第933話 その日
ピピピピピ、と電子音が鳴り響く。どうやらこの部屋の外は朝になってしまったみたいだ。
ところで俺は、いくらミカの勘が当たるとはいえ、正直、俺はあまりにも信じすぎてしまっている。ヘレルさんが怪しげな忠告をしてくれたことと、SSSランクの魔物がこれ見よがしに大量出現したせいかもしれないけれど、漠然とした不安が迫ってきているんだ。ぶっちゃけ、俺も何か起こるかもしれないって勘付いてるのかもしれない。
いや、今の俺には何でもかんでも好き勝手できる力があるはずだ。レベル上げだって死ぬほどやった。どうして不安にならなきゃいけないんだろう。
例えば俺は今まで実質2回、この世界の神である魔神の二柱をどうにかした。その時はここまで変な予感がしただろうか。すぐ生き返らせられるとはいえ最愛の人を殺されたりもした。親友の身体が乗っ取られ、弟さそれを対処していたこともある。どちはも最悪なはずなのに、その日もここまで寒気が走ったりはしなかった。
「もう、時間になっちゃったね」
ミカが残念そうに言った。
このマジックルームにこもって数日間一切外に出ず、ずっと二人でエッチしたりゲームをして遊んでいた。実に楽しかった。
「この部屋を出た瞬間にドカーンって隕石降ってきたりして」
「その程度なら対処できるよ」
「それもそうだね」
本当にその程度ならいいんだよ。隕石が降ってくるとか、アナズム中の火山が大噴火するとか、ともかく色々あるけどさ、そう言うのなら簡単に対処できるから。SSSランクの魔物と対峙するより楽かもしれない。
「今は嫌な予感するの?」
そう訊くとミカはただ頷いた。そりゃそうだ、俺ですら寒気するくらいだもんね。乱れたベッドの上に座ったまま、ミカは俺の手首を掴んだ。
「もし、死ぬようなことがあったら一緒だからね」
「うん」
「なにかあっても、また私だけ置いていったりしないでね。……今度は、躊躇しないですぐに有夢のあとを追うから」
「俺もそうする」
「えへへ」
「えへへ」
俺とミカは服をちゃんと着て手を繋いでマジックルームから外に出た。そこはすでに荒廃してる砂漠……なんてことはなく、普通に俺たちの部屋内だった。外も普通の風景でいい天気だし、外にはちゃんとメフィラド王国城下町の町民が日常生活を送っている。朝早いから人は少ないけどね。
「はーっ、いきなり世界が変わってたらどうしようかと思った」
「流石にそんなことはなかったね」
「とりあえず朝ごはん食べよっか」
「うん!」
俺たちはいつもと変わらない朝食を食べた。
それからは特にやることがない。SSSランクの魔物が現れたと言う警報か、何かが起こるのを待つだけだ。俺とミカは部屋のベッドの上で一緒に座っている。特に意味もなく。
「……ゲームしないの?」
「なんか緊張して、そんな気分じゃないよ。ミカこそ俺に抱きついて着たり甘えたりしないの」
「それはやるわよ」
甘えてきた、可愛い。
それからベッドの淵に甘えられながら座ったまま2時間が経った。正直、こんなことしてても意味ないだろう。
「何か有意義なことしようよ」
「そうだね。何かしている間に今日が終わって、何事もなかったらそれでいいんだけど」
「ねー」
そう言い合った時だった。頭の中にメッセージが流れる。
国王様だとかなら良かったんだけど、よりにもよってその送り主はシヴァだった。
【あゆちゃん、ミカちゃん、流石に起きてるだろ?】
この一週間、なぜか見かけないと思ってたのに、わざわざ今日という日に連絡よこしてくるなんて確実に何かあるじゃないか。
【……起きてるよ】
【どうしたんだ、不機嫌ではないか。まさか二人で喧嘩したとか】
【俺たちのこと見てるんでしょ? そういう風に見える?】
【いや、いつも通りのバカップルだ】
【でしょ】
【ではなにが気に入らないのだ】
【多分三人とも見てたんだろうけど、実はね】
俺はここ一週間であった出来事と、今日以前の予兆についてシヴァに話した。するとシヴァはバツが悪そうにため息をついた。
【……恐れ入った】
【なにが?】
【いや、ミカちゃんの勘が未来予知なんじゃないかというレベルなのは二人が物心ついた時から知っていたが、ここまでとは】
【………なに、なにがあるの?】
本当にシヴァからなにかあるんだ、これからなにか良くないことが。一番めんどくさいよ、想定していたうちで一番最悪といっても過言じゃないかもしれない。魔神関連の出来事は、本当にめんどくさい。
【心の準備ができたら、部屋に来てくれ。できればこの家に住んでる者全員だ】
【まさかだと思うけど、俺たちにまとめて何かをしようってんじゃ……】
【違う。少し……いや、長々と説明したいことがある。頼む】
どうにも本気らしい。嫌な予感は当たるみたいだし、そうしないと話が進まないってなら行くしかないじゃない。
俺とミカはみんなにメッセージで呼びかけて、お地蔵様ワープ装置と魔神達が置いてある部屋に集まってもらった。
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書籍化といえば、全国の書店に私の本が発売されるわけですよね。
感慨深いものがありますね。
そういえば、すでにTOブックスさんの、Levelmaker予約画面で表示の画像は見ていただけましたか? まだ見てない方は鼻血が出そうになりたかったらみてください。
太もものモチモチ感とか、ほっぺたのプニプニ感とかがすんごいです。ここまで文章に忠実にできるものなのかと驚きましたよ、ええ。私が自分でちょくちょく描いてたアリムちゃんとは全く違います、当前ですが。
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