさんがゲームとかおもちゃとかを買ってきて枕元に置いておいた……らしい。実は翔、俺と美花と翔の三人の中で一番最後までサンタさんを信じてたの。周りからは嘘でしょ、有夢なんじゃないのかって、見た目のイメージだけで言われること多いけどね。



「わふわふー、みんないいねー。サクラちゃんとカナタくんは年齢的に今年ももらうんでしょ?」

「そうなるかもな。まあ、リルには俺からちゃんとプレゼント用意してるからよ」

「わふん! 私が寝てる間に枕元に置いておいてくれると嬉しいな! 私からショーには……際どいサンタさんのコスプレした私自身をプレゼントしちゃうよ。寝る前にね、クリスマスだし」


 

 リルちゃんは翔にむかっていたずらっぽく微笑みながらそういった。俺と美花も帰ったらたっぷりイチャイチャする予定。同じこと考えてたんだね。もちろん、俺たちが健全で済むことするはずがない。確実に非健全。

 ま、カナタとサクラちゃんはいい子だし、まだ、中学生だから関係ないけどね。

 そういえばクリスマスで、サンタさんが来る条件っていい子のところだけだったよね。俺と美花、翔とリルちゃんは一体いい子って言えるのかしらん。……クリスマスプレゼントもらえたらきっといい子だよね! 逆転の発想ってやつだよ。それに、お父さんが俺の分のプレゼント用意してくれてるよ見たしね。

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