第456話 セインフォースと転生
「説明は以上です!」
みんなに転生の説明をした。
レベル1に戻るけど、STPとSKP、獲得したスキルや称号などはそのままである事とかを、ざざっとね。
「そ…そんな、こんなのどこの本にも…」
「単純にその転生をした人がいないか、少ないんだと思います。もしかしたらこの世界出身でそこまで到達してる人は既に居たかもしれません。だけど単独自力でSSランクの魔物を倒せる実力があるのに、わざわざ割り振ったSKP以外のステータスが最初からになるなんて危険、普通だったらしないでしょ?」
と、長々と自分の考えを述べてみた。
実際のところそういう人もいるんじゃないかと思うんだ。SSSランカーだって、片手で数えるほどしかいないとか、そういうわけじゃないから。
「たしかに。そう言われると」
「じゃあ私達も、転生はやめて置いたほうが…?」
ミュリさんがそう解釈するけど…違うんだ。
俺たちには、ダンジョンを周回するという知識があるから。
「いえ、皆さんはより強くなりたいならするべきなんです。いえ、強くなるべきなんです」
「……というと?」
「だって安全なレベル上げであるダンジョンの探索周回っていう方法があるじゃないですか! ですから、レベル1になっても大丈夫です。それに今のまま止めてたら、たしかにSSランクやその亜種の魔物なら倒せるかもしれませんが、魔神とかには一矢報いることもできませんよ」
「……!」
自分たちも対峙した悪魔陣のことをまだ覚えてるのか、みんなは目を見開いた。
「たしかに…あの魔神と戦った時、お父様も…ギルマーズさんも、パルスナさんもやられたんだったよね…。そしてこれがアリムちゃん達の強さや秘密か」
まあ、あいつの場合、どう頑張っても即死だからね、仕方ないんだけど。逆になんでウルトさんが生きてたかが疑問。スキルのおかげだとは思うんだけど。
「そういうことです。それで…転生しますか?」
「……そうだね。それならしようと思う。そしてこれに転生のこともしっかりと記そう」
ティールさんはあのメモ帳代わりの本を掲げる。
「そうですね。折角ここまで上げましたが…私もアリムちゃんのいう通り転生というのをしてみます!」
「じゃあ……僕達も」
「そうだな。より強くなるために」
「はいっ!」
「スキルは消えないんだもんね? よぉし!」
それぞれ意気込みを述べてくれた。
これでこの世界にも、一文の人間にレベル上げ方法とともに転生も伝わるのでしょう。
くれぐれも悪用はしないで欲しいね。
後でティールさんのメモ帳にそういう細工しておこうかな。
「じゃあ…やるよ」
みんなが目を瞑り、一斉に転生をし始めた。
転生1回が終わるのに1分かかる。
だから、500回近く貯めておくとまる1日近くかかるんだよね。大変なの。
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無論、みんなは1回分だから、すぐに目を開けた。
それぞれが自分の具合を確かめるように、手をニギニギしたり肩を回してみたりしてる。
「気分はどうです?」
「いやぁ…なんか一気に力が抜けたみたいだ…」
「まあそれは仕方ないですよ」
それも回数を重ねてくうちになくなるからね。
みんな何回転生するつもりかは知らないけど。
「今日はもう遅いですし、転生してから初めてのダンジョン周回は明日からにしましょう」
「そうだね。それにしてもSTPのおかげか、レベルが1に戻ったというのに80レベルの時と同じくらいのステータスがあるね」
「はい。ですから明日はいきなりBランク亜種まで行っても大丈夫だと思いますよ。それどころかその後にダンジョン内でステータス調整すれば、Sランク劣化種も倒せるかと」
とすれば明日からは1転生につき11回のダンジョン周回ですむ。みんなのダンジョン1回の周回が大体最速10分くらいだろうから……1日に2~3回は転生できるかもしれない。
そして、国王様からは2週間単位時間をもらってる。それもあと10日残ってるから、最高30回は転生できるね!
そんな軽く計算してみた結果を、みんなに伝えた。
「うぁ…30回の転生かい? 本当にできるかな?」
「まあ楽勝ですよ! 大丈夫、ボクとミカなんて500回以上転生してますもん」
そう言うと、ルインさんの顔が一瞬だけ引きつったかのようにみえた。
「ご、ごひゃ…」
「うわぁ…よくそんなにできるね」
「やはり強者は努力を惜しまぬか」
11周回で1回の転生を、500回。
そう単純に考えてみんなはダンジョンを俺が5500回周回したと考えてるんだろう。
でもね、俺の転生回数のうち400回はミカなんだよ。
たしかにダンジョン周回は4900回近くしたけどね。
1周で90万の経験値なんて貰えなかったから。
「じゃあ…また明日から頑張りましょうね! 今日は残りゆっくり休みましょう」
「そうだね」
俺のその提案をルインさんは受け入れた。
まあ、普通の人は疲れるよね。このレベル上げ。
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