第247話 見守られながらの狩り (叶・桜)

「ガハハ…ほぉ、やるじゃねえか? 忘れずに魔核も拾えよ」



 ワタッコを倒し終えた2人を見て、トールはそう言った。



「はぁ…意外と何事ともなく倒せるもんなんだね。まあ、Fランクだし…」

「うーん…。初めて虫と鼠以外の生き物を殺したかも……」

「でも、殺さなきゃ強くなれないからね、しょうがないよ桜」

「…そうね」



 その後3人は、スライムの群れを探知で探し出し、今度はトールは何もせず、全てカナタ達に任せたが何の問題もなく2人はその場に居たスライムを計12匹倒した。



「ガハハハハ、実戦は順調だな!」

「そうですね!」

「よし、ならば次はEランクの魔物を探し出すぞ」



 トールはそう言って探知を展開すると、10秒程で何かを発見したようだった。

 


「ガハハ、この反応は近くに3匹、ゴブリンが居るみたいだな。やれるか?」



 カナタはゴブリンという単語に、スライムを初めて見たときもだが、激しく反応を示した。



「桜、桜っ! 今度はゴブリンだぜ。ゴブリン、あのゴブリン! 早く倒してみたいな…。ところで桜、ゴブリンは人型だと思うけど、倒せる?」

「まあ……もう、今更って感じよ。今日だけで魔物はたくさん倒したし。人型だろうが、関係なくなってくる」

「そっか」



 そのまま2人はトールの後ろをついて行き、ゴブリン3匹に遭遇した。

 トールは言う。



「二人共、俺の魔法を見たくないか?」

「魔法…ですか? トールさんの」

「ガハハ、俺は雷帝トール。雷の魔法がこの世で最も得意なんだぜ! まあ、見てな」


 

 トールが1匹のゴブリンを睨むと、そのゴブリンに向けてどこからか雷が落ちてきた。

 器用にもそのゴブリンにのみ命中し、一瞬で跡形もなく消え去ってしまう。 

 他のゴブリンは何事かわからないまま、ショックで気絶していた。



「ガハハ、ガハハハハッ! どうだ、見たか。あー、お嬢ちゃんら見れないんだったな。ナカタはどうだ、これが俺の雷。まあ、本気より威力は一分程しか出してないがな!」



 1%の力しか出してない、その事が嘘ではないとわかるくらいに、現在のトールからは魔力が溢れ出ていた。

 カナタは嬉しそうに、ニコニコして言う。



「す…すごい、これが攻撃魔法か…」

「す、凄い音だったね、本当の雷みたいな…うぅっ…」

「そういえば桜、雷苦手だったね」



 声の調子だけ聞くと、桜は平気そうなのだが、この世界に来てから握り続けているカナタの腕を、より強く握りしめている。



「ガハハハハハ! カナタとサクラは、すでに魔法は覚えているのか?」

「いえ、一つも。とりあえず今はSKPを貯めることにしてるんです」

「まあ、それも良いだろうな。そうと、二人共。あののびちまってるゴブリンを倒してみるといい。ワタッコ1匹の10倍近くの経験値が貰えるぜ!」



 そう言われた二人は、ゴブリンの元に向かい、武器を構えた。

 カナタは何の躊躇もなくゴブリンの喉に槍を突き刺し殺した。 

 サクラは少し躊躇をしたが、何かを吹っ切るように2度首を横に振ると、剣をゴブリンの脳天に突き刺す事ができた。



「よぉーし! またゴブリンを探すぞ。レベルが上がれば、より強い魔物を倒す事ができるようになる。それの繰り返しで、俺やヘイムダルの爺さんみたいに強くなれるんだぜ! ガハハハハハ!」



 その後3人は、ゴブリンやスライム、ワタッコを見つけ次第、片っ端から狩っていった。全ては二人のレベル上げのため。

 特にカナタが嬉々として、楽しんで槍を振るい、魔物を倒し続けていた。そうしてるうちに実習の時間が終了してしまった。



「今日はここまでだ」

「ありがとうございましたっ!」

「ありがとうございました」

「ガハハハハ! 良いんだぜ、俺と爺さんも金をもらってこの仕事をしてるわけだしな。んなことよりナカタ、お前、そんなに戦うのが好きなのか? ずっとご機嫌だったな」

「ええ、いや、その。戦うのが好きなんじゃなくて、こう、槍とかを持って敵を倒す。……俺たちの世界ではファンタジーなんですよ。それができて嬉しいんです」



 サクラは寝る前に、あまり調子に乗らないようにカナタには釘を刺さなければならないと、この時一人で誓った。

 

 数分間休憩したのち、二人はまた武器の鍛錬とはまた違う装備で、城の中のかなり広い一室に、もう一人のSSSランカー、ヘイムダルと共に来ている。



「では、魔法を学ぶとしようかの。ワシはヘイムダル。この国のSSSランカーじゃよ。二人は確か……」

「カナタです」

「サクラです」

「そうかそうか、カナタとサクラや。よろしくな」



 そう言いながらヘイムダルは、二人に手を差し伸べる。カナタはヘイムダルの手を握り、サクラはカナタに協力してもらって手を掴んだ。



「ふむふむ、まあ魔力はまだ低レベルなのじゃの」

「はい、さっきのトールさんとの実習で、初めてレベルが上がりましたから」

「そうかそうか、ならば仕方ないな。では、魔法と魔力の事について、教えるからの。良いな?」

「「はいっ!」」

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