第1007話 動かす国
「まだ聞きたい話はあるか?」
「魔神とは……」
「あー、そういう話は今はやめにしてくれ。ただ我はアリムちゃんのせいで逃げも隠れもできないからな。こういう公の場ではなく、きちんとした歴史学者などには話してやるから安心しろ。だいたい既存の文献の内容は合ってると思っていいがな」
どうやら公の場に姿を晒したから協力できることは協力してやるってスタンスで行くらしい。さっきそう耳打ちしてきた。やっぱりシヴァだけを出して正解だったね。次々と貴族さんや権力を持っている人が質問してそれに答えてるよ。
「偽の神に心当たりなどは……?」
「さあな、いまアナザレベルと名乗っている者を偽物とするなら我にはわからん。本物だとしてもアリムや前勇者を狙う理由はさっぱり理解できん」
「非常にアリム・ナリウェイのことを気にかけているように見えますがなぜそこまで……?」
「可愛いからだ! それ以外あるか! 萌えるんだとにかく! 萌えー! 貴様らに協力してやるのもアリムちゃんが貴様らに協力しているからだと思え! ……話しすぎた。そろそろ我は引っ込むとしよう」
俺に対しての態度の質問を最後に、許可なしにシヴァの映像は犬型ロボットのなかに引っ込んでいった。映像のオンは俺の許可がいるけど、オフはある程度自由だから仕方ないね。にしても萌えるって……。シヴァの話が本当なら俺に対して二歳の頃から萌えていたことになるね、下手したら俺の一番のファンかもしれない。
「あー、えへへ。えっと……国王様や学者さん達はシヴァとお話ししたくなったらボクに言ってください。お城まで連れて来ますよ。それで国王様、どうしましょうか、他の魔神ともお話ししますか?」
「悪魔神は話を聞く気にもならん。いや、いつかは話さなきゃならないが今はその気にはなれない。……エグドルシル神樹国の黒魔神スルトルはどんな奴なんだ?」
サマイエイルにはやっぱりみんな恨みや恐怖しかないようで、サマイエイルが入ってる方のコケシを睨んだり怖がってる人が多い。とくにウルトさんがパラスナさんを抱き寄せながら今まで見た中で一番怖い顔をしてる。国王様も相当だ。
「スルトルもボクにはまあまあまともに話してくれますが、シヴァと同じようなことしか話しませんね。どっちかっていうと他の魔神と一緒に出すと饒舌になりますよ。ただ、そこそこ口が悪いので気を害すことを言ったりすることもあるかもしれません」
「ふーむ……ではあのシヴァが一番まともだということか?」
「そうですね、なんかボクを好いてくれてるみたいなので、一番ちゃんと対応してくれます」
とは言ってもサマイエイルも質問したらだいたい返してくれるけどね。ミカを……あ、ミカだけじゃなくて皆んなを殺した張本人だから俺がまともに話を聞く気になれないんだよ。俺だって嫌いな奴とは極力お話ししたくない。
「……とりあえずアリムとミカとシヴァのお陰でだいたいの状況は飲み込めた。アリムは何やら緊張していたようだが、よく頑張ってくれた。ありがとう、何から何まで」
「は、はいっ……!」
「アリム、もう話しておきたいことなどはないか?」
「今はないです、見つけ次第国王様に報告はしますが」
そういうと、国王様は「よし」と言って壇上まで登ってきた。俺はなんとなく察して立っていた場所を譲る。
「ではアリムの体調を考えて今回はお開きとしよう。そしてこれから! 私はアナズム中にある全ての国に今判明していることなどを全て伝え協力を要請するつもりだ! エグドルシル神樹国も今の上層部なら話を聞いてくれるだろう。アナズムは我々アナズムの民が一丸となって護ろうではないか。他の国からきた少女達に任せるだけではいけない」
「そうですぞ!」
「私も協力しましょう、兵などを……!」
「現勇者が三魔神全てを倒し封印していた、それだけでもすごい話……!」
ふー、これを狙って貴族さん達も呼んだんだけど協力してくれるみたいでよかったよ。皆んなやる気を出してくれた。……とにかく俺のやったことは大成功したんだ。不安に押しつぶされそうになったのをこらえた甲斐があったよ。
これが済んだなら、次のステップに進まなきゃ。まあサマイエイルとの戦争でもやった武器の大量生産なんだけど……俺は今やロボット兵器まで開発したからね、前より色々できるはず。
ちょっと気疲れしちゃったから、カルアちゃんやローズ、マーゴさん、リロさんとミュリさんとは遊ばずに直接屋敷に帰ってきた。明日からまた忙しいから今日の残りは休むってことね。魔神達をいつもの部屋に置いてから俺とミカは自分たちの部屋へ。
「さ、おいで」
「ん……」
ミカには遠慮せずに甘えさせてもらうとする。緊張の糸がほぐれたから一気に溶けちゃうつもりで。
ちなみにミカはこういう時にお決まりになりつつある半裸状態。たぶんもはや好きでやってるんだと思う。
「たしかに有夢頑張ったけど、私はこうなることわかってたよ。言っても不安さは抑えられなかっただろうから言わなかったけど」
「そっか……」
「有夢の魅力は可愛いのと忍耐力が高いとこだけじゃないんだよ? めちゃくちゃ優しいっていうのもその一つなの」
「うん……」
「大好き、愛してる」
「ん……俺も」
このあとまあ、いつも通りマジックルームに入って何日分もイチャイチャした。心置きなく。
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1000話記念のキャラ×キャラ話リクエストイベント締め切りまであと一週間と一日となりました。
実はまだ全体合わせた六件しかきてないので、どうか、どうかリクエストの方お願いします……もう一人何十件とリクエストしていただいて構わないので……。
#カクヨム限定追記#
カクヨムで本作を読んでくださっている方々に向けた、カクヨムの新要素に対する今の心境を述べた近況ノートを作成します。宣伝についてや、個人支払い(投資?)について私がどう考えているか述べますよ。
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