第1076話 シヴァの能力
「で、結局さ、能力なんなの?」
【嫌われる可能性があるとわかってて誰が教えるか!】
【時間操作でござるよ】
【ぬおおおおお! コイツ言いやがった! 勝手に言いやがった!】
ほへー、時間操作なんだ。なんとも魔神らしい。いや、一言で時間操作とは言ってもサマイエイルやスルトルのようにどうせ複雑な感じなんだろうね。単純ではない気がする。でも時間操作したくらいで俺に嫌われる要素あるかな? 幻転丸なら今みたいにささっと答えてくれるよね。
「あんまりボクが嫌う要素があるように思えないよ、幻転丸」
【時間を止めて此奴は暴れまわったのでござるよ、考えてみてほしいでござる。魔神は魔物で言えばSSSランク複数体分の強さ。そんなのが時間を止めて気軽に生物を無抵抗の状態にできるとは凶悪だと思わないでござるか?】
「あー、そうだった。それで、シヴァは虐殺したの」
【そうでござる。拙者が導者として任命されるまでに、ブフーラ王国近隣の国を二つほど滅してるでござる】
うわー、まさかとは思ってたけど、やっぱり相当やってるなぁ。国二つ滅ぼすだなんて。アナズムは地球に対してお月様ぐらいの大きさしかないからメフィラド王国やブフーラ王国みたいに大国と言われる国以外は十万人行かない国もあるけれど、それでも何万人も殺めてるのは変わらないよね。
「……よし、シヴァは今から封印媒体、爪楊枝ね!」
【やめろ、やめてくれ! 後生だから……! 我とあゆちゃんの仲だろう!?】
「……んー、まあ、シヴァも反省してるみたいだし、犬に戻すことがなくなったくらいで勘弁したげるよ」
【う……】
【コイツの場合、反省じゃなくてただ単に嫌われたくネェだけなんだよナァ】
「反省はしてないってこと?」
【してる! 反省してる!】
「ふーん……」
反省してるし、何百年も昔のこととは言えやったことはやったことだもんね。……でもあれだね、時間を止めるのは実際ミカとサクラちゃんも最近できるようになったわけだけど、かなり強力だよ。よくそんなのに幻転丸は勝てたよね。
「とりあえず、幻転丸はどうやってシヴァに勝ったの?」
【コイツは我に『時間停止という術、そのものを斬る』ことで勝利してみせた】
「さっき言ってたスラッシュマスターってスキル?」
【その通りでござる。確かにシヴァは手強かったでござるが、スルトルの方が強かったでござるな。相性もあるのでござろうが】
【ま、まあ、スルトルは我々の中で一番素の実力が高いからな……】
やっぱり、よくショーは幻転丸に負けを認めさせたね。これも相性だからなんだろうか。魔神の間でも強さが分かれてるのが驚きだよ。そういえば俺はサマイエイルは直接相手したけど、スルトルを直接相手したのはカナタとミカなんだよね。俺は封印するためのアイテムを作ってたわけだし。幻転丸と同じ数、魔神を倒してる俺だけど比較するだけの情報はないかな。
「でもスルトルってお姉ちゃんが氷漬けにしてすぐ倒しちゃってたよね? 本当に強いの?」
「あ、それボクもちょっと思ってたよサクラちゃん」
【……ステータスがカンストしてるヤツ相手にして倒されない方が無理ダゼ? テメェらは周りに被害を出さないヨウに本気をあまり出したことがネェみたいダガ、カンストしてたら……本来ナラ、普通の魔法を一回使ってこのアナズムの全てを飲み込むことだってデキルンダ】
「そうなんだ! じゃあボク達まだ本気出したことないんだね?」
【そうでござるな。翔殿も先日の拙者との戦い、本気の本気なら空一面を火の海にすることだって可能だったはずでござるよ】
じゃあ、俺が本気を出せば2代目アナザレベルが用意した幹部達も一人で倒せたし、今まで被害も全く出すことはなかったのかな。人の常識の範疇で力をセーブするっていうのは大切なことだけど、いざって時に使えるようにしなきゃだね。スキルを増やしたりするだけでなくこういう特訓も必要なのかなぁ。
「なんか話逸れてるけど、ついでだし私からも質問、一ついいかな?」
【おお、美しい……たしか美花殿でござるな。何なりと訊くでござるよ】
「いや、シヴァに質問なんだけど……」
【ははは、残念だったな! 我の方がこの子達との付き合いが長いのだ!】
「……シヴァって、もしかして私と桜が時間に関するスキルを作る時、アドバイスか何かしたの? 今思えばそうだったのかなって。やけにすんなり時間停止なんて強力なものが簡単にできたしさ」
「ああー、なるほどね!」
【気がつかれたか。さすがはミカちゃん。その通りだ。……実はな】
シヴァ曰く、俺たちが寝ている間にメッセージ機能を使って暗示のようにスキル合成のレシピを教えてくれていたらしい。
ミカとサクラちゃんはこの世界に来てからよく変わった夢とか見る。それはこの世界が地球と比べて不思議で溢れているせいらしい。体質の問題だね。つまり二人の思考に無意識の妄想癖が加わったわけだ。それにいち早く気がついたシヴァはそれを応用して、ミカとサクラちゃんの脳みそに働きかけたのだとか。……自分の彼女が無意識の間に他の人の言葉が影響されやすくなってるって怖すぎない? シヴァは俺たちを贔屓してるからいいけど、もし変態さんがこれを知ってミカに変なこと吹き込んだら大変なことになるよね。注意しなきゃ。
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申し訳ないです、お昼寝して起きたらこんな時間になってしまって投稿遅れました。
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