第703話 女子だけのお風呂 2 (美花)

「まずミカはどうなんだ? アリムと進展はあるのか?」

「裸同士で一緒に体をくっつけあって寝たりとか?」

「それは本当ですかっ!?」



 カルアちゃんの食いつきがすごい。

 ……有夢と一緒に寝れてるからって、流石にそこまではカルアちゃんに許すわけにはいかないからね。

 ここは恋人としてのディープな話をしなきゃ。



「うん。2日に1回は」

「2日に1回、裸で…!」



 まあ有夢は男になってるけど事実だし。

 隔日でエッチなことしてるし。前に有夢が倦怠期が怖いとか言ってたけど私はそんなの来る予感一切しないし。

 なんなら今日だってベットに押し倒されたいし、押し倒したいし。



「……かなり進んでるね…」

「正直驚いたわ…」

「うわぁ…まだその頻度で…」

「わふん、羨ましい」



 桜も知ってるくせにドン引きしてる。やめてよね。

 リルちゃんだけが理解者よ。この中で経験済みなの私とリルちゃんだけだし。



「アリムちゃんとミカちゃんが裸で一緒に寝るってこういうことかな? 私達で言えば」

「ち、ちょっとリロ!?」



 リロさんがミュリさんに抱きついた。

 リロさんの胸が柔らかそう。



「うん、悪くない」

「ええっ…!」

「お城帰ったら一回、この状態で一緒に寝てみよっか…?」

「えええっ…!?」

「冗談だよ」

「で、ですよね…ふぅ」



 私の話はここまででいいかしら。

 つぎは…この2人ね。



「それで、ミュリさんとリロさんはどこまで進みました?」

「私はルインとキスまでしたかな。デートも週に1回くらいで行くようになって…は、初めよりだいぶ彼氏と彼女みたいな関係になれたかなーって」

「私も同じ感じですっ。キスまでなら…」



 そっか、この2人はまだキスまでか。4人揃ってウブだから仕方ないって言えば仕方ないし、思ったより進んでると言えばそうかもしれない。



「でも…私達、子供がいてもおかしくない年齢なんだけど。初めては…いつになるかな」

「……お、オルゴとあんなことやこんなこと…きゃーっ」



 2人とも顔を真っ赤にして可愛らしい。

 私も少し前までは有夢と裸で過ごすだなんて考えたらトマトみたいになってたのかな…。でも今は日常だし。



「ふむ……それでサクラちゃんはどうなんだ?」

「私? 私は彼氏いるよ。リロさんとミュリさんと同じで、実質キスまでだけど…幼馴染で…」

「詳しく聞かせてくれ」



 サクラは詳しく話した。

 叶君との出会いから、どうして惚れたかまで全てを。私は間近で全部見てきたから知ってるけれど……いつ聞いても、叶君は桜にとってこれ以上ない王子様よね。



「す…すごい…」

「それは惚れるのはわかるな」

「そ、そう? やっぱりそうだよね…えへへ」



 サクラの次はローズが話をすることに。

 好きな人がいるのは知ってるけど誰が好きかは知らないし、暴露してもらおうかしら。



「好きな人に告白はできたの?」

「まだだ……」

「ということはそろそろ半年近く片思いですか。名前はなんという方なんですか?」

「……あ、あの人はAランクの冒険者だから、し、知ってるかなぁ…」



 忘れがちだけだAランクの時点で相当な実力者ってことにはなってるのよね。忘れれがちだけど、うん。

 でも私達が知ってる親しいAランクの人って2人しかいないわね。そのうちのどちらかだったら面白いんだけど。



「が、ガバイナという…男の人だ…」

「うっそ、ガバイナさん!?」

「そうなんですか!?」

「な、なに? みんな知ってるのか!」



 なんと、今予想した通り、2人のうちの一方、ガバイナさんだったとは。

 桜とリルちゃんはわからないみたいだったから、『前の結婚式で新郎新婦と親しげにしていた、スキンヘッドの私と歳が近い双子連れの男の人と、ガチガチに顔以外甲冑をはめている男の人の、甲冑の方』と説明しておいた。


 それにしても、人間年齢なら10歳近く離れているのに……そう、ラハンドさんとマーゴちゃんくらいに。

 それなのにガバイナさんのことを好きになるなんて、ローズになにがあったのかしら。

 カルアちゃんが出会いを聞いてくれた。



「……その、まだAランクだった頃にな、仕事を一緒にしたんだ」



 そう言えば今はもうSランクだっけ。

 早いわね…そのうちダンジョンのレベル上げに連れてってあげてもいいかも。



「で、やらかしてな……崖から落ちそうになったところを、手を差し伸べて引き上げてくれて…っ」

「好きになったんだ」

「う、うんっ…」



 理由は単純でわかりやすいけど、恋に落ちるのはわかる。元はドラゴンだったとは言え乙女ね。

 


「そうですか。呼べば会わせることできますが、どうします?」

「そ、それほど仲のいい人なのか!」

「まあ…奴隷解放に大きく貢献した1人ですからね、本来なら冒険者なんかじゃなく、城に仕えてそれなりの役職を与えられていても不思議じゃありません」

「そ、そうだったんだ…」



 ガバイナさんに一歩近づいたからから、ローズはとても嬉しそうだった。そう言えば人間に勝手に変身させても起こらなかったのって、恋をして見たいからとも言ってたっけ。これは応援しなきゃね。

 

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