聖話 クリスマス! 〜赤い少女サンタ〜

※(この話は本編とは全く待って関係ありません。)



 12月25日午前0時。

 クリスマス、聖夜。

 ある1人の、髪が赤く、帽子も服も赤い人物がソリに腰をかけた。



「さぁて、今回も頑張ってね。スタートクエストとドラグナーストーリー!」



 そう、呼ばれたのは彼の_______



「ボクは女だよ!」



 そう呼ばれたのは彼女の飼っている2匹のトナカイ。

 飼い主が好きなゲームの名前をつけられた、トナカイである。



「ふむ…準備万端! それじゃあしゅっぱーつ!」



 特別なトナカイが引くソリは、シンシンと雪の降る夜の空に向かって走り出した。

 クリスマスのコスプレなのではとしか思えないような服装の彼女は、イルミネーションに彩られた下の世界の光景に、目を輝かせる。


 

「おっ、ここだね!」



 まるで忍者のように人の家に、白い袋を持って飛び降りた彼女。

 ポケットから一つのアイテムを取り出した。



「テテテテッテテーン! いい子かどうかわかる装置ぃ~! この家の子の名前と年齢と犯罪歴と良いこと歴、そして欲しい物がわかるサンタさんの優れものだよ!」



 誰に向かって言っているのかはわからないけれども、簡略的な説明をしながらその装置をかざす。



「ふむふむ……ここの家の子はショーというのか。なになに? 犯罪歴は…無いね。歳は….ふむふむ…ええっ!? この歳でこれだけのことやってんの!? ヤバ、こいつヤバ!? 英雄じゃん、もろ英雄じゃん。なにこの子!? こんな良い子には最高のプレゼントしましょうねー」



 自信をサンタと自称した彼女は、白い袋…には一切触れず、空中から黒い物体を作り出してそれを何かに変化させた。

 その創り出したものを、ショーという人間の家の煙突に放り込む。



「よし、次ぃ!」



 自称サンタの少女は空中で停止していたソリに飛び乗ると、また走り出す。

 次に辿り着いたのは、大きなお城。



「ここは…ふむふむ…子供が5人いるんだね。女の子3人に男の子2人か…。それぞれ王子様とか御令嬢とかなんだね。うんうん、全員良い子みたい! それじゃあ、サンタさんプレゼントをあげましょね」



 また、さっきの要領でプレゼントを5人分創り出し…煙突がこの場からは見当たらなかったので、窓を貫通させて放り込んだ。



「次々いこー!」



 ソリは再び走り出す。

 次に着いたのは、隣り合ってる二つの家。



「ここの子達は…とてつもなく美人な姉妹の家と、男の子の兄弟の……男? これ男なの? マジで男なの? 嘘でしょ?」



 どうやら、戸惑っているようである。

 が、すぐに思い直した。



「ま、いいや。えーっとなになに。美人姉妹の方の…妹さんかな。この子は地味っ子なんだね普段は。ふむー、この隣の家の子の弟君の前じゃ、ツンデレさんでもあるみたいだ。なるほど、いい子だ。欲しいものは……大量のお菓子…か。こんなに食べたら太んないのかな? ……あ、太んないんだね」



 自称サンタは、お菓子の詰め合わせを屋根を貫通させて放り投げた。



「よしよし。えっとこの家のお姉さんの方だね……。ああ、隣家のお兄さん(?)の方にベッタベタですか。ヤンデレでもあるみたいだね。ウーン…すごく美人だけど、たまに他人に迷惑かけちゃうくらいヤンデレさんなのかぁ…。ま、いいや。普通にプレゼントあげちゃおーっと」



 同じく、プレゼントを放り込んだ。

 


「よっと」



 サンタ少女は隣の家に飛び乗り、こんどはこの家の弟の方から調べ始めた。



「この子は…すんごく頭が良いんだね。でもあれだ、保護欲が強すぎるのかー。あと女の子みたいって言われるのが嫌なんだね。いっそ、女の子みたいなら女装して楽しめばいいのに。えーっと…欲しい物は…黒魔術研究セット…? 厨二病か…」



 またまた、プレゼントを放り込んだ。

 


「あとはこの家の長男だね。女の子みたいだなー。ボクみたい。でもボクは女の子にも男にも自由になれるんだけど。えっとこの子は…女装癖とゲームに熱中しすぎる癖があるのか。ボクみたい。好きなゲームもボクと一緒なんだね! ……やっぱこれ俺じゃね?」



 すこし素が出た少女サンタは、首を傾げながら 『ドラグナーストーリー4』を放り込んだ。



「ま、こんなもんかなー。あとは一人一人調べなくていいよね。えいっ!」



 サンタは空中に大量のプレゼントを作り出し、それぞれの家にめちゃくちゃに、連続で、半端じゃ無いスピードで放っていった。



「さーて、お仕事おわりぃ! 帰ろっと。お疲れ様、スタートクエストとドラグナーストーリー!」



 少女サンタはトナカイの頭を撫でる。

 そしてソリに飛び乗ると、愛する妻がまつ自宅へと、半端じゃ無いスピードで帰っていった。

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