第1010話 シヴァとラーマ国王 2
「しかしそろそろ真面目に話をするとしようか、ラーマ国王よ」
「そうしよう」
やっとちゃんと話し合ってくれるんだね。あーあ、なんだか疲れちゃったよ。俺はこっそり二人の話を録音しながらそこらへんに座ってミカやお付きの人とお話しでもしようかな。
「アリムちゃんという共通の話題で意気投合したのは良い。しかし本当に丸くなったのか? 余は王としてブフーラ王国の歴史を学んできた。信用するのはちと難しい。仮に余がお前を信用したとして、国民が信じるかどうか」
「丸くなったというのは語弊があるな。アリムちゃんが可愛いからアリムちゃんの味方をしているというのが正解だ。実際、孫のように思っている」
それからシヴァはラーマ国王に自分が何百年も地球にいたことや、俺に構ってくれるちゃんとした経緯を大雑把に訳して話した。シヴァは俺が可愛いのが大人しくなった直接的な原因みたいに言ってるけど何百年という数字は人を変えてしまう。それは神様でも例外ではないはずだ。きっと光夫さんだって、アナズムに来る前はもっといい人だったと思う……たぶん。
「どっちみち封印されているからもう何もできないがな」
「そうか。ではもういくつか個人的に聞きたいのだが……その前にメッセージでやりとりできるようにしないか? こんなこと言ったら先祖に怒られるかもしれないが、どうも気が合うのだ」
「我が何をしてきたか学んだんだろう? 国民が許してくれるのか? ……アリムちゃんが許してくれたらいいよ」
ラーマ国王とシヴァがこっち見てきた。今はミカと頬ずりしてたんだけど。あ、ほら案の定この光景みてにやけてる。それは置いといて、うーん……シヴァとラーマ国王がメッセージでやりとりかぁ。何話してたか逐一報告するならいいけど、本当の報告をしてくれるとは限らないからなぁ……文通ならいいよってことにしようか。シヴァが言った内容を手紙にしてくれるアイテムを作るんだ。
「ボクがやり取りを観れる文通ならいいですよ! シヴァの代筆しますし」
「どうするシヴァ、アリムちゃんについてあんなことやこんなことを話すことができなくなったぞ」
「ふむ……となるとあんまり文通する意味はないな」
「やっぱりそれなんだね……」
「だが何かあるかもしれないし、一応頼んでおくとしよう!」
というわけでシヴァとラーマ国王が離れていても定期的に連絡取ることが決まった。さっきシヴァも言っていた通り、国民にバレたら大変なことになる気がするんだけど。身近で例えれば、国王様がサマイエイルとややあって仲良くしたとして、その現場を俺が見たとしたら……結構怒るような気がする。二人がいいならそれでいいけどさ。
「そうだシヴァ、この場で聞きたいことがまだあるのだが」
「なんだラーマ国王」
「その、今アリムちゃんを付け狙っている偽の神なんだが……本当に偽物なのか? 魔神ならなにかわかるんじゃないか」
ラーマ国王の質問にシヴァは数秒間沈黙をした。俺やミカには本神だって言ってるけど、アナズムの人には偽物ってことにしておかないとパニックになっちゃうから。しばらくしてシヴァはやっとそれに答えた。
「その通り、偽物だ。一応な。ただ有している力は本物に限りなく近い」
「やはりそういうのは同じ神だからわかるのか?」
「ああ、そんなところだ。そうだな……新しいその偽の神は、四番目の魔神と捉えるのが丁度いいかもしれない。……そういうことにしておこう。この国の国王にもそう伝える」
「わかった。しかしアリムちゃんを困らせるとはどんな存在であれ許せんな……」
「同感だ」
四番目の魔神ね、言い訳としてはいい思いつきだと思う。ラーマ国王はまだ質問を続けるみたいだ。
「もう一つ。……シヴァ、お前は長い間別の世界で封印され、また、今こうしてアリムちゃんの手によって封印されてるわけだが、同じファンとしてどう思う?」
「羨ましいだろう?」
「正直ちょっぴり。……すまない、質問内容を間違えた。魔神としての力はまだ残ってるのか?」
「どうだと思う?」
シヴァは不敵に笑った。サマイエイルは悪魔っていう新しい生命を作り自分の羽を振らせた別の命を強制的に奪える力があって、スルトルは取り付いた先の力を暴走させつつ自分に有利な空間を作り出す力がある。俺はシヴァの能力を知らない。きっと、サマイエイルとスルトルのように超厄介な能力があるんだろうけどね。……アリム好き好き病とか?
「もし力を残していたら厄介極まり無い。申し訳ないがそのままその犬型ゴーレムの中に居てくれ」
「頼まれなくてもアリムちゃんの側を離れるつもりはない。なにせ、我はアリムちゃんと一つ屋根の下にいるのだからな! 教えてやろう、我含む魔神は皆、封印されていても外を見ることができる。我はアリムちゃん達の寝顔やあんな格好やそんな格好を凝視しているのだ」
「な、な、な、なんだってぇぇぇぇええ!?」
「……は?」
なにそれ約束と違うじゃん。どういうことなのさ。
「ね……シヴァ」
「しまった。口が滑った。許してくれアリムちゃん」
「ボク言ったよね? お風呂とかミカとイチャイチャしてるところとかは見るなって言ったよね? 恥ずかしいから。ミカも含めて……見てたんだ」
「その……むしろ見るなっていう方が無理というか、気になってしまうというか」
「……許さないよ」
「あ、ほんと、ゴメ___」
俺はシヴァの電源を切って容れ物を思い切り蹴り飛ばした。すごい勢いで壁に当たる前に空中停止させ、回収する。こいつもスケールダウンしてやろうか。俺だけじゃなくミカも見てたってのが許せない。
「こ、これがアリムちゃんが本気でキレた姿か……とってもそそら」
「……ん?」
「いや、なんでもない」
ふぅ、まあ好きな女の子のあんな姿やこんな姿を見たいのは同じ男としてわからなくもないから大目には見てやろう。今日はマジックバッグから出してあげるつもりはないけどね。
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1000話記念のリクエスト、最終的なものが決まったでござる!
ありがとうございましたでござるよ!
集計終了した後もいくつかカウントし忘れていたものもあったでござるよ。それらを含め全11個のリクエストを頂いたでござるな!!
その中から10個選んだものがこちら。これで決定でござるよっ!
・アリム×翔
・アリム×父親
・アリム×リル
・アナズム女子メンバーによる女子会(アリム有)
・有夢×翔 (出会った当初)
・翔×リル(新婚生活)
・侍(幻転丸)×翔 (武人談義)
・有夢家父×カルア
・ウルト×シヴァ
・ローズ×ラハンドやガバイナ
主人公であるアリム・有夢が一番多く、準主人公である翔が二番目に多いでござるな! 意外なことに次点はリルと成上家の父親でござる! では普通の話×3のち閑話×1~2というペースで書いて行くでござる!
……しかし、今更ながら思ったことでござるが、これだとまた最終話まで長引くもの。そろそろ毎日投稿に戻そうかとも考えているでござるよ。
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