第652話 今までの報告

「今日は国王様の所に行こうと思う」

「そうね、報告しなきゃね」



 ガチャガチャをそれなりにしていいものが沢山でた翌日。俺とミカは布団に潜りながらそんな話をしていた。

 


「メッセージするよ」



 メッセージを開き、国王様と繋げる。

 国王様に話をするのはラーマ国王との話の内容を報告するとき以来だね。



【む、なんだアリムか。どうした?】

【ちょっと故郷に戻ってる間に魔神関連で色々ありまして……話したいことが山ほど】

【そうかわかった。何時頃来れそうなんだ】

【午後2時くらいですかね】

【わかった、開けておく】

【ありがとうございます】



 よし、約束を取り付けた。まあどうせこのままカルアちゃんと遊んで行けとか言われるだろうけどね。連絡した時点でそのつもりだし。



「てことはカルアちゃんと遊ぶの?」

「そうなるね」

「じゃあ今のうちに大っきい有夢を堪能しとかなきゃ」



 昨日、今日とあれだけ甘えたのにまた甘えて来るの可愛い。俺も頭をナデナデする。

 


「で、今日からやる予定だった勉強はいつやるの?」

「うっ……ま、まあいつでもあるでしょ。最終手段として二週間以上ここに居てもいいわけだし」

「まあね」



 でも勉強を先延ばしにするのも良くないよなー。

 今のままやっても学年トップレベルの点数は取れるだろうけど、俺よりは勤勉な美花には点数で負けてしまう。

 つまり一方てきに言うことを聞かなきゃいけないということ。……別に負けてしまっても構わないんだけどちょっとくやしい。



「とりあえず2時までゆっくりしようね……ま、勉強も明日から明日から」

「うん!」



_____

___

_



「国王様、来ましたよ!」

「ふむ、約束通り」



 ちなみに最近、お城は顔パスどころか、いきなり城の中、玉座の間や国王様の個人のお部屋の目の前に現れたとしてもなにも咎められなくなってる。特別待遇ってやつだね。今は国王様の個人のお部屋に入ったところだよ。



「それで、アリムらの故郷で魔神関連で色々あったと言っていたが……なにがあった?」

「はい、単刀直入に言いますと、魔神と接触しました」

「なに!?」



 座っていた椅子から驚いて立ち上がる国王様。

 まあ、驚いちゃうのも無理はない。



「一体どういうことだ? ラーマ国王からあの国の歴史を教えてもらう、という話までは聞いた。あれからどれくらい進んだのだ?」

「あー、しばらく報告してなかったですもんね。全部話しますよ」



 ここ数ヶ月間でブフーラ王国や導者、魔神についてあったこと、そしてわかったことを全て一通り国王様にミカと手分けして話した。

 それなりに時間かかったけど、結構重要なことなのでゆっくりと、要点をしっかり掴んでね。



「……ふむ、ふむわかった。なるほど、アリム達の世界と我々の世界アナズムはなにやら親密に関係しあっているようだな。私の考えよりも遥かに」

「ええ、そういうことだと思います」

「破魔神は確かに導者の手によって滅せられたと、このアナズムの共通認識だが本当はそんなことはなかった。無理やりアリム達の世界に押し付けいたのに近いわけだな」

「む…でも、その連れて来た本人も地球人ですからね。どうとは言えませんよ」



 でもね、やっぱり独断で魔神なんて危険なもの持って来てほしくなかったよね。何百年経つうちに性格が温厚になってたっぽいのは救いだったけどさ。



「それで、その魔神は? アリム達の前に現れたんだろう?」

「はい」

「どういう形で現れたのだ」

「えっと、悪魔神を復活させたメフィストファレスって覚えてます?」

「……ああ、あいつがどうかしたのか」



 まあちょっと言い辛いけど、この不思議な世界だ、なんとでも言いようはあるよね、よし。



「こっちの世界で死んだ影響か何かわからないんですけど、地球に戻ってきていたんですよね」

「なぬ……そうか、それで?」

「メフィストファレスは俺たちが住んでる町の中に仕事しに来てたんです、そこでどうやら取り憑かれたみたいで」

「……アリム達が住んでる街の中に取り憑かれるような原因が?」

「いえ、それも実は……」



 とにかく話した、必要なことは全部話した。

 喉が渇いて来たころに全部話終わってしまった。



「……なんとなんと、実は実家の近くの神を祀っているところに封印されていたと」

「はい」

「すごい偶然だな」

「ええ、そうなんです」



 もう偶然がすごすぎて怖いくらいなんですよ。最初から……俺がアナズムに来たこと自体が全て仕組まれていたんじゃないかつまて思うくらいに。



「それで魔神はどうだった? 倒せたのか?」

「違います……その、和解といいますかなんといいますか、ね、美花」

「私達がいる限り手は出さないみたいな態度を取って来ているんです」

「ほう…」



 会話の内容も覚えてる限りきちんと話した。

 とても興味深そうに聞いている。



「ははは、アリム達は魔神すら魅了してしまったか!」

「……みたいなんですよねぇ…でももし向こうで暴れたりしても対処できる方法を見つけたので大丈夫ですが」

「それは良かった。そっちの世界でアリムに何かあったらこっちにまで影響があるような気がしてならん」

「心配ありがとうございます」

「しかし……そうか、これでつまりアナズムから完全に魔神は淘汰されたのか。1柱も残らず」



 感慨深そうに国王様は言った。

 この世界の人たちにとって感慨深くても俺達に取ってはただ単に強いボスと戦ってる感じだったけどね。



「とりあえず話は把握した。……カルアが待っている。あそんできてもらえるか?」

「任せてください!」



 魔人の話が終わったから、カルアちゃんと遊ぼう。

 もうこの世界に不安は訪れないんだから。ゆっくりと。

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