第403話 大浴場 ≪side ミカ≫
「ここが大浴場よ」
私達3人は着替えやバスタオルを持って、大浴場まで来たの。
「うわぁ…! 本物の旅館みたい!」
「わふ…? どうすればいいの?」
リルちゃんは浴場が初めてだろうし、ここのかってを説明してあげた。
この子は単純で可愛らしいと思うの、私は。
なんか…犬みたいというか…。
まあ、狼なんだけどね。
お風呂にこれから入るのだし当たり前だけど、普通に服を脱ぎ始める。
その最中、リルちゃんがこっちをチラリとみてきたの。
気づいて私もリルちゃんの方を見ると、申し訳なさそうな表情をして顔をそらされた。
「どうしたの?」
「あ…えっと…。私、あのミカちゃんの裸を見たら申し訳ないような…なんか悪い事したような気がして。その…ミカちゃんやアリムちゃんはこう…同性でも裸を見ちゃいけないような…そんな気がするんだよ」
あー、そういえば女の人のファンの中にも私達に本気でそう考えてる人も多いらしい…というよりほとんどらしいわね。
なんででしょうね? そういうのに厳しい魔族のエルフでもないのに。
「ふふ、そんな事気にしなくていいんだよ? 女の子同士なんだし」
「う、うん」
リルちゃんはコクリと頷くと、なるべくこちらを見ないようにしながら服を脱いで行く。
下着も外した。
やっぱり……………大きいわね。
リロさんほどでは無いけれど。
エンチャントがしてあるあのブラの外したあとの縮み方から言って…高校二年生の私も同じくらいかしら?
側から見るとこんなんなのね。
あの頃はまだ付き合ってなかったけど、有夢の腕に抱きついてよく困らせてたっけ。
無論、わざと当ててたのよ? 反応が面白かったから。
それにしても肩が凝るだけなのに、大きい方が良い人が沢山居るだなんて不思議な話。
えっと…この話はミュリさんの前ではしないようにしよう。
桜も相変わらず中学生だとは到底思えない抜群のスタイルをしてる。人のことは言えないけど。
あんなボディに叶君は抱きつかれてるのかー…ふふふ。
「わぁ、ひろい!」
「わふ!」
服を脱いだ私達は、浴場に入る。
わかる、二人の感想の通り確かに広いよね。
ここをよく二人っきりで使ってるんだから、なんか沢山無駄がある気がしなくもない。
ふ…二人だけで入るんだったら…ちょっと広めってだけの方が…身体も密着させられるし…ね?
「身体を洗ってから入るのよ?」
「わかってるわよー」
「わ、わかった」
私達はシャワーの前で隣あって座るの。
私が真ん中でその左右に桜とリルちゃんね。
そうそう、獣人の尻尾の洗い方なんだけど、ローズで見た事ある。
あの子はゴツゴツのドラゴンの尻尾を垢すりで普通に擦ってた。
で…リルちゃんは?
どうやら毛が生えてる狼の尻尾は、普通にシャンプーするみたいに洗うみたい。ゴシゴシって。
んー、それにしてもリルちゃんは胸の大きさに対して身体が痩せてる。
まあ、その理由はショーから聞いたけど…。
あいつの正義の味方みたいな思考は相変わらずなのよね。
クラスの女子の中でも、なんか翔に危ないところを助けられたとかで惚れてた子が居たっけね。
一人二人じゃなくて。それなりに。
うーん……父親が警察のお偉いさんだからってのが大きいのかも、そういう性格のわけって。
事実、私と有夢も、性的な意味で危ない人を投げ飛ばしたりして助けてもらった事は何度かある。
なんにせよ、翔のことが好きだって言っていた女の子たちの中でリルちゃんがぶっちぎりで可愛い。
私、顔と男の人の見る目はあると思ってるの。
「ミカちゃん、私、身体洗い終わった。お風呂に入っても良い?」
「ん? うん良いよ」
ちょっど私と桜も身体を洗い終わったから、3人で、一番オーソドックスなお風呂に入るの。
「わふー」
「はふー」
「んふー」
思わず漏れる声。
1分くらいの無言タイムが続く。
「………そういえばさ」
「んー?」
「ここに居る全員、彼…おっと。恋人持ちなのよね?」
「ふ、そうだね」
「なら恋話しない?」
無言タイムを破って、そんな提案をしてみる。
実際にリルちゃんが翔のヤツのどこに惚れたかとか聞きたいし、この2組のカップルがどこまで進んだかも知りたい。
それに、私と有夢のラブラブな日常の過ごし方も話したいの。
「わふ、する!」
「ん…。叶達居ないし、いいかもね」
「よし! ならそうね…リルちゃんは翔のどこが好き? あ、桜も言うのよ? 叶君のどこが好きか」
リルちゃんは目をキラキラ輝かせながら話をするのにノリノリみたい。
桜はちょっと恥ずかしいのか、お風呂に入ってるからか、頬が赤い。ふふ、可愛いやつ。
「じ…じゃあお姉ちゃんも話すのよ?」
「うんうん、オッケー! まず誰から話す?」
「わふ、じゃあ私から」
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