第390話 引き連れての帰宅
「は…はは…ははは。こ、これがお前の家か!?」
4人が驚くなか、一番最初に喋れたのは翔だった。
あれからメフィラド王国に一瞬でついた俺達は、幻術とかでうまーく人に見られないように姿を消しながら、俺とミカの愛の巣へと向かった。
……よくよく考えたら、俺とミカにとってこれって日帰りじゃね? 一日で魔神を滅したのか、うん、なかなか俺もやるな。
いや、そんなことより、4人のこの俺の屋敷を見た感想を聞かなきゃ。
「どう?」
「どうってコレ…県庁かなんかかよ」
「いや、そこまで大きくはないよ。豪邸なのは認めるけど」
でもそう言いたくなるのはわかる気がする…かな?
はたから見たらそうなのかもしれない。
「あのお金にケチな に……姉ちゃんが、こんな家を……何があったの?」
「買ったのは土地だけで、あとは自分で建てた」
「なるほど、さすが姉ちゃんだ。一安心した」
最初は心配そうに見ていた叶も、そう聞いて安心してくれたみたい。
俺ってそんなにケチだったっけ?
まあ、今もそんなにお金は使ってないけど。
「あ…アリ姉、ここにお姉ちゃんと二人で住んでるの?」
「ええ、そうよ」
「いいでしょー」
「う、うん」
なんでそんなことを桜ちゃんは訊いてきたのかな?
やっぱり、二人で住むのは大きすぎるって考えたのかも。
「わふ…………………………アリムちゃんとミカちゃんのお家……わふぅ」
リルちゃんは現実が受け入れられてないような顔をしている。屋敷に慣れてないのか、それとも、俺とミカの家に入るのに緊張してるのか。
おそらく…どっちもだね。
「まあ、それぞれこの家に関して、もうちょっと言いたいことはあると思うけど、とりあえず中に入ろっか」
俺のその言葉にみんなは頷き、従ってくれる。
アリム邸の大きな鉄格子の門を開け、一切手入れなんでしてない、なんの思い入れもない、綺麗に整った庭を通り、大きな大きなドアから中に入り、広すぎる玄関へ。
「……広い」
「うん、まあ、マジックルームだから、見た目より広いと思うよ」
「そ、そうなのか」
「それと、この家の中にあるもの、ほとんど伝説級だからね。ちょっとやそっとじゃあ、汚れたり、壊れたりしないから、暴れても大丈夫だよ」
「……うゎ、マジだ」
翔達は鑑定して見たのか、この事実に目を見開く。
夢の中にいるような顔をしている3人に対し、リルちゃんだけはカタカタと震えている様子だった。
「翔、なんかリルちゃんが…」
「あ、ああ。リルは高級なものとかに普通の人より慣れてねーってか、高級物恐怖症っていうか」
「こ、怖がってるわけじゃない。き、緊張してる…んだよ」
「だとさ」
そうなんだ。
まあ、こんな伝説級でできたものばかりの場所に連れてこられたら、誰でも緊張するかもしれないけどね。
汚れなかったりして便利だから伝説級のもので満たしてるだけで、とくに意味はないんだけど。
「ところで姉ちゃん、これ、どうやって?」
「わかるでしょ? 全部作ったの」
「ああ、そう…」
例えばトイレットペーパー一つにしても、使っても無くならないとかね。
「じゃ、まず部屋でも案内しようかな。ついてきてね」
俺の後にみんな続く。
ちょっとだけ歩いて、俺は一つの部屋を紹介した。
「ここが、俺とミカの部屋。大抵、俺とミカはここに居るから」
「………おう、あゆ…アリム。つーてことは……そういうことか?」
俺のキスシーンとか見てない翔が、俺とミカの顔を交互に見ながらそう言ってきた。
そういうこと………つまり、付き合ってるかどうかってことかも。まあ、普段過ごしてる部屋が一緒って聞いたら、普通は付き合ってるんじゃないか、そう考えるよね。
実際、その通りだし。
「うん、そうだよ。まあ、それも何もかも全部、落ち着いたりしたら話すから」
「おうぅ、そうかそうかぁ」
普段から、俺とミカの間柄をおちょくってきていた翔の、あのニンマリとしたニヤケ顔が復活。
昔はウザかったけれど、今となっては懐かしい。
「お前ら早く結婚しろよ」
「それ何回目だよ」
「5000回目くらいじゃねーか?」
良く数えてたな……。
「うん、まあいいや。次に4人の部屋に案内するんだけど」
俺は翔達を一瞥する。
「4人別々の部屋がいい? それとも_______」
「「二人一緒!!」」
桜ちゃんとリルちゃんが同時にそう叫ぶ。
「二人一緒? 叶と桜ちゃん、翔とリルちゃんの組み合わせってこと?」
「わふ。お願いします」
「まあ、翔とリルちゃんが付き合ってるのは聞いてるけど……」
俺は叶と桜ちゃんの方に目を泳がせる。
「二人は?」
「……………えへへ」
桜ちゃんが照れ臭そうに笑った。
それに対し、叶は顔を伏せる。男にしては長い髪の毛に隠れて、よく顔は見えないけど、真っ赤になってるんだろう。可愛い奴め。
「そう、そうなの。やっとなのね」
ミカが満足そうにそう言った。
俺も全くの同感である。
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