第932話 量産体制
さて、全員から好みの機能は聞いてきた。
基本形態は球体であるってことは伝えたのにもかかわらず、だいたいみんな、現在愛用してる武器を単純に強化した感じがいいと言ってきたよ。
カナタ曰く、強い敵と戦うなら慣れた武器の方がいいだろうということ。そりゃそうか。そんなわけで俺の究極の新武器はみんなが今愛用してる武器に付与する形になるかもしれない。というのも、この究極球体武具に他の武器と吸収・融合させるという機能をつけて既存の武器を究極球体を融合させることによってアップデートする形を取ろうと考えているのだ! 事実上、ただ単に既存の武器を強くするだけ。新武器を一から考えた意味はなかったみたい。せっかく色々考えたのにね。まあ、仕方ないね。
とはいえ、その既存の武器の形態以外のカラーリングやデザインをそれぞれ好きな物を考えてもらった。例えばカナタなら基本色は黒で金縁の模様がついてたりとか、ミカとサクラちゃんとおばさんは武器っぽくカッコいい花柄にしたりだとか。うちのお父さんは機械的なデザインを注文してきたっけ。
ともかく注文に忠実に答えつつ、新機能を付け加えて計14個の究極球体武具(融合機能付き)を作んなきゃいけないんだ。アイテムマスターとダークマタークリエイト、そしてアイテムで底上げした全ステータスを集中させて1日に3つ作れる。マジックルームに入れば時間の流れは操れるから実際は関係ないけれど、俺の感覚で言えば4日半はミカとイチャイチャできなくなるわけだ。それをこれからやるんだよ? 辛すぎるよ。
その旨をミカに愚痴ると、抱きついてきてくれた。
「きつかったら無理しなくていいんだよ? なんならその4日間、ずっと私がそばでついてるよ」
「いや、集中して作りたいんだ」
「なるほどね。……もう作るって決めてるんだもんね。止めないわよ、じゃあ」
そういうとミカは深くて甘いキスをしてきた。それに10分ほど付き合った後、俺はマジックルームにこもって作業をし始めた。
なに、ゲームを何時間もぶっ通しでできる俺なら、一人なら途中で集中が途切れることもないよね。
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疲れた。めっちゃ疲れた。
物作りでここまで疲れるのも久しぶりだと思う。俺でなきゃここまでできないね。なんにせよ無事に全員分作り終えた。あとはこれを今日中に配るだけだ。……でもかったるいな。
結局、あまりにも疲れたのでカナタに頼んで瞬間移動で説明書とともにみんなの元に配ってもらった。あとはもう、俺は明日になるまでのんびりしたい。
「お疲れ様」
「うん」
「マジックルームの中じゃ4日半も徹夜で作業してたんでしょ? それなのにやっぱりあんまり疲れた顔してないわね。さすがだね」
「いや……俺にしてはすごく疲れてるよ」
「んー、まあそう言われれば確かにそうかも」
ああ、ミカって本当に可愛いなぁ。たった4日間も一緒にいなかっただけでここまで恋しくなるんだから。二人でゆっくりできないかな。
そうだよ、感覚がズレてたけど、明日はミカが前々から言ってた何かある日なんだ。もっと忙しくなるかもしれないんだ。そんなの嫌だよ。
「ねぇ、ミカ」
「ん? なぁに」
「明日ってさ」
「そうね。でも結局、勘は勘だし、案外なにも起こらないかもよ?」
「いや、それはないよ。日に日に出現する魔物が酷くなっていってるのに」
「……うん」
だからこの1日を伸ばしてしまおう。マジックルームの中で4日半作業してた。こっちは数時間しか進んでない。それなら明日になるまで、頑張った分以上に、マジックルームにこもってイチャイチャしてもいいでしょ?
「ミカ、マジックルーム行こう」
「なるほどー、忙しくなりそうだから、ゆっくりな時間の中でたっぷりイチャつこうというわけですな。私もちょうど同じ提案しようと思ってたの」
「やった」
「……私のこと、好きにしてね」
俺とミカはマジックルームにこもった。もちろん娯楽用のマジックルームだ。ゲームや遊び道具、大人な道具までたくさん置いてある。俺は早速、ミカをお姫様抱っこして寝床まで運んだ。
「疲れてるんだから無理はしないでね?」
「それよりも今はミカ成分と充電しなきゃ」
「それがいいよ、うん!」
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「たっぷり遊んだね」
「だね」
気がつけばあっという間に、マジックルームに取り付けていた現実時間に即したタイマーが鳴る頃となった。なってから外に出れば朝の6時くらいになってるだろう。
「めんどくさいこと、なんだろなー」
「わかんないわよ。何にも」
「SSSランクの魔物が20体くらい現れる……とか?」
「それはない気がする」
しばらくしてタイマーが鳴った。
俺とミカはマジックルームから外に出た。まだ、特になにも起こってないようで、家の中はいつもと変わりなかった。
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書籍化するにあたり、1〜80話、約17万文字を試行錯誤しながら一から書き直しました。きっとこのネット上で何周もしたという方もお楽しみいただけると思います。
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