第244話 カルアちゃんの訪問 4日目 前半

 俺は気だるさが残る身体を、ベットに預けたまま目だけを開けた。既にこの寝室の窓からは、明るい朝日が差し込んでいて、数羽の鳥の鳴き声が聞こえる。


 既にミカは起きているのか、俺の腕の中には居なかった。



「えへへ、おはよ…有夢っ」



 と、思ってたんだけどミカはベットから降りて、俺の隣で俺の事を見ていた。可愛い。

 俺はミカの頭を撫でてから、一回軽くキスをして、服や下着を着てからベットから降りた。


 マジックポーチからアムリタを取り出して、口に流し込む。これだけで疲れなどは全てなくなってしまう。



「有夢、朝ご飯の用意して…カルアちゃん達を起こそう?」

「そうだね」



 本当はこう言う日は有夢のままで居たかったりするんだけど、カルアちゃん達がいる。俺はアリムになった。

 俺がアリムになった瞬間、来ていたズボンはスカートに変化する。


 その後、数秒で朝ご飯を作り、メッセージでカルアちゃん、リロさん、ミュリさんを呼んだ。



「おはようございます!」

「おはよー!」

「おはようございます!」



 しばらくして、普段着を着た状態で3人は来た。スモークサーモンのサラダを基本とした朝食を食べ、今日は何をするかの予定を話していた時だ。

 俺とミカに、メッセージが届いた。



【おはよう! 我だ、ローズだ! アリム、ミカ。今日、家に行っても良いか?】



 どうしよう、カルアちゃんの達がいるし……1人、人が増えても良いか3人に訊いてみよう。

 ミカも俺とアイコンタクトで、訊くように促してきていることだし。



「あの…皆んな、ボク達の友達が今日、家に遊びに来たいって言ってるんだけど、良いかな? 竜族の女の子なんだけど…」

「ええ、勿論! 人が増えた方が楽しいですわ」

「竜族かぁ…珍しいね」

「一体、どんな子なんでしょうかね?」



 どうやら良いみたいだ。もしこれでローズが来たら、6人で遊ぶ事になるね。もしかしたらカルアちゃんにも新しい友達が増えるかもしれない。



【いいよ、ローズ。来なよ。なんならしばらく泊まってってもいいよ。でも今、3人他に友達が来てるんだけど、それでも構わないかな?】

【ああ、構わないぞ。人が多いと楽しいからな】



 朝食を食べ終わり、おおよそ一時間後、この屋敷のチャイムが鳴らされた。ローズだ。

 全員で玄関まで迎えに行った。


 屋敷に入ってきたローズ入って元気にこえをあげる。



「お邪魔するぞ! …おお、既に皆、居るのだな。我の名はローズだ! 以後、宜しく頼む」

「ローズさん、ですね。私はカルアと言います」

「ローズ…ローズ、あっ、最近話題になってる娘だ!」



 リロさんはそう言った。そういえば、ローズの他者からの評判を聞くのは初めてだ。



「最近話題に?」

「うん、そうなの! アリムちゃんやミカちゃんほどじゃないけど、仕事を早くこなして、すごい魔法を使える冒険者だって! 中には将来、SランカーやSSランカーになる可能性が高いって言ってる人もいるよ」

「ふふ、そうか? そうなのか。我はそんな評価なのだな。ふふふ」



 ローズはとても嬉しそうにはにかんだ。

 俺達はとりあえず部屋に戻ると、カルアちゃん達はローズと話をし始める。



「ローズさんは竜族なんですね……耳にドラゴンのヒレのようなものがついますね」

「まあな。それと…カルアと言ったか。友達の友達は友達と言うだろう? "さん"付けは要らぬぞ? 敬語もな」

「ええ! わかりました…ローズちゃん…で良いですか? 敬語はすいません、癖なので」

「そうかそうか、それで構わんぞ! よろしくな、カルア」



 これって俺、とりあえずカルアちゃんがこの国のお姫様だってこと、ローズに伝えた方が良いか知らね?

 もし、そのうちローズがカルアちゃんと遊ぶとなって…ローズの話し方は少し偉そうな節があるからね。問題になったらこまる。



【ローズ、ローズ。カルアちゃんはね、この国のお姫様だからね】

【ふえっ!? それは本当か?】

【うん。そうだよ。ちなみにリロさんとミュリさんも、大臣さんとか大司教さんとかの娘だからね。今のままの話し方や態度だったらほとんど問題はないけれど、変な失礼はないようにね?】

【わっ……わわわわわ、わかった…】



 ローズが若干慌てだした。あ、失敗だったかな、ローズってば、権力に弱い性格してるから…。俺とミカの世間の扱いを知った途端に、その日は態度を変えてきたからなぁ。

 でも注意しておかないと、やっぱりいけないよね。



「そうそう、えーっと、私達もローズちゃんって呼んでも良いかな? 私の名前はリルで…」

「私はミュリといいます」

「は、はははい、よよろしいです! 以後お見知り置きをば……」



 あちゃー、やっぱり緊張しちゃってる。

 俺たちの時もこんな感じだったもんね。



「うーん? ローズちゃん、なんか喋り方変りました?」

「い、いいいえ、そそ、そんなそことはないですですよ?」

「…? 変なの」

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