第965話 しばらくぶりの呼び出し

「んふー」

「ま、満足してもらえたなら良かったよ、うん……」



 ミカが嬉しそうに甘えてくるのでそれを受け入れた。やっぱりミカに迫られたら普通に動けたよ。体力と精神力の底がつきにくいのが俺のカナタに勝ってる点。カナタだったら連日SSSランクの魔物を退治して、そのあとその対策を考えて、その対策を実行するためのアイテムを作って、隠れて数時間ゲームして、夜は彼女と……なんてことやってたらまるっと二十四時間、泥のように眠らないと体力回復は見込めないだろうね。流石に家事はミカに任せてたとはいえ、カナタならここまでできないはずだ。

 今だってここ毎日の疲れを癒さなきゃいけないはずなのにアイテムを作った後に何十時間もミカの相手をしてしまった。でもまあ、ミカとイチャついたから精神面での疲れはなくなったよ。



「やっぱりまだ動けそうだね」

「でも疲れてはいるよ。一応ね。とりあえずこのマジックルームから外に出ようか。体感で2日は居た気がする」

「そうね!」



 アムリタを飲んでから俺たちはマジックルームの外に出た。これさえあれば肉体的疲労は全部吹っ飛ぶ。

 部屋の時計はマジックルームに入る前から十分しか経ってなかった。どれだけの時間遅延効果だったんだろう。おかげでたっぷりイチャつけたけどさ。



「外に出たからと言って、マジックルームの中でたくさん遊んだし、イチャついたし、睡眠もとったしお菓子も食べたし、やることないよね」

「まあね、今日はもう夜まで待つだけだよ。そうだ! 久しぶりに映画でも見ようか」

「さんせ……ん?」



 頭の中にメッセージが届いた感覚がした。そのメッセージをのぞいてみると国王様からだった。

 おお、いつも王様達ってば何故か俺とミカがイチャイチャし始めようとしたら用事を言いつけてくるからね、今回はちょうど暇になった時だしバッチシなタイミングだよ! まああの時ミカにマジックルームに連行されずそのまま普通の部屋でイチャつこうとしてたらお互いの気持ちが盛り上がってきた頃に呼び出されるってことになってただろうけど。



「今日はマジックルームに入って正解だったね」

「うん。それで今から行くんでしょ? 私も行くよ」



 国王様から来たメッセージは、特訓を終えて帰ってきたからアリムの目線で今起こってることについて語ってほしいとのことだった。国王様、強くなってそうだな。

 俺とミカはカルアちゃんのお部屋に泊まることも見据えて身支度し、徒歩数分のお城まで行った。いつも通り顔パスで門をくぐりお城の中に入る。そしてそのまま玉座の間に直行した。

 中に入ると、使用人さんと元からお城に住んでる人を除いても結構な人がいることがわかった。いや、どっちみち全員知り合いだ。

 まず、ギルマーズさんがいる。ニコニコしながら俺たちに手を振ってるから振り返した。それにラハンドさんとゴッグさんとマーゴさん、ガバイナさんとローズ……それにウルトさんも居る。あとはルインさんをはじめとした四人にティールさん、カルアちゃんとカルナさん、ヘレルさんにエルさん、そして当然、国王様と大臣さんと騎士団長さんと大司教さん。

 なんなんだろうかこの大勢の人は。ウルトさんが居ることに驚きだけど、それ以上にアナズム基準のSSSランクに達してる人達ばかりいる。むしろ使用人さんを除いたらSSSランクほどの実力を持ってない人の方が少ない。カルナ王妃とエルさんくらいだ。



「やあ、アリムちゃん達も呼び出されたんだね」

「ウルトさん! どうしてここに」

「呼ばれたからだよ。といっても現状、俺はかなり警戒しなきゃいけないからこれは分身体だけどね」

「なるほど」



 そうだよ、ウルトさんはパラスナさんとお腹の子を守りながら脱獄犯に警戒しなきゃいけないんだ。分身体を寄越すのは正解だろうね。



「お、やっぱり分身体だったか。そりゃそうだよな」

「ギルマーズさん」

「やあ、二人とも久しぶりだな。最後にあったのは一ヶ月前か?」

「そのくらいですね」



 アナズムの中だったらこの人とそのくらい会ってないだろう。前にあった時はまだSSSランクの魔物が2匹同時に現れただけで騒いでた頃だ。……一ヶ月で色々変わりすぎだよね、ほんと。

 ギルマーズさんが別の人に挨拶に行ったころ、カルアちゃんがこっちに嬉しそうに駆けてきた。



「アリムちゃん! ミカちゃん!」

「カルアちゃん!! 元気だった?」

「ごめんね、最近遊べなくて」

「いいえ、構いません」

「んふふ、でも今日は準備してきたんだぁ」

「ほんとですか!」



 ローズもリロさんとミュリさんもいるし、今日は泊まることは確定だろうね。あとでお父さんに連絡入れておこう。カルアちゃんは俺たちに久しぶりにあえてとても嬉しそうだ。



「それで国王様の要件って?」

「状況把握みたいなものです」

「なるほどねー」



 ただラハンドさんとかがいるから、国王様から一体何人に転生について教えたのだとか言及されそうだな。



######


Levelmaker -レベル上げで充実、異世界生活-

第1巻の発売日は明後日、12/10です! もちろん全国書店で。

明後日まで迫ってまいりました。私のもとにも見本誌が届いたのですが、自分の書いたものがちゃんとした経路で本になるのって感動しかありませんよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る