第402話 6人での夕食
転生ショップという便利機能の使い方を調べ、それから今後どうするかを話し合った後。
とくに今しなきゃいけないことはない俺達は、リルちゃんに日本の物をいくつか見せて、その反応を楽しむという遊びをしたんだ。
そうして時間を潰しているうちに夕方になったから、夕飯を作って食堂に準備してる。
「はい、召し上がれ!」
準備し終わった俺はみんなに告げる。
今夜のご飯はちょっとしたバイキング形式で小さな机の上に御盆を敷いて、お寿司を並べたんだよ。
ここ数日間は日本食を中心にみんなに食べてもらおうと思ってる。
「「いただきます!」」
早速、イクラやサーモンを中心に皿に乗せてきたカナタとサクラちゃんが隣同士で席に座り、おそらく久しぶりであろうお寿司を食べ始めた。
「わ…わふ? ナニコレ…」
「ああ、これは寿司と言ってな。俺達が住んでた国の主食に酢を混ぜ込んで、生魚の切り身を乗せて握った物だぜ。醤油をつけて食べるんだ」
「な…生魚料理っ!? カルパッチョ以外で初めてみたよ…」
おお、リルちゃんはやっぱり反応が新鮮だし面白い。
ちなみにリルちゃんに見せて一番面白かった地球のものはスマートフォンだったりする。
ショーが持ってきて、なんか奇跡的に残っていたスマホを俺が充電し、それをリルちゃんに見せたんだけど…。
「板が…! 板がひかってるぅ!?」とか。
「わふぅぅっ! この板喋ったっ!?」とか。
「なんでこんな板の中にお月様が!?」とか。
ショーはいい彼女を手に入れたものだと俺は思ったね。
「わっふん!! 生魚なのに脂が…」
「それはトロだな」
席に着いた二人はお寿司を食べ始めてた。
思ったより美味しかったようで、リルちゃんの尻尾は左右に忙しく振られている。
匂いも嗅いでたけど生臭いだけのようで、一回だけイカの匂いを嗅いだらそれ以降なに一つ嗅ごうとはしていない。
ちなみに俺とミカも食べたい分だけとってすでに食べ始めてるからね。
ミカが一番好きなお寿司のネタはウニだったりする。
……といっても、ウニだけ食べてるとかっていう訳じゃないけど。
「わふぅぅっ!? ショーのなにそれ、黄色くてグニグニしてて気持ち悪いっ!」
「これはウニだぞ」
「ウニっ! ウニってあのウニ!? ショー達の世界ではウニを食べるのかっ!?」
「ウニ美味しいのに」とミカはつぶやき、ウニを口の中に放り込む。
それは俺も同感だけど、昔は嫌いだったからなんとも言えない。
しばらくして夕飯を食べ終えた。
ちなみにお寿司は無限に出てくるから食べるだけ食べて、デザートもティラミスを用意してたからそれを食べた(サクラちゃんは5皿食べた)。
次にすることといえば……?
「大浴場?」
「うん。温泉付きだよ」
そう、お風呂だ。
そして今日はせっかくだし、大浴場の方でお風呂に入ろうと思っている。
「そんなのあるんだ…」
「そうなの。結構使うんだよ。みんなで入ろうよ…あ、もちろん男女は別で_____」
と、ここで俺は気づいた。
…ミカと俺が一緒にお風呂に入るのは大丈夫だろう。
…リルちゃんとだったら、俺が女の子だったら問題ない。ショーですら俺をちゃんと女の子扱いしてくれるからね。効果の範囲は知人にまで及ぶことはミカで実証済みだし。
…でもサクラちゃんはカナタと共にその効果が及ぶといっても…問題がたくさん残る。例えば、サクラちゃん自身が俺が男だってことを記憶してるとか。
それより、弟の彼女の裸を見るのはちょっと…ね。
そのうち義妹となるとしても、こう、再開してたった2日目で『ボクも女だから良いよね』なんて言って一緒にお風呂に入るのはいけない。
そう、これはもっと俺が女の子としてあの二人に浸透したら……にしよう。
だからとりあえず今日は……男風呂のほうだな。
「_________っと、残念だけどボクはちょっと用事があるから、一緒にお風呂に入れないけれど、とにかくみんなは楽しんでよ!」
なんて言ってからみんなの表情を見ることもなく、俺は男湯を増設するためにその場から消えた。
男湯の増設は数秒で終わったから、あとはカナタ達がこっちに入ってきた時に俺も男湯に入るだけ。
……どうしようかな?
アリムのまま入っちゃおうかな?
カナタの前なら別に、姉弟だから裸で問題ないと俺は考えてるし、ショーなら………なんて。
いけない、俺はなにを考えてるんだか。
女装趣味はあっても同性愛のケはないぞ!
……ない?……ああ、うん、ミカとは世間ではそうなるのか。
いいや、めんどくさいから。
目も髪も黒に染め上げて二人にとって見慣れた男、『有夢』として入ろう。
うん、この今の姿だと仮に男でも女の子と一緒に入ってる気分になっちゃうだろうしね、それがいい。
俺ってばちょー優しいねっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます