閑話 時間停止スキルの練習 (叶・桜)
最近近況報告を活発にしてまして、現在最新の活動報告で見たい話のアンケートを行っているのでぜひ。期日は明日の午後11時59分までです!(集計はなろうとカクヨムで合同です)
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これはパラスナ達の元にイルメがやってくる数日前のこと。サクラとカナタは自分たちの部屋にいた。
「さて、兄ちゃんの言っていた通りスキルの練習しなきゃね。スキルは使えば使うほど新しい発見があるかもしれないから」
「うん!」
「じゃあまずは……今からボール投げるから試しに止めてみてよ」
カナタはサクラに向かって優しくボールを投げた。すぐにスキルが使われ、ボールは空中停止する。微動だにしていない。
「おお、すごい」
「止められないものはないんじゃないかな」
「これちょっと触ってみるね」
カナタがボールに触れると全く微動だにしなかった。そこでまた別のことを試してみることにした。
「次はこれをこのまま真っ二つにしてみるね」
刃物を用意してボールを切ろうとした。たしかに切れた感覚はあったが、空中停止したボールはそこから2つに分かれようとしない。カナタがサクラにボールを動かすよう頼み、実行するとボールはようやく二つに分かれながら地面に落ちた。
「まあこれくらいはできるか。でも繊維すら時間が止まっているはずなのに刃物で切れるのは一体……」
「気持ちはわかるけどそこを深く考えたらキリがないんじゃない?」
「だよね、スキルで時間止められる時点でおかしいし。……じゃあ次はこのボールを直してみてよ」
サクラが言われた通りにすると、ボールは空中へ戻っていき映像を逆再生したようにぴったりとくっついた。それからボールはまた地面に落ちる。
「ふむふむ、一回逆再生するわけか。でも俺の動きは巻き戻らなかったから、指定した対象だけみたいだね」
「どのくらい巻き戻すかも決めなきゃいけなかったよ。とりあえず治るまでって言うアバウトなので良かったけど」
「ほほう」
次に二人は再生を試してみたが、逆再生の時と同じように斬られた位置までボールが自動で戻り、その場で真っ二つになって地面に落ちるという工程を見せた。
「基本的にこんなもんか。よし、じゃあ次は人体実験だ」
「何すればいいの?」
「これ、俺以外服だけ時間止めてみてよ。どうなるか気になる」
「わかった」
サクラはカナタのきている服だけの時間を止めた。そのままカナタは前に進もうとしたが、まるでその場に貼り付けられたように動けなかった。
「すごいぞ! どうやらこの場合は時間停止の方が優先順位が上みたいだ! 拘束されたみたい。多分服を破くかサクラが解除しない限りこのままだと思う」
「へー、じゃあ今ならカナタ、何しても抵抗できないんだ……!」
「いや、裸になっちゃうけど瞬間移動で逃げられるよ」
「……そっか」
サクラは仕方なくといった雰囲気でカナタの服の時間停止を解いた。
「とにかくこれは俺以外だったら拘束に使えそうだ。髪の毛だけ停止させて動きを封じるなんてこともできるかもしれない。やってみようか」
「まだ慣れてないのに人体の一部だけを止めるのは流石にやめておくわ。カナタに何かあったらヤだし」
「そっか、じゃあしばらくの課題は生き物でも部位ごとに止められるようにすることだね。全体なら止められる?」
「多分、そっちの方が安全だとは思う」
「じゃあやってみてよ……あ、時間止めてる間にほっぺたつついてみてしたりしてくれる? ミカねぇみたいな効果があるかも」
「……わかった」
サクラはカナタの時間を止めた。まっすぐ立ったままカナタは動かない。サクラはまずほっぺたをつついてみた。そして兄ほどではないがプニプニしているほっぺたをしばらく堪能した後、サクラはここぞとばかりにカナタにキスをした。
それも済むと服を破き、自身も上着を脱いで密着する。こうして10分ほど好き勝手にした後、逆再生機能で破いたものなどを元に戻し、時間停止を解除した。
「うへぇあ!?」
「ど……どうだった?」
「桜、一体何したの!? なんかすごい腰から上がいろんな感覚が一気に襲ってきたよ……。ほっぺた突かれて、たぶんキスもしたでしょ」
「えへへ……」
「あとは……なんか服の中にビニール袋に入れられたお湯でも突っ込んだ? ムニムニして生暖かい感じがした」
「う、うん。そんな感じ」
サクラは思わず自分のやったことをごまかした。カナタはそのことに気付かない様子で話を進めて行く。
「ともかく人にやると感覚が一気に来るんだね。あと止められた側からしたら時間は1秒も立ってない感じだよ。すごく不思議」
「でも私、10分くらい止めてたよ」
「へぇ……なるほど」
カナタは少し怪しく微笑むと今回の練習のまとめをしたいからと二人でソファに座ろうと提案した。その通りにサクラが座ると、カナタはすぐにサクラの手を軽く握る。
「ど、どうしたのかにゃた?」
「桜、あの、あのね。やっぱりあのままボケるなんて無理だよ。俺だって男なんだよ?」
「……え、あ、あの……もしかして……」
「毎日寝るときに抱きついてくるのはどっちなのさ。……ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
そう言ってカナタはトイレに駆け込むと鼻を抑えながら便器を覗き込み、鼻血を大量に流し始めた。
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