第507話 地球でのデート

 あっという間に1週間も終わり、日曜日となった。

 月曜日の朝になった瞬間にまたアナズムへ向かうんだけれど、次帰ったらもう本気でウルトさんとパラスナさんの結婚式準備をしなくちゃならない。

 まあ、でも、この約1週間の間に学校での授業時間を考察にあてたから計画はだいぶ進んだ。実質、あとは作るだけと言ってもいいかも。


 ……勉強に集中せずに、お仕事のことを考えられていたのはアナズムで色々とドーピングしながら予習したからだね。サボってたわけじゃないよ。

 高校卒業且つ大学入試に必要なぶんの勉強を数日で全て終わらすなんてことは、地球じゃできない。

 確かにずるいかもしれないけれど…ふふふ…1回死んで手に入れた特権っていうやつだね。

 おかげでゲームも、美花とのスキンシップも、満足が行くほどできてるんだ。


 ああ、あとそれと!

 俺と美花へのラブレターがすごく減ったよ。

 2人分の総合計で付き合う前の半分以下になったかな。

 まだ諦めてない人がいることに少し驚きだけど、とりあえず俺と美花が付き合ってることに関しては、もうだいぶみんなに認識されたみたい。

 ショーとリルちゃんのカップルの中もかなり有名になってて、ショーがどうやらかなり多くの男子生徒に僻まれてるっていうのは最近よく聞く。

 ハーレム大魔王の名前は学校に広がっていってる証拠だね。



「有夢っ…準備できた?」



 美花が隣の部屋から顔をのぞかせてくる。

 今日、俺、美花とデートするんだ。

 付き合い始めてから地球での初めてのデート。

 

 もうだいぶ日にちも経ったし、どこか出かけても大丈夫だろうということで、前々からこの日曜日はデートすることに決めてたんだ。

 ちなみに叶や翔達もそれぞれ今日デートしている。

 俺達より先に家を出たからね。

 もしかしたら途中で会っちゃうことなんてことがあるかも。…まあ実際はそんなことはない思う。目的地違うし。


 ちなみに美花は地球でのデートだということで、普段よりお洒落しているよ。

 ピンクのヘアピンは美花の黒髪に際立ち、もともとお化粧なんてしなくても良いはずの顔は、うっすらほんのりとナチュラルメイクとかいうのを施している。

 どこか他の場所を見たくても、自然と目が美花の方にいってしまうんだ。

 

 服装は緑のスカートを基本としたファッションで、大分、本気出してコーディネートしたのが一目でわかる。

 総じて、可愛いすぎて言葉が出ない。

 毎日見てる、毎日一緒にいる、そんな俺でも魅了されて____________



「あ、有夢っ! 目の焦点が合ってないよ!」

「はっ!!」



 美花が窓から手を伸ばし、俺の顔を軽く撫でた。

 しまった、完璧に見惚れてた。



「どうしたの? 気分悪い?」

「いや、見惚れてただけだよ」

「み、見惚れてるだけにしてもすごかったけど。えへへ、綺麗かな?」

「綺麗なんて一言じゃあらわせないよ」

「あ、ありがとっ」



 美花は恥ずかしがりながらも喜んでいる。

 可愛いだなんて誰からも言われ慣れてるはずなのに、美花が照れてるんだ。可愛くて仕方がない。



「有夢も今日は…かっこいいね」

「んふふ、そうでしょー」


 

 俺の所持してる服の中から数少ない、男っぽくてかっこいい服をチョイスして、んでもって整髪剤やらなんやら使って女の子には見えないように髪型をセットしたんだ。

 正直、俺もだいぶ張り切ってる。



「じゃあ準備できたのね?」

「ん、完璧なのかな」



 俺たちは遊園地に行く予定だからね。

 秋だから少し寒いけれど…まあ良いでしょう。

 お金も持った。美花に奢っても大丈夫なくらいもった。

 その他必要なものもしっかりもってる!

 大丈夫!



「じゃあ行こっか!」

「ん!」



 俺と美花は互いに頷き…外に出ることにした。

 二階の自室から慌てて玄関まで行く。

 その最中に。



「…そんなにお洒落して…」

「か、母さん…!」

「頑張ってきなさい! …ん? 頑張ってきなさいはおかしいよね。楽しんできて」

「うん!」



 お母さんに返事をしながら、一番良い靴を履いて、玄関からドアを開けて外へ飛び出した。

 ガチャリ______と、同時に開く音がする。

 どうやら美花と俺は同時に家から外に出たみたいだ。



「…や、やっぱり今日はかっこいいね! えへへ、なんかいつもと違う…!」

「美花も…いつもより増して…可愛い…ううん、そんな言葉じゃ足りないくらい…」



 改めて外で全身像を見ると、やっぱり全然違う。

 もう可愛くて仕方ない。



「あっ…ありがとね……んっ!」



 美花は俺の真横まで駆けてくると、抱きつき気味に頬にキスをしてきた。

 なんだか超複数の視線がこちらを見て、羨むなり微笑むなりをしてるような気がするのは、気のせいではないんだろうなぁ。



「じゃあ、改めて…行こうか」

「うんっ!」



 俺は美花に手を差し出す。

 美花は俺の手を握る。

 そして、しっかりと握り合った。


 ……アナズムで再開したから俺たちはこんなにラブラブなのか…それとも、地球で付き合い始めてもこうなっていたのか。多分……後者なんだろうね。

 

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