第744話 あべこべな性別
先に注意しておきます。過去最高(最低?)に混沌としています。年齢指定しても良いくらいです。
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「へぇ、すげーじゃん」
「でしょー」
男女変換の隠された効果は結構役に立つ。
これで完璧に性別が逆転しちゃったわけだけど……ミカミの感想を聞いてみようかな。
「で、どうかな? 性別入れ替えちゃったけどさ」
「思ったよりいい感じかな。アリムに教えてもらったその…前の性別の気を完全になくす方法っていうの? それのおかげで随分前から男だった気がする」
「そっか!」
普通は生まれた時から性別って不変なんだけどね。カクレクマノミじゃないんだし。
「こうしてみると、やっぱアリムって魅力的だよな。元の俺より可愛いんじゃない? 嫉妬しそうになる」
「いや、いやいや、それはないって。謙遜なしで」
「そう? そう言ってくれると美花に戻ったときに喜ぶだろうな。なんにせよ可愛いのはマジだ」
顎をクイっと持ち上げられ、目を合わさせられた。
水色の大きな瞳がボクの顔を映している。……少し首を動かせばキスができそうなほどに顔が近い。
っていうか付き合ってるんだしキスしたっていいはず。
目を瞑ってみた。
「……ん? ああ、そういうことね」
唇にいつもの柔らかい感覚。ここらへんは何も変わってないんだね。いつもの美花とキスをしてるのとさ。
「……キスの味は変わらないね」
「あ、ミカミもそう思ったんだ。えへへ」
顔が火照ってる気がする。
あー、もうこれカナタとかに見られたら絶対白い目で見られるよ。部屋は固く閉じてるから大丈夫だけどね。
「抱きしめてもいい?」
「うん」
宣言通りにぎゅーって抱きしめられた。
いつもの美花の柔らかい胸の感覚はなく、男の胸板の感触がする。ボクは逆に胸が締め付けられてるみたいだ。
「いい匂いがする…いつものアリムの匂いだ……」
「どんな匂い?」
「シャンプーの匂い」
「へぇ…」
逆にミカミはふわっとした優しい匂いから一転、男の人の匂いになっている。うーん……男の面を残していたら自分の彼女が完璧に男になったことを再確認して複雑な気持ちになってたことだろうね。
今はこれでいいんだけどさ。
「ふむ」
「えへへ」
頭をなでなでしてもらう。
そういえば身長も全然違う。今のボクが160いかないくらい……多分158cmだとしたら、ミカミは175cmはあるかな。まさか美花を見上げる日が来るとは思わなかったよ。
「んーと、俺とアリムは付き合ってるってことでいいんだよね? 性別も少し性格も変わったし一応確認なんだけど」
「あ、当たり前でしょっ!」
「だよなー。よし……」
ミカミはまたボクの頭をひと撫ですると、ほっぺたをつついてきた。ボクのほっぺはプニップニ。
「お、おおお…17歳になってもここは変わらないんだ」
「そだね! 触り心地はどう?」
「いつも同じ、最高」
しばらく……てかかなり長い時間ボクのほっぺをぷにぷにと触った後、不意にミカミは屈んで、ボクの足をすくった。即座にお姫様抱っこされる。
「そろそろ良いかな?」
「え、ああ…さ、先にお風呂入ろうよ!」
とっさに出た言葉がそれだった。
もしかしたらボク自身、まだちょっと怖いのかも。
「そうしたいならそうしよう」
「せっかくだけど、お、降ろして……ボクが先にお風呂に入ってるから、後から来てよ」
「わかった」
この部屋の脱衣所にボクは入る。
……って、ここで脱ぐならエッチな下着をつけた意味がないじゃないか。失念してた。
とりあえず簡単にバスタオルを巻こうと考えたけど、いつも美花は一緒にお風呂入るときはそんなのつけてない。そのままさらけ出してくれている。
ボクもそうしよう。ちょっと恥ずかしいけど。
心も含めて準備ができたからミカミを呼んだ。
やっぱりバスタオルもなにもつけずに入ってきたよ。……有夢に身体を見せるためにバスタオルいつもつけてないのかと思ってたけど、バスタオルが嫌いなだけなのかな? いや、ちゃんと巻いてる時も多いし気分だね。
ちゃんと男の人のアレがついてる。
もし、ボクが男のままなら自分の可愛くて仕方がない彼女に男性器がついてるんだから卒倒してただろうね。
「……な、なかなかガッシリとした体つきだね」
「そう…だな、うん。アリムは…えーっと」
「ああ、湯船から出るよ。まってて」
ボクは恥ずかしかったけど、湯船から出て成長した身体を見せた。ミカミの瞳孔が極限まで大きくなる。
……いや、瞳孔だけじゃないけど。
……あの大きさで有夢の方が大きいんだ。
「貧乳だったアリムに胸が……」
「え……えっへん!」
「すげ…ウグゥゥゥッ!」
「え………?」
すごい声を出しながら、ミカミは鼻血を滝のように流し、その場に倒れこんだ。遠目で見てもわかるくらい、完全に気絶している。
全然血が止まらない。男の時のボクの裸を見た時の反応の軽く10倍は行ってそうだ。そんなことより。
「うわああああ! みかあああああ!」
ボクは慌ててミカミを抱き上げ、脱衣の椅子に腰掛けさせ、そこらへんに一応備え付けてあるアムリタを振りかけた。
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