第214話 カルアちゃんの訪問1日目後編

【次は何が良いかな? ミカ】

【うーん…まだ3時前だから…お菓子でも作れば?】

【いいね、それ】



 というわけで、俺たちは部屋に戻りお菓子作りを始めた。

 クッキーとかそういう簡単なものだと、カルアちゃん含め全員作れるから新鮮味がない。

 この世界でかわっていて、なおかつウケが良かったもの…アイスクリームを一緒に作ったんだ。


 結果、調子にのってすごい量のアイスクリームができちゃった。

 イチゴにバニラに、この世界にチョコはないからココア、この世界にしかない果物のアイスもある。


 そのアイスクリームを入れてる容器のエンチャントの効果で、アイスクリームは賞味期限と消費期限がなくなってるから、保存するのは問題ないんだけど、こりゃ、明日と明後日のオヤツもアイスクリームだよ…。いいけど別に。


 ちなみにエンチャントととかで一瞬で凍るから、アイスクリームができるまでの待ち時間はないよ。



「冷たい…美味しいですね」

「よく考えたら今、秋だったね…。寒くない?」

「だいじょぶです!」



 なら、良いかな。


 そのあとはいつも通り遊んだ。

 カルアちゃんの豪運は相変わらずで、運要素がほとんどのゲームもだいぶやったんだけど、全部カルアちゃんが勝っちゃった。

 この世界のステータスに運はないけれど、もしあったならカルアちゃんは運に全てのSTPを振ってるに違いない。


 夕方6時になったから、お夕飯を食べる。

 夕飯はミカの手料理だよ。カルアちゃんが食べるのは初めてだったはず。

 ミカが作った料理を一口食べて、カルアちゃんはこう言った。



「うわぁ…ミカちゃんのご飯も美味しいです…! 私もこんなに上手に作れれば良いのですが……」

「じゃあ、明日あたり私達と一緒に練習しよっか? カルアちゃん」

「うわぁ! わかりました、しましょう!」



 というわけで、明日は料理の連絡をすることになったね。

 ……と言っても俺もミカもレベル上げで稼いだSKPによるごり押しなんだけどなぁ…。

 アムリタで生き返らせた魔物から経験値って入ったっけ? 入るんだったら明日、一度、カルアちゃんにSKPを稼いでもらってから一緒に練習した方が良いかも。

 後でこっそり試してみよーっと。


 ご飯を食べたらお風呂に入った。

 勿論、我が家自慢の特大浴場でね。


 その場所に着いたカルアちゃんは、脱衣所に入ってからあたりをキョロキョロと見回している。



「ここはすごいですね、なんだか雰囲気が…」

「でしょ、この家の自慢の場所の一つだからね」

「いつも、ミカちゃんとアリムちゃんはここで一緒にお風呂入ってるんですか?」

「うーん、たまに…だね」

「そうなんですかぁ…」



 カルアちゃんはあの、薔薇を見た時同様にニヤニヤしてる。

 何を期待してるんだ、この娘は。

 まさか、カルアちゃんにそっちの気があるのか…っ!?

 いや、まさかね。うん、ナイナイ。


 お風呂に入って最初に驚かれたのはその広さだった。



「すごいですね…城のお風呂よりも広いですね」

「えへへ、良いでしょー」



 俺達は身体を洗ってから、お風呂に入る。

 まず入ったのは普通のやつ。で、その次に入ったのはアイテム噴出機付き風呂だった。



「ここはどういったお風呂なんですか?」

「んー、カルアちゃんから入ってみればわかるよ」



 カルアちゃんはそろりそろりと、そのお風呂に入っていく。そしてその身体が肩まで浸かった時、アイテムがでてきた。……ハート型のオモチャだった。



「わぁ、すごい! これはどこからかアイテムが出現するのですね」

「そうだよ、その人の好きな物を自動で判別してアイテムを出すんだ。ぼくも誰が何が出るかわかんないんだよね」

「そうなのですか…何故私がハートかの意味とかわかりますか?」

「ごめん、わかんないんだ」

「そうなのですか」



 俺とミカも続けてお風呂に入る。

 ハートだらけのお風呂はなかなかにファンシーだよ。



「そういえば、アリムちゃんとミカちゃんはどのようになるのですか? このお風呂からでてくるアイテムは」

「あぁ、今見せてあげるね。ミカので良い?」

「いいわよ」



 俺はこのお風呂を操作して、お湯に浮かんでいたハートのオモチャを消し去った。

 そしてミカに指定してアイテムを出す。

 前に一緒に入った時と同様にして、薔薇が沢山出てきた。



「あら、ミカちゃんは薔薇がお好きなのですね!」

「えへへ、そうなの」



 しばらく、その薔薇風呂を堪能した後、カルアちゃんが今度はこう提案した。



「アリムちゃんはなんですか?」

「あー、そういえばアリムでやったことないわね」

「やってみようか、じゃあ」



 薔薇を消して、今度は俺の好きな物を出すことにした。

俺が一番好きなのはミカなんだけど、人は出てこない。何が出るんだろ、ゲームとかかな?


 そう考えていると、沢山のゲームパッケージが出てきた。

 俺は思わず、最初に出てきたパッケージを手に取ってしまう。手に取らずにはいられない!!

 すごい、これホントすごいよ!!



「こっ…これは、週刊誌応募限定50名様までのドラグナーストーリー2の限定パッケージっ! こっちはデザインが廃止になった伝説の、スタートクエストⅠのパッケージ! すごいっ、すごいよぉぉ!! 今、オークションでいくらだろこれっ!」



 と、思わず声が出てしまった。


 ふと、視線を感じてそちらを見てみると、カルアちゃんは口と目を開けてポカーんとしていて、ミカは目の奥が濁りながら呆れた顔でこちらを見ていた。

 俺は我にかえる…っ…恥ずかしい。



「あー、えっと……テヘッ」



 俺は首を傾げ、頭に手をコツンと置き、舌を少し出した。

 カルアちゃんが喋り出す。



「あの…アリムちゃんは、幻想的な絵が描かれている箱がお好きなのですね」



 良かった、この世界に無いものとしてはとらえられなかったみたい。バレても別に問題は無いんだけど、説明するのが面倒だし。

 相変わらず、ミカは濁った目でこちらを見……いや、睨んでいる。

 ど、どうしたんだろ……な、なんで怒ってるのかな?



「ミカ…あのー…なんで怒ってるの?」

「いや別に。数ヶ月前のことを思い出しただけ。ドラグナーストーリー、私にとってトラウマなのよ」

「えっ…記憶が戻って…でも、なにやら触れない方が良さそうですね」



 あー、そっか…そうだよね。

 俺が新作が出るからはしゃいでいて、ミカと一緒に登校するのを忘れてて、その道中で俺が死んだんだもんね。

 


「ごめん、ごめんね…ミカ」



 俺はカルアちゃんがいるのも気にしないで、ミカに抱きついた。



「ん…許す! ふひひ」



 ミカはそう言いながら、俺の身体とミカの身体の間に手を滑りこませ、胸を揉んできた。



「ひゃいっ!?」

「ふへへ…柔らかい」

「ミ…ミカちゃんっ!?」



 俺の…胸を、しきりに揉んでいるミカ。

 まっ…前にやられた時は精神的にメチャクチャにされた。

 ん……なんとかして、この状況から脱しないと。

 っ…と思っていだんだけど、どうやら追撃が来そう。



「カルアちゃん、一緒にやってみない?」

「えっ、私もですか? 良いんですかね? なんだかアリムちゃんがすごく顔を赤くして……」

「私が許可する」

「えー……なら……」



____

__

_




 今、俺とミカとカルアちゃんは部屋に戻ってきた。

 俺は怒ってるんだぞ! は…恥ずかしかったんだからね! もぉ。

 なんで二人とも満足そうな顔してニコニコしてるんだよぉ…。



「もうやめてよね!」

「えー、やだ」

「…………んーと…まぁ、多分。うふふ」



 だめだこりゃ。


 その後、ミカによってその話はうやむやにされて、歯磨きをして眠りについた。

 カルアちゃんは今回は俺に抱きついてきてない。

 ミカはいつも通り抱きついてきている。


 最近わかったんだけど、ミカが抱きつく癖って、何もカルアちゃんが居る時だけじゃないんだよね。

 基本は、俺があげた熊の人形に抱きついている。

 あと、俺とミカが互いに抱きつきながら寝ている時も、俺を人形代わりとして抱きついてると仮定できるんだよ。


 で、カルアちゃんがいる時は俺に抱きつくわけにもいかず、人形はカルアちゃんの家には無いから、腕に抱きつくといった感じだね。


 俺は空いてる方の手でミカの頭を一回撫でた後に、眠りについた。

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