閑話 魔法少女サクラ☆ 2話
「それより桜……なにその格好?」
「あっ……あんまり見ないでっ……」
恥ずかしがる桜。
カナタは素早さを生かして一瞬のうちにその姿をスマホの写真に収めた。誰も気がついてはいない。
その後、叶は何食わぬ顔で話し続ける。
「なんか魔法少女とかって言ってたけど、それ変身した後だよね? 髪の毛もピンクになって長さも少し伸びてるし……背中とお腹もスースーして寒そう。それ元に戻るの?」
「わ、わかんない」
「たまのイメチェンもいいけど、やっぱ桜は黒髪だよ」
「えへへ……で、戻るのよね?」
「も、戻るけどそんなことより、まずはロースを……」
「今そいつ動けないはずだから問題ないよ。ま、それを聞いて安心したかな」
「は!?」
ランボーは敵の四天王であるロースを見た。
驚いた顔で叶を見つめながら、その場でぴったりと静止している。
「それにしても桜がミニスカートにぴちぴちで背中とお腹が空いている服か……うーん。悪くないけど似合うのは清楚な服装だよな、やっぱり」
「か、かにゃた……は、恥ずかしいよっ…」
「まあ人前には出せないし、出させたくないね。ところでその、なんて言うの、小さい君」
「ぼ、ボクチンはランボーだよ!」
「じゃあランボー。さっさと桜をもとの姿に戻してあげて。こいつは俺が片付けるから」
「できるんチェリか?」
「疑うなら見てみる?」
ランボーは叶のその自身に黙って頷き、桜をもとの姿に戻した。叶はやっとまともにロースの方を向く。
「本当なら、こう…命乞いの時間とかあげるんだけどさ、話せるみたいだし。魔物がどうやってこの世界に来たかはわからないけど……桜に手を上げようとしたんだ。問答無用で消させてもらうよ」
カナタが手をかざすと、ロースは桜の部屋から跡形もなく消え去った。一瞬のうちに。
無論、瞬間移動を使ったのは言うまでもない。
「ん、んんんん? カナタ……でいいんでチェリよね? あの四天王を一瞬で……しかも物理的法則を無視して倒すだなんて、何者なんでチェリか?」
「よくぞ訊いてくれた! そう、我こそはカナタ! あの牛の魔物はこの我の魔法にて直々に溶岩の中に突っ込んでやったわ! 今頃丸焼きになっている頃よ!」
「はいはい、バカなこと言ってないで。自己紹介が終わったならこの子の話を聞いてあげて
「変なことって……ぷくー」
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「へぇ……アナズムとは関係ないんだ」
「アナズムってのは君があの力を手に入れた場所チェリ? 多分、そことボクチン達は無関係チェリよ!」
「にしても魔法少女にサクラがねぇ…。昔、そういうごっこ遊びして遊んだの懐かしいね」
「うん! まあ、まさか本当になるとは思わなかったけどね」
叶はランボーと名乗る妖精の話を聞き、大体のことを把握した。
カナタがサクラを少し抱き寄せており、サクラはそれを嬉しそうに受け入れているのを見てランボーは悪態をつくがまだ二人はそれに気がついてない。
「それで君は、サクラの彼氏でいいんでチェリよね? 本当に男なんでチェリか?」
「よく言われるけど、男だよ。それにしても桜、お願いってどうするの?」
「少し前なら目を治してほしいとか、お姉ちゃんとあゆにぃを生き返らせてほしいとか、たくさんあったんだけど」
「今ほとんど何かあっても自力で叶えられるもんね」
「そうそう」
「一瞬で相手を消せる力があるくらいだし、そりゃあ、自力で何でもかんでも叶えられるだろうよ。……っと、じゃあとりあえずお願いまだ保留でいいチェリね」
ランボーはそういうと、しばらく間を置いてから次の話をし出した。救いを求めるような目で叶のことを見つめる。
「それで、叶にお願いだチェリ。どうか一緒に戦ってほしいでチェリ。でも……お願い事を叶えるのは魔法少女の特権だから……何かお礼を考えつくまで無償で働いてもらうことになるけど」
「そのつもりだったし、報酬もいいかな。そのかわり桜を絶対に危険に晒さないようにすること。いいね?」
「ありがたいチェリ……! 次、敵はいつ攻めてくるかわかんないチェリ。さっき叶が倒したあいつは、ケムシの大幹部だから、総力かき集めてすぐに別の四天王が攻めにくるかも……」
「…….んー、ならさ、もう敵陣に突っ込まない?」
その提案にランボーは目を点にした。念のために桜の方を向いてみるが、特に変なことを自分の彼氏が言っているという感覚はないようだ。
「そんなの無茶だチェリ……」
「俺には瞬間移動があるからいつでも逃げられる。君が、もし、KM-Cの本拠地を知ってるなら、そこの場所を地図でも口頭でもいいから教えてほしい」
ランボーはしばらく考えた。
今まで、彼の国では過去に一度たりとも敵陣に自ら突っ込んだことがなかったからだ。
しかし、今回は異常に強い化け物がいる。
魔法少女もあまり活躍させないという時点で、歴史から大きく外れているため、それもありだと考えた。
「それじゃあ案内するけど……二人にはまず、ボクチンの国に来て欲しい。そこからが一番案内しやすいと思うチェリ」
「わかった、頼むよ」
「じゃあ、ボクチンの手を握っててね?」
二人はランボーの手を握った。次の瞬間、謎の光に包まれて二人は別の世界へと降り立った。
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