第455話 周回終了か転生か

「はぁっ!」



 ルインさんがさっき手に入れた『剣極奥義』の技の一つを使い、隠し部屋のロボット4体を一瞬で倒してしまった。

 メッセージとともに宝箱が出現。

 それをカルアちゃんが回収する。



「……これが…最後の周回なんだね?」



 カルアちゃんがマジックバックに鍵箱を仕舞ったのを確認するとルインさんはそう呟いた。

 


「まあ、とりあえずそうなりますね。一旦、マジックルームに戻りましょうか」



 その通りに、俺達はマジックルームへと戻った。

 ルインさんがダンジョン限定Sランクスキルとかいうのを手に入れてから8周。

 レベルやステータスが7周終了時点でSSSランカーと同等になってるとはいえ、みんなヘトヘトだ。

 


「そんなに疲れる?」

「あなたと一緒にしちゃダメ。レベル上げの鬼なんだから」



 ボソリとミカにそう呟いてみたらツッコミを入れられた。別にボケたわけじゃないんだけど。

 ま…そうか。そうだよね。

 本当だったら5000周近くするのは特異なことなんだ。


 ちなみに…鍵箱からはSSランクの魔核が2個出てきた。

 たくさん周回してた俺ですら数回しか見てないその『伝説級でSSランクの魔核2個』というのを、カルアちゃんはもう8回連続で引き当てたことになる。

 SSランクのスキルや★5のスキル作成に使うから良いんだけど、カルアちゃんの豪運も大概だよね。

 ちなみにまだ一つも手を出してない。

 次あたりにまたダンジョン限定Sランクスキル引きそうな予感がするし。



「あ…ああ、アリムちゃん、ステータス見てみて良い?」

「ええ、どうぞ」



 カルアちゃん、ルインさん、オルゴさん、リロさん、ミュリさん、ティールさんは一斉に自分のステータスを覗き始めた。

 今までより長くかかった後、全員、顔を上げて感慨深い顔をする。



「レベル…255…」

「これが最大なんですね…」

「わはぁ…すごい。これって現実?」

「さあな。夢かもしれないぞ? なんせ俺達はつい四日前まで一人ずつがDランクのレベル35前後だったのだから」



 そうなんだよなー。つい先日までレベル35だったんだよね。普通の人は信じられないでしょうね。

 ティールさんがしっかりとメモってくれてるみたいだし、もう一人、他人のステータスが視れるカルナさんも居るから、国王様達は信じてくれるかもしれないけど。



「スキルは…どうします?」



 これは大事なこと。

 いくらステータスが高くてもスキルがショボかったら意味がないからね。



「昨日からあまりいじってないから1万以上SKPが残ってるね。ステータスを見る限り全員そうみたい」

「あ…あの、アリムちゃんっ! その…一緒に考えて欲しいんですけど…」



 カルアちゃんがそう言うと、他のみんなも口々にお願いしてくる。ふふ、仕方ないなぁ。

 


「わかりました! ボクはたっくさんSSランクスキル持ってますからね! 教えて上げますよっ!」



______

____

__




「……」



 まあ、当たり前のことなんだけど…。

 考えるだけで日が暮れちゃいました。四日目終了!

 そりゃあね、6人も居るんだもん! 仕方ないよね!



「なんか…すごいね」



 そう、ルインさんが悟ったように言った。

 そうなんですよ、全然違うはず。


 まず、剣士や戦士、魔法戦士である4人全員が『剣神奥義』を入手した。その素材となるスキルとかも含め、その時点でSSランク魔核は5個が消え去った。

 その次にリロさんとミュリさんがSSランクスキルをそれぞれ2個ずつ習得。これでさらに魔核5個分。

 そしてまた4人が、『気』のSSランクのスキルを4人とも習得。

 これで残り1個。

 その1個はみんなの意見を集めた結果、ルインさんの光スキルの魔法攻撃技のSSランクを作ることに。

 使い切ったよ、綺麗に。


 あと俺は器用だからね、スキルの考え方を教えながらSランクやAランクの魔物の素材(Sランク劣化種は魔核こそAランクだけど、素材はSランク級)により、装備もそれぞれ国宝級以上の代物となっている。

 これでみんなはどこにでても恥ずかしくないSSSらんかーだよっ!



「おめでとうです! これで皆さん、もうSSSランカーですよ! それも上位の!」

「いや…そうだね。確かにそうなんだけど」



 そう言うルインの頭にはハテナマークが浮かんでる。



「なんですか?」

「いや、転生って……なに?」



 そんな素朴な疑問。

 そうだよねー、転生だよねー! だってレベルMAXまで行ってるもん! そりゃあ転生できるようになってるよね!



「ああ、それは前々から僕もアリムちゃんとミカちゃん。あとアリムちゃん達が連れてきた賢者の皆さんに訊こうと思ってたんだ」



 と、ステータスが見えるティールさんがそう言った。



「……聞きたいですか?」



 と、ニヤリと口角を上げて怪しげに言ってみる。



「う、うん」

「なら…教えて上げましょう。これが…なんなのかを。あ、ティールさん、メモを忘れずにっ!」

 

 

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